radeonvegarx64
画像引用元:https://www.amazon.co.jp/(Amazon公式)

Radeon RX Vega 64のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。GCN 5.0世代におけるAMD製グラフィックボードのフラグシップモデルだ。GCN 3.0世代のRadeon R9 Fury Xの後継モデルということになる。競合モデルよりも1年遅れて登場したにも関わらずそれほど性能が伸びずGeForce GTX 1080と同程度に留まる。

なお、このグラフィックボードが発売された当時はBTOメーカーからはほとんど搭載モデルが発売されずTSUKUMOから1台だけ販売されていたぐらいだった。メーカーからしてもグラフィックボードについてはNVIDIA製の方が扱いやすかったのだろう。後継モデルは、「Radeon RX 5700 XT」あるいは「Radeon RX 5600 XT」だ。

よくわかる!!Radeon RX Vega 64の特徴まとめ【発売当時】

  • GTX 1080に匹敵する高い性能を持つ(+)
  • WQHD環境では高いパフォーマンスを発揮(+)
  • DirectX 11への最適化が不十分で苦手(-)
  • 消費電力が高く、電源効率は良くない(-)

Radeon RX Vega 64のスペック比較

Vega RX 64R9 Furx XGTX 1080
アーキテクチャVegaFijiPascal
プロセス14nm28nm16nm
トランジスタ数125億個89億個72億個
ダイサイズ484mm2596mm2314mm2
CUDAコア数4096基4096基2560基
コアクロック1247MHz-1354MHz
ブーストクロック1546MHz1050MHz1455MHz
GPUメモリ8GB4GB8GB
メモリタイプHBM2HBMGDDR5X
メモリクロック945MHz
(1.89 Gbps)
500MHz
(1.0 Gbps)
1251MHz
(10.0 Gbps)
メモリバス2048 bit4096 bit256 bit
メモリ幅483.8 GB/s512.0 GB/s320.3 GB/s
TDP295W275W180W
価格$499$649$499
発売日2017年8月21日2015年6月24日2016年5月27日

R9 Fury Xとの比較

Radeon RX Vega 64は、AMDのハイエンドグラフィックボードだ。多くのゲーマーが待ち望んでいたモデルだと思う。ハイエンドながらR9 Fury Xから$200安くなったのは嬉しい。発売まで時間が掛かっただけあって細かい部分でいくつか変更点がある。

まず、前モデルであるR9 Fury Xからの大きな違いは製造プロセスが28nmから14nmと小型化に成功していることだ。パワー効率の向上や省電力性の向上にメリットがある。また、プロセスが縮小化されたことでトランジスタ数を40%程度増やしているにもかかわらずダイサイズが20%近く小さくなっている。

メモリには最新のHBM2を採用し、実装面積を小さしたことに加えてデータの転送速度が二倍になりより効率的に情報のやり取りを行うことができる。GPUメモリが2倍の8GBになっていることもポイントだ。メモリバスが半分になっているがそこは転送速度とメモリクロックでカバーできる。

メモリ幅は483.8 GB/sとR9 Fury Xの512.0 GB/sよりも6%抑えられている。メモリバスが半減したことで消費電力を抑えることにつながっている。このHBM2は高性能だが高価ということもあってこれ以降のモデルでは搭載されていない。それだけ画期的な変化だったと言える。

GTX 1080との比較

GTX 1080と比較していこう。全体的に異なる点の多いグラフィックボードだ。プロセスは16nmとRadeon RX Vega 64の14nmと比べると大型だ。また、コア数は2560と40%ほど低くクロックは30%ほど大きい。これはRyzenとIntelの関係に非常に似ている。ただし、アーキテクチャが異なるため純粋に比較することは難しいので参考に留めておこう。

メモリタイプはGDDR5Xを採用している。メモリタイプに関しては遅れて発売しただけあってRadeonの方が高性能だ。メモリ速度及びクロック数が高いにも関わらずメモリ幅が320.3 GB/sとVega RX 64よりも33%抑えられている。消費電力はRX Vega 64よりもおよそ40%消費電力が抑えられていて基本的にはGTX 1080の方が省電力性が高いと言える。価格は同じ$499だ。

Radeon RX Vega 64の最新評価【2024年】

ローエンドクラス相当のゲーム性能を有する

Radeon RX Vega 64game
Radeon RX Vega 64のゲーム性能スコアは18,044となる。7年前に発売されたグラフィックボードだと考えれば悪くない。消費電力の高さはネックとなる。総合性能を見ると競合モデルであるGeForce GTX 1080の方が上だ。GeForce GTX 1070の後継モデルであるGeForce GTX 1070 Tiと同等レベルとなっている。実質の前モデルであるRadeon R9 Fury Xと比べると45%程度性能が高い。

アーキテクチャが進化して明らかな進歩が見られるのはさすがだ。その後登場したRadeon RX 5700と同等の性能で、その上位モデルであるRadeon RX 5700 XTになるとさらにパフォーマンスが向上している。AMD製のグラフィックボードに関してはRadeon 5000シリーズまではやや頭打ちとなっているというのが現状だった。

次世代のRX 6000シリーズの登場でNVIDIAと戦えるまでになっている。Radeon RX 6600 XTとの性能差は17%前後だ。ミドルクラスの王道であるRTX 3060には及ばずローエンドクラス相当の性能ということになる。Radeon RX Vega 64でもフルHD環境でなら設定次第である程度ゲームをプレイできそうだ。もっとも省電力性が低く現行モデルと比べて見劣りしてしまうのも事実だ。

コストパフォーマンスはGeForceに劣る

製品名ゲーム性能VRAMTDP価格コスパ発売日
GTX 108019,6508GB180W14,9801.3122016/05/27
GTX 1070 Ti19,1198GB180W13,4801.4182017/11/02
RTX 206018,1506GB160W18,9800.9562019/01/07
RX Vega 6418,0448GB295W19,9800.9032017/08/21
RX 660017,9008GB132W22,4800.7962021/10/13
RX 570017,1038GB180W18,9800.9012019/07/07
RX Vega 5614,0768GB210W13,9801.0072017/08/21
Radeon RX Vega 64の中古相場は19,980円~となる。正直Radeon RX Vega 64を中古で購入するならGeForce RTX 2060やRadeon RX 6600を購入するべきだ。省電力性も高く安定した運用ができる。コストパフォーマンス指標ではGeForce GTX 1080やGeForce GTX 1070 Tiが頭一つ抜け出ている。

Radeon RX Vega 64の特徴まとめ【2017年】

DirectX 12など最新のAPIに強いグラフィックボード(+)

RX Vega 64は、AMDのフラグシップモデルでDirectX 12やVulkanのようなゲーム・マルチメディア処理用APIに強いグラフィックボードだ。これは各タイトルのベンチマークをみれば一目瞭然だ。後述しているので合わせて参考にして欲しい。中古で安く購入できるとしても積極的に選ぶ理由はないだろう。

総合性能では確かにGTX 1080に劣ってしまう。タイトルによって振れ幅が大きく安定感という意味でもマイナスだ。それでも今後DirectX 12のタイトルが増えることを考えると将来性は高い。もちろん、そのときにはNVIDIAも合わせてくるだろうが。そのときにまたお互いが競争し合ってより良いモデルが生まれることになることを期待する。

当初想定していたよりも性能は高くなかった(-)

NVIDIAのGTX 1080やGTX 1080 Tiよりも約1年遅れて発売されたモデルだ。それだけ待たされたのだからそれなりの性能を持っているだろうと期待されていた。蓋を開けてみるとNVIDIAのフラグシップモデルには及ばず二番目のGTX 1080が競合となってしまった。その後NVIDAがリリースしたGTX 1070 Tiと同等だ。コストパフォーマンスでは明らかに遅れを取ってしまった。

