ミニタワーかミドルタワーのどちらを選ぶべきか、ケースの違いを徹底検証【2026年】

ミニタワーあるいはミドルタワーのどちらを選ぶべきかについて解説していく。上記画像の左側がミニタワーで、右側がミドルタワーだ。各BTOメーカーのラインナップのほとんど（90%以上）がいずれかに分類されると考えて間違いない。

数年前に各BTOメーカーがこぞって販売していたスリム型やキューブ型（小型）のモデルは、現在では姿を消しつつある。ある種、スタンダードな形に時代が回帰したと言えるだろう。ミニタワーおよびミドルタワーケースについて違いを知りたいという方や、どちらのケースを購入しようか悩んでいる方は、ぜひ参考にして欲しい。

ミニタワーとミドルタワーの特徴を比較

主力BTOメーカーのケースサイズを比較

参考（旧モデル）

同じミニタワーというカテゴリーでもBTOメーカーごとにサイズは異なる。上記画像は左からサードウェーブMagnate/Lightningシリーズ、LEVEL∞ Mシリーズ、G TUNEミニタワー、GALLEIRA Rシリーズだ。GALLERIAの存在感が凄い。より小さなケースを求めるならLEVEL∞やG TUNEのケースは魅力的だろう。

ミニタワー（GALLERIA Rシリーズなど）の概要

ミニタワーはコスパを重視したい方向け！

ミニタワーは、コストパフォーマンスを重視したいユーザーに最適なケースといえる。多くのBTOメーカーが廉価ブランドの主力として採用しており、ラインナップが豊富なため価格競争が起きやすく、ユーザー側のメリットは大きい。ミドルタワーと比べて本体がコンパクトな点も魅力だが、近年のミニタワーはグラフィックボードの発熱量増加に伴い、以前のモデルよりも大型化している。その結果、かつての弱点だった排熱性能の低さはある程度克服されている。

一方で、依然として残るデメリットは、拡張性の低さだ。メモリの最大容量、ストレージ搭載可能数、拡張スロットの数が限られるため、将来的な増設を検討している場合は注意が必要となる。また、大型の水冷クーラーやハイエンドのグラフィックボードは物理的に搭載できないケースも多い。しかしながら、購入後にパーツの交換や増設を予定していない初心者の方であれば、これらの制約は大きな問題にはならないだろう。もっとも購入前は増設しないと思っていても気が変わる可能性も否定できない。

ミニタワーの特徴＆弱み

価格が安い

ミニタワーは、ミドルタワーと比べてリーズナブルな点が大きな特徴だ。同じスペック構成であっても、ミドルタワーより5,000円～10,000円ほど安く設定されていることがほとんどである。そのため、コストパフォーマンスを重視する当サイトのおすすめランキングでも上位に入りやすい。もちろん、PCの性能は搭載するグラフィックボードやCPUなどのパーツに依存するため、ケースのサイズ直接的に処理性能に影響することはない。

少しでも予算を抑えてゲーミングPCを手に入れたいなら、ミニタワーケースを第一候補にするとよいだろう。安さの理由は、ケース本体の製造コストが低いことに加え、採用されるマザーボードのコストも抑えられるからだ。ミニタワーで一般的に採用されるMicro-ATX規格のマザーボードは、標準的なATX規格よりもサイズが小さく、機能を必要最小限に絞っている分、価格が安く設定されている。

選択肢が豊富で売れ筋モデルが揃う

ミニタワーは、どのBTOメーカーにおいても主力であり、豊富なラインナップを揃えているのが特徴だ。 実際、ドスパラの売れ筋ランキングを確認すると、ミニタワーが上位3モデルを独占している。これは、GeForce RTX 5070までのモデルであれば、必ずしもミドルタワーである必要がないことを示唆している。逆に、80番台のハイエンドクラス以上のモデルは、性能面でも価格面でも一般ユーザーのボリュームゾーンにはなりづらいのが実情だ。

こうした市場背景を考慮しても、まずはミニタワーを第一候補に挙げて間違いはないだろう。ドスパラのGALLERIA（Rシリーズ/THIRDWAVE-G）、マウスコンピューターのG TUNE・NEXTGEAR、パソコン工房のLEVELΘなど、主力ブランドの多くがこのクラスに注力している。これほどまでにミニタワーが普及している事実は、このサイズでもゲーマーの需要を十分に満たせているという証明でもある。

省スペース

ミニタワーは、その優れた省スペース性が魅力のケースだ。パソコンを持っての部屋感の移動も行いやすい。設置場所を限定されにくいため、部屋の広さが限られているユーザーや、一人暮らしの方でも導入しやすい。また、落ち着いたデザインのモデルを選べばリビングに置いても違和感がなく、デスク上に設置するのも容易だ。

初めてゲーミングPCを購入する方は、自宅に届いた段ボールの大きさに驚くことも多いだろう。これはミニタワーであっても同様だが、ミドルタワーになるとさらに一回り大きく、設置場所がかなり限定されてしまう。必要十分な拡張性を備えつつ、日本の住宅環境にマッチしたコンパクトさを兼ね備えている点が、ミニタワーの大きな強みといえる。

拡張性・排熱性能に劣る

ケースが小さいことによるデメリットとしては、拡張性および排熱性能の低さが挙げられる。ケース内部の物理的な余裕が少ないため、どうしても拡張性は制限されてしまう。モデルによってはグラフィックボードなどのパーツ交換が物理的に困難な場合もある。 特にハイエンドクラスのグラフィックボードは本体が大型化しているため、事前のサイズ確認が必須だ。また、360mmラジエーターを採用した大型の水冷CPUクーラーなども、ミニタワーでは搭載できないことが多いため、大掛かりなパーツ交換や増設はやや苦手といえる。

また、マザーボードの規格がMicro-ATXの場合、メモリスロットが2つ（ATXは4つが主流）しかないモデルも多い点は理解しておこう。 例えば、16GB（8GB×2）から32GBに増設したい場合、空きスロットがないため、既存のメモリを抜いてから新しい16GBメモリを2つ用意しなければならない。標準搭載されていた8GB×2のメモリは使い道がなくなり、余剰パーツとなってしまう。メモリ容量を増やすだけでも手間とコストがかかるのが難点だ。

排熱性能についても同様で、内部空間が狭いことで熱がこもりやすい傾向にある。もっとも、近年のケースはエアフローの工夫により、以前より冷却効率が向上している。高性能なCPUやビデオカードを積むなら、サイドパネルの吸排気やファン増設などの熱対策が重要だ。ただ、省電力性に優れたミドルクラスまでのