当ページでは、Ryzen 7 1800Xのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Ryzen第1世代のCPUでこれまでIntelの独壇場だった市場に変革を起こした。その中でもフラグシップモデルのRyzen 7 1800Xは、8コア16スレッドと驚異的なスペックを誇るCPUだ。競合モデルであるCore i7-7700Kが4コア8スレッドという時代に倍のコア/スレッドを搭載しているのは驚くしかない。
メインストリームではなくハイエンドモデルのCore i7-7820Xに匹敵する。後継モデルは、「Ryzen 7 2700X」だ。Zen +アーキテクチャになってより高いパフォーマンスを発揮する。型番的に8から7へと数値は下がっているが、メインストリームのCPUとしてはフラグシップモデルであるということで変わらない。
当ページの目次
Ryzen 7 1800Xの基本スペック
7 1800X | i7-7700K | i7-7820X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen | Kaby Lake-S | Skylake-X |
プロセス | 14nm | 14nm | 14nm |
トランジスタ数 | 48億 | - | - |
ダイサイズ | 192 mm² | - | - |
CPUコア数 | 8 | 4 | 8 |
スレッド数 | 16 | 8 | 16 |
定格クロック | 3.6GHz | 4.2GHz | 3.6GHz |
最大クロック | 4.0GHz | 4.5GHz | 4.5GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 8MB | 11MB |
対応メモリ | DDR4-2400 | DDR4-2400 | DDR4-2666 |
内蔵グラフィックス | 非搭載 | HD 630 | 非搭載 |
TDP | 95W | 91W | 140W |
価格 | $499 | $349 | $599 |
発売日 | 2017/03/03 | 2017/01/06 | 2017/06/26 |
コア数/スレッド数が増えるとクロック数が低下していくのがCPUの常だ。それは消費電力の兼ね合いもあって仕方がない。そんな中、当時のCore i7シリーズに劣らないクロック数で圧倒的な性能差を見せつけた。コア数/スレッド数・クロック周波数・L3キャッシュ容量でトップクラスのRyzen 7 1800XはIntel製モデルを突き放すスペックを誇っている。はっきり言ってCPU性能だけを見ればスペック通りで、Intel製品を寄せ付けることはない。
価格が$499と少し高めなのはターゲットとなるのがメインストリームのCore i7-7700Kではなく、Core i7-7820Xのような最上位シリーズの対抗だからだ。このスペックにしては価格が抑えられている。Core i7-7820Xが$599なので20%近くも安く購入できる。その上でTDPも40%抑えられている。コストパフォーマンス重視ならRyzen 7 1800Xは魅力的なモデルとなるはずだ。
Ryzen 7 1800Xの総合性能
また、マルチコア性能/マルチスレッド性能に優れるRyzen 7 1800Xは、その得意ジャンルでCore i7-7700Kの後塵を拝す場面があった。RyzenシリーズはCore iシリーズと違い、ほぼ全ての製品がオーバークロックに対応しているが、オーバークロックでの性能の伸びはCore iシリーズより劣る。そのため、用途によってはオーバークロックをしたCore i7-7700Kが上回る場面が多かったと言える。
このグラフは一般的なCPU性能を計るベンチマークの結果である。実際にこの通りの数値が用途に合わせて発揮できるわけではない。Ryzen 7 1800Xはその発揮できる性能が極端だ。当時は、ベンチマークだけ良いスコアが出るようになっているとまで言われていたほどだ。それでもCPU単体の性能は確かに高い。例えば動画のエンコードでは多コア、多スレッドの力をしっかり出せる。用途を限れば現在でも十分通用する性能だ。その用途にゲームは入っていないのが残念だ。
Ryzen 7 1800Xの最新評価【2024年】
Ryzen 7 1800Xのゲーム性能スコアは18,621とそこまで高いわけではない。上位グレードであるRyzen 7シリーズとは言え第1世代はまだまだ発展途上でゲーム適性が低い。Intel製CPUで言えばCore i7-4790KやCore i7-4790と同等に留まる。タイトルによっては不安定になってしまう可能性もある。それはRyzen 7 1800Xの中古価格にも現れている。2024年7月時点での中古価格は4,980円と格安だ。さすがにこれだけ価格が下がっているということは性能的に期待できない。
もちろん古さも価格の安さに拍車をかけている。Core i7-4790も4,980円~購入でき同等だ。Ryzen 7 1800Xの発売当時の競合であるCore i7-7700は9,480円~とそこまで価格が下がっていない。両モデルの間に大きな差がある。これからゲームをプレイしていくなら最低でもCore i7-7700を基準に考えたい。Core i3-10100Fであれば7,980円と安く同等のゲーム性能を得られる。4コア8スレッドとスペックは低いがそこまで気にしなくてもよいだろう。