先代のR9 Fury Xが、当時のNVIDIAの最上位モデルであるGTX 980と同等の性能を持っていたことを考えると妥当な範囲と言えるかもしれない。これでも十分高い性能を持っているのだが少し物足りない結果となった。後継モデルのRX 5000シリーズが登場してもやや物足りなさが残る。AMD製のグラフィックボードは、CPUに比べると苦戦していることがわかる。

ラインナップがほとんど増えずNVIDIAに完敗(-)

Radeon RX Vega 64は各BTOメーカーでの取り扱いがほとんどなく静かにその役割を終えることになった。やはり想定よりも性能が伸びず割高感があったことが採用されなかった要因かもしれない。この世代のRadeonシリーズは、GeForceシリーズと比べて安定感にも欠けていて扱いづらいグラフィックボードだったと言える。ドスパラ・G-Tune・TSUKUMOでもほとんど取り扱いがなかったのだ。ここからRadeonシリーズは進化を重ねてGeForceと対等な立場にまで上り詰めている。この時代のモデルがあるからこそ今に繋がっているのだ。

Radeon RX Vega 64のゲーミングパフォーマンス

Rise Of The Tomb Raider

Rise Of The Tomb RaiderVega RX64risetomb

DirectX 12に対応したタイトルだ。最高設定での数値を表示している。GTX 1080とRX Vega 64が並ぶ結果となった。GTX 1070 Tiをも上回っているのは評価できる。4K解像度ではGTX 1080の方が1fps上回るがそれほど気にならない。Rise of The Tomb Raiderならほぼ同等だと考えてよいだろう。

Battlefield 1

battlefieldVega RX64battlefield

BattlefieldではVega 64の長所が浮き出る結果となった。GTX 1080に比べてWQHD及び4K解像度で約10%高いfpsとなっている。RX Vega 64なら4Kでも62fpsとなりさくさくプレイすることが可能だ。一方で、RX Vega 56との性能差がそれほど大きくないことも気になる。コストパフォーマンスではRX Vega 56の方が優秀かもしれない。

Hitman

hitmanVega RX64hitman

最高設定での数値だ。Hitmanについては両者互角と考えて良い。GTX 1080 Tiになると頭ひとつ飛び抜けている。RX Vega 56との差が大きい。しっかりと性能差が表れている。

DOOM

doomVega RX64doom

Vulkan APIのタイトルだ。RX Vega 64はGTX 1080より10%高い数値となっている。GTX 1070 Tiをも上回る。最新のAPIにはやはり強いグラフィックボードだ。ただし、GTX 1080 Tiには遠く及ばない。

Grand Theft Auto V

gta5Vega RX64gta5

GTA5は、DirectX 11のタイトルだ。GTX 1080と比べるとかなり劣る。WQHDでのゲームプレイ自体に支障はないが、およそ20%も劣ってしまうのは気になる。苦手なジャンルがはっきりしている。色々なタイトルをプレイしたいと考えているならこのデメリットは理解しておく必要がある。

Radeon RX Vega 64搭載おすすめBTOパソコン

LEVEL-R0X4-R72X-VSVI-PGB(パソコン工房)

LEVEL-R027-i7-RNR価格:199,980円
CPU:Ryzen 7 2700X
GPU:Radeon RX Vega 64
メモリ:DDR4 16GB
SSD:NVMe対応 M.2 250GB
HDD:1TB
電源:800W 80PLUS TITANIUM認証

パソコン工房から唯一のラインナップが発売中だ。CPUには同じAMDのRyzen 7 2700Xを搭載している。現行最強のCPUとのバランスはよい。メモリ16GB、SSD 250GB、HDD 1TBと構成も充実している。電源ユニットは800W TITANIUMと最高峰のモデルが選択されている。やはり消費電力の高さをカバーするにはこれぐらいのモデルが必要だということだろう。

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