当記事では、GeForce GTX 1070 Tiのスペックと各種ベンチマークを紹介している。GTX 1070 Tiは、2017年11月にGTX 1070の上位モデルとして登場したグラフィックボードだ。当然性能的にはGTX 1070よりも高くGTX 1080に近くなっている。価格が抑えられていてコストパフォーマンスにも優れている。NVIDIA史上初の70番台のTiモデルである。
GTX 10シリーズでGTX 1060と人気を二分したPascal世代を代表するモデルだ。フルHD環境~WQHD環境でのゲームプレイに適している。2023年時点での評価についても解説しているのでぜひ参考にして欲しい。Pascal世代に新風を吹き込んだ時代の寵児は中古でも狙い目となっている。後継モデルは、「GeForce RTX 2070」だ。Turing世代になってレイトレーシング・DLSSに対応となった。
世代 | Pascal |
---|---|
プロセス | 16nm |
CUDAコア | 2432基 |
ベースクロック | 1607MHz |
ブーストクロック | 1683MHz |
GPUメモリ | GDDR5 8GB |
TDP | 180W |
MSRP | $449 |
中古価格 | 23,800円~ |
発売日 | 2017/11/02 |
当ページの目次
GeForce GTX 1070 Tiの概要
グラフィックス性能
なお、GTX 1070 Tiの2世代後の後継モデルに当たるRTX 3070との性能差は60%と大きい。次世代モデルになって一気にパフォーマンスが伸びた。RTX 2060 SUPERなどのSUPERモデルはRTX 20シリーズから追加された新たなモデルである。無印とTiの中間になるような性能だ。そのため、GTX 1070 TiとRTX 2060 SUPERは性能差が小さくなっている。
これはGTX 970とGTX 1070 Tiの関係に近いものがある。正確には後継機とは言い難いが、GTX 970 TiやRTX 2070 Tiという製品が登場していない以上後継機と暫定的に決めるしかない。こういった経緯から、性能差に関しては成長と直結しているわけではない。それでも、十分な伸びを見せているように思う。
グラフを見ても分かる通り、GTX 1070 TiはGTX 1070ではなくGTX 1080に近い性能を持っている。GTX 1070 Tiが登場した後、GTX 1080搭載モデルとGTX 1070搭載モデルの多くが姿を消した。型番に倣ってGTX 970とスペックを並べたが、GTX 980やGTX 980 Tiの方が比較的にも正しかったのかもしれない。
基本スペック
GTX 1070 Ti | GTX 1080 | GTX 1070 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Pascal | Pascal | Pascal |
プロセス | 16nm | 16nm | 16nm |
トランジスタ数 | 72億 | 72億 | 72億 |
ダイサイズ | 314 mm² | 314 mm² | 314 mm² |
GPU | GP104 | GP104 | GP104 |
SM | 19 | 20 | 15 |
CUDAコア数 | 2432基 | 2560基 | 1920基 |
コアクロック | 1607MHz | 1607 MHz | 1506 MHz |
ブーストクロック | 1683MHz | 1733 MHz | 1683 MHz |
GPUメモリ | GDDR5 8GB | GDDR5X 8GB | GDDR5 8GB |
メモリクロック | 2002 MHz | 1251 MHz | 2002 MHz |
メモリ帯域 | 256.3 GB/s | 320.3 GB/s | 256.3 GB/s |
メモリバス幅 | 256bit | 256bit | 256bit |
FLOPS | 8.186 TFLOPS | 8.873 TFLOPS | 6.463 TFLOPS |
TDP | 180W(8pin) | 180W(8pin) | 150 W(8pin) |
MSRP | $449 | $599 | $379 |
中古価格 | 23,800円 | 27,800円 | 17,800円 |
発売日 | 2017/11/02 | 2016/03/27 | 2016/06/10 |
メモリ周りは同じだ。GPUメモリ容量は8GBで、メモリ帯域幅は256.3 GB/sを維持している。このクラスとしては標準的な構成だと言える。TFLOPSは20%程度向上している。処理能力が上がっているのは確実だ。CUDAコアの増加及びコアクロックの引き上げによってTDPが20%アップして180Wとなっている。価格差は$70だ。
上位モデルであるGTX 1080とスペックを比べるといかにGTX 1070 TiがGTX 1080に近づいたかがわかる。GPUはGTX 1080もGTX 1070 Tiと同じGP104を採用している。GTX 1080ではフルスペックのGP104が採用されていてSMは20となる。GTX 1070が15でGTX 1070 Tiが19ということはGTX 1080と比べてわずか1基が無効化されているに過ぎない。コアクロックはいずれも1607Mhzで、ブーストクロックはGTX 1080の方が3%高い。
GTX 1080はメモリ周りも強化されていてGDDR5Xが採用されている。メモリ容量は同じ8GBだ。メモリ帯域幅が320.3 GB/sとGTX 1070 Tiよりも25%広い。TDPは同じ180Wだ。価格差は$150とかなり大きい。GTX 1070との価格差が$70なので、スペックはGTX 1080寄りで価格はGTX 1070寄りという理想的なモデルとなっている。GTX 1070 TiとGTX 1080の違いをまとめるとSMの数(=CUDAコアの数)、ブーストクロック、メモリ周りだ。
GeForce GTX 1070 Tiの特徴【2023年時点】
現行のミドルクラスと同等の性能を持つ
GTX 1070 Tiの性能はRTX 3060/RTX 2060 SUPERと同等である。レイトレーシングやDLSSといった機能面に違いはあっても、ゲームでの快適性はほぼ同じだと考えてよい。1世代前のハイクラスモデルなのだから少しぐらい時間が経っても通用するのは当然だ。
GTX 1070を推奨環境に据えるゲームが登場しているが、GTX 1070 Tiが推奨環境に設定されるにはまだまだ時間がかかるだろう。現行のミドルクラスと同等の性能を持つグラフィックボードを推奨環境にするわけにはいかない。GTX 1070 TiはWQHDに適した性能として登場したが、今ではフルHD環境でのゲームプレイがメインとなる。少しだけランクが下がったと考えておこう。
今は高リフレッシュレートが一般的になりつつある。その高リフレッシュレートに対応するための環境においてもGTX 1070 Tiは最適だ。このくらいの性能があればフル環境でも高リフレッシュレートを実現できる。現在でも通用するその高い性能は、次世代・次々世代の登場までは現役でいられるはずだ。
GTX 1070 TiはGTX 10シリーズの中でも飛び抜けて高いコストパフォーマンスを誇っている。このコストパフォーマンスは価格による影響よりも、性能による影響が大きい。GTX 1070 Tiが性能不足になるには5年以上かかるだろう。ただ、ゲームもここ1~2年で大きく進化している。予想していなかった変化が起きる可能性も否定はできない
多くのゲームがGTX 1060辺りを推奨環境に据えている。GTX 1070 Tiの性能が求められるようになったとしても、性能不足になるにはまだまだ時間がかかる。グラフィックボードなどの性能を支えるパーツは、価格・性能・製品寿命が合わさってのコストパフォーマンスだ。登場から4年、今尚現役でいられるGTX 1070 Tiは最もお買い得なグラフィックボードだったのかもしれない。
GTX 10シリーズ屈指の人気モデル
GTX 1070 Tiはゲーム向けのGTX 10シリーズでは一番遅く登場したグラフィックボードだ。GTX 1070の登場から1年半ほど後である。そして、GTX 1070 Ti登場後はGTX 1070、GTX 1080の両製品を搭載したモデルが消えた。GTX 1070 Tiの価格はGTX 1070と同じでGTX 1080と同等の性能を持っている。
当時ハイクラスであるGTX 1070~ハイエンドのGTX 1080までの性能帯をGTX 1070 Ti一つでカバーしていたのだ。性能と価格で両製品の穴を埋める事ができたGTX 1070 Tiの人気は圧倒的だった。GTX 1060の初動に劣らない勢いで人気を伸ばし、GTX 10シリーズを代表するグラフィックボードにまでなった。
ただし、GTX 1070とGTX 1070 Tiの価格が同じだったのはあくまでもリファレンスモデルである。メーカー製のグラフィックボードには僅かながら差があった。一部のショップではGTX 1070 Ti搭載モデルとGTX 1070搭載モデルに1万円近い価格差が設定されていた。