Ryzen 7 1800Xの特徴&注意点【2017年時点】
致命的な弱点を持つRyzen 7 1800X
Ryzen 7 1800Xは総合的な性能では非常に優れたCPUである。しかし、ゲーム用途に関してはCore i5-7500やCore i5-6500と同等以下にまで落ち込む場面が見られた。CPUコアやメモリ周りに致命的な弱点を持つ第1世代のRyzenシリーズはゲームが苦手というイメージが強く残る。そしてそれは現在でも尾を引いているように思う。このゲームへの対応力のなさから、当初はベンチマークスコアの改ざんすら疑われるほどだったのだ。
CPUコアは2基のCCXを搭載していてCCX同士のやり取りが必要となりその際にレイテンシが生じてしまう。メモリについても帯域幅は十分でも、アクセス速度が遅い。この遅延により、ゲームでは実力の半分程度しか出すことができなかったというのはすでに知っている方も多いはずだ。以降Ryzenシリーズは第2世代、第3世代とゲームへ言及した発表が行われてきた。
Ryzenにとってゲームへの対応力が大きな課題となったのは疑いようもない事実だ。同時に、ゲームに重要なシングルコアの性能も高いとは言えなかった。この第1世代のRyzen時代から、ゲームはIntelという図式ができ上がっていたと言える。現行の第3世代になってゲームへの対応力は増している。それでも届かない性能はゲーム向けというよりも、ゲーム以外の用途で輝くCPUだ。
それは第1世代でも同じだったと言える。価格が安く、Intelの時代は終わったと囁かれた。その一方で、性能の不安定さも指摘されていた。ゲーム用途に限ってはi5シリーズを下回った。ゲーム向けのCPUではなく、ゲーム配信者向けCPUという具合に言葉を濁した評価が印象的だ。当時はRyzenの登場は本当に衝撃で、Intel終焉も現実的だった。
搭載モデルがほとんど販売されていなかった
BTOショップのほとんどがRyzen搭載モデルにあまり力を入れていなかったという現実がある。Ryzen 7 1800Xはスペックが高く魅力的なCPUだが、各BTOメーカーもゲームに適していないのが分かっていたのだろう。
Ryzenシリーズは第3世代以降になってようやくラインナップに加わるようになりだした。当時はまだまだ苦戦していたのだ。その最初の一歩である第1世代は現在までを紡ぐ試金石だったのかもしれない。2023年時点ではRyzenシリーズ搭載モデルは当たり前で入手しやすくなっている。
Ryzen 7 1800Xは中古市場に出回っていない
Ryzenシリーズは中古市場にほとんど存在していない。中古での入手は割と困難である。Ryzenシリーズは第2世代から大きく性能を伸ばした。その時点では第1世代はそれなりの数が出回っていたはずだが、Intel製CPUと比べてシェア率が大きく下がる。そもそも出回っている数が違うのだろう。
第1世代のRyzenシリーズはそこまで優秀なCPUとは言えない。性能だけで言えば現在でも通用はする。しかし、新たに購入するほどではない。オークションサイトを少し覗いてみたところ、新品価格よりも高くなっている。流石にこの価格で購入するなら第3世代のRyzen 5を選択する方が良いう。
よほど強いこだわりがあったり、ゲームをプレイするつもりが無い場合は選択もありかもしれない。特にメリットがある選択ではないので、好みである。もっともその場合は正規店舗というよりヤフオクなどの個人売買が中心となってしまう。第2世代から弱点は改善されていくので、旧世代を選ぶにしても第2世代以降が良い。
Ryzen 7 1800Xのベンチマーク
Cinebench R15
Handbrake
7-zip
Ryzen 7 1800Xのゲーミング性能
Civilization Ⅵ
hitman
Battlefield 1
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ベンチマークテスト環境
GPU | GeForce GTX1080Ti |
---|---|
メモリ | 16GB DDR4-3400 |
SSD | Samsung 960 Evo 500GB |
電源ユニット | Corsair HX750i 750W |
マザーボード | Gigabyte Aorus X470 Gaming 7 WiFi |
PC自作の趣味をお持ちでAMDファンである棋士の藤井聡太さんが
インタビュー内で発言されているCPUが当時最上位?の1800Xかも知れません。
神の一手の裏側に。AMD×藤井聡太: https://fujiisota.amd-heroes.jp/
「賞金で百万円のCPUを買ってる」と報道があり最初は「道楽?」と思ったのですが、
AI将棋ソフトは膨大な手読みを処理するのでマルチスレッド性能が大事なのだと動画で気づきました。
しかしAMDはRyzen9 や7も藤井さんにプレゼントしているので、スレッドリッパーProは、やり過剰の道楽??
なお、藤井さんの旧マシーンを譲り受けた将棋仲間さんが、マシーンの故障で買い替えを検討したとき
「藤井さんのオススメで買ったPC」の外観がドスパラのマグネイト(マイクロATX)にそっくりでした。