G-Tuneなどのリファレンスモデルを採用しているショップでは同じ価格での展開になっていた。価格差があっても、GTX 1080搭載モデルよりも安価だったことで、人気に差し障るようなことはなかったように思う。2019年にGTX 16・RTX 20シリーズが登場するまでの間、間違いなく人気No.1モデルだった。
中古価格は税込み23,800円と手頃で購入もあり
2023年02月時点で税込み23,800円ほどで中古販売されている。上記はじゃんぱらの中古価格のデータだ。下位モデルのGTX 1070との価格差は6,000円となっている。GTX 1070 Tiよりも新しいモデルながら性能の劣るRTX 2060が同じ価格であることを考えるとGTX 1070 Tiの中古価格はお買い得だと言えるかもしれない。
最新であることは、それだけで有利な機能や性能を持っている。RTX 20シリーズ以降のモデルではレイトレーシング・DLSSに対応している。コスパだけを重視するならGTX 1070 Tiが最良の選択で、機能面も考慮するならRTX 2060やRTX 3060も悪くない。中古での選択は価格と性能が最重要に考えるならGTX 1070 Tiがよさそうだ。現行のRTX 3060になると新品で44,800円前後と90%程度高価だ。
これなら中古でGTX 1070 Tiを選択するメリットは十分にある。グラフィックボードの買い替えは1,2世代前が一番お得である。GTX 1070 Tiは中古市場でも高い人気を誇っている。グラフィックボードの性能不足でPCの買い替えを検討しているなら、グラフィックボードの交換も一つの方法だ。
グラフィックボードはCPUと違い、マザーボードの影響をほとんど受けず交換のハードルが低いのも嬉しい。GTX 980以下からの買い替えであれば、性能的にも十分満足できるだろう。GTX 700シリーズ以下なら、どのグラフィックボードでも買い替え対象だ。最新のゲームに対応するためにグラフィックボードを買い換えるならGTX 1070 Tiがおすすめだ。
GeForce GTX 1070 Tiのベンチマーク
GTX 1070 Tiのベンチマークをまとめている。WQHD及び4K解像度かつ最高設定でのフレームレートを計測した。フルHDは下位のGTX 1060でも十分対応できるため省略している。総合するとGTX 1070 Tiは、GTX 1070ではなくGTX 1080寄りの性能を持つグラフィックボードだ。AMDのRadeon RX Vega 64と同等程度で、Radeon Vega 56となら圧倒している。詳細はそれぞれのタイトルを参考にしてほしい。
Grand Theft Auto 5
GTX 1080 Ti | |
GTX 1080 | |
GTX 1070 Ti | |
GTX 1070 | |
RX Vega 64 | |
RX Vega 56 |
Hitman
GTX 1080 Ti | |
GTX 1080 | |
RX Vega 64 | |
GTX 1070 Ti | |
RX Vega 56 | |
GTX 1070 |
Rise of the Tomb Raider
GTX 1080 Ti | |
GTX 1080 | |
GTX 1070 Ti | |
RX Vega 64 | |
GTX 1070 | |
RX Vega 56 |
Battlefield 1
GTX 1080 Ti | |
GTX 1080 | |
GTX 1070 Ti | |
RX Vega 64 | |
RX Vega 56 | |
GTX 1070 |
The Division
GTX 1080 Ti | |
RX Vega 64 | |
GTX 1080 | |
RX Vega 56 | |
GTX 1070 Ti | |
GTX 1070 |
GeForce GTX 1070 Ti発売当時の評価【2017年時点】
GTX 1080と変わらないパフォーマンスを発揮する(+)
総合性能ではGTX 1080に匹敵する高い性能を持つ。もちろん負荷の高い場面ではGTX 1080に軍配が上がるが、70番台としては十分な性能だ。前モデルのGTX 900シリーズでいうと最上位のGTX 980 Tiをも超える。GTX980Tiからの買い替えはGTX 1070 Ti以上が目安となる。
GTX 10シリーズには不動の1番人気モデルGTX 1060がある。価格が高く、後から登場したにも関わらずGTX 1070 Tiはその人気に割って入った。これまで、グラフィックボードはコアクロックを落とし、メモリ周りを強化したような後継機が多かった。ここまで完全に処理性能の高い後継機は初めてだ。
性能の伸びもGTX 970からGTX 1070 Tiでかなり大きいことがわかる。無印のGTX 970と比べるのではなく、後継機に近いGTX 980と比べてもそれは同じだ。スペックが大きく変わったGTX 10シリーズは、グラフィックボードに変化をもたらしたシリーズである。
TDP(消費電力)が高い(-)
コスパが高く人気があるグラフィックボードだが、唯一デメリットを挙げるとすれば性能をGTX 1080に近づけたことで消費電力が上がっていることだろう。GTX 1070の商品電力150Wから30Wアップの180Wだ。これはGTX 1080と同じだ。
グラフィックボードの交換を考えている方は、電源ユニットの見直しが必要になるかもしれない。また、当然発熱量も多くなっているので、GTX 1070 Ti搭載モデルの購入を検討する際には排熱に気を使う必要があるだろう。理想はミドルタワーとなる。
グラフィックボード単体での価格は高め(±)
発売から時間が経っているがまだ単体の価格は高めだ。品薄な状態が続いている状況だとメーカーから情報を得た。供給が追いつくまで価格設定は高くなってしまうが、GTX 1080に近い価格帯となるだろう。単体でのグラフィックボード購入は少し待った方が良い。
BTOパソコンで購入するとコスパは高い。搭載モデルの価格帯は15万円から20万円前後となっている。うまく構成を調整してGTX 1070搭載モデルと差別化できるように工夫されているところもある。売れ筋のゲーミングPC「ガレリアXF」に搭載されている人気のグラフィックボードだ。
GeForce GTX 1070 Ti搭載おすすめゲーミングPC紹介
GTX 1070 Ti搭載モデルは、ドスパラのGALLERIA ZV i7-9700K及びXVを筆頭に人気のモデルが揃っている。コストパフォーマンスが非常に高いのがその人気の秘密だ。今は、GTX 1070に代わって主力になっている。ただ、G-Tuneでは主力モデルであるNEXTGEARではGTX 1070 Ti搭載モデルを持たずGTX 1070のみの展開だ。ゲーミングPCの価格帯としては、140,000円~190,000円となっている。第7世代CPU搭載モデルは割安だが、選ぶメリットは薄い。第八世代CPU搭載モデルを選択するべきだ。
GALLERIA XV(ドスパラ)
価格:185,980円
CPU:Core i7-8700
GPU:GeForce GTX 1070Ti
メモリ:DDR4-2666 8GB
SSD:500GB
HDD:2TB
電源:650W BRONZE
GTX1070Tiを搭載した人気のゲーミングPCだ。WQHD環境でも快適にゲームプレイが可能。将来性も高いと言える。ドスパラでも売れ筋ランキング上位にランクインしている。CPUにはi7-8700を搭載しバランスが良い。SSD 500GB、HDD 2TBと強力なストレージも魅力。ドスパラらしい構成となっている。キャンペーン対象になりやすいモデルでもあるので定期的にチェックしておきたい。
GALLERIA ZV i7-9700K(ドスパラ)
CPU:Core i7-9700K
GPU:GeForce GTX 1070Ti
メモリ:DDR4-2666 8GB
SSD:500GB
HDD:2TB
電源:650W BRONZE
最新のCPU「Core i7-9700K」を搭載。8コア8スレッドと高いCPU性能を持っている。GTX1070Tiとの相性も良く評価できる。構成面も抜群でSSD 500GB、HDD 2TBとダブルストレージを採用。ゲーム動画もたくさん保存することができる。
GALLERIA ZV(ドスパラ)
CPU:Core i7-8700K
GPU:GeForce GTX 1070Ti
メモリ:DDR4-2666 8GB
SSD:500GB
HDD:2TB
電源:650W BRONZE
GALLERIA ZV i7-9700KとCPUが異なるだけで基本的な構成は同じだ。同額なため最新のモデルを選択する方が無難。過去王者になったこともあるが、旧型となった今その影を潜めている。
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ベンチマークテスト環境
CPU | Intel Core i7-5930K |
---|---|
メモリ | 16GB DDR4-2666 |
SSD | Samsung 960 Pro 512GB |
電源ユニット | EVGA SuperNOVA 1300 G2 |
マザーボード | Gigabyte GA-X99-UD4 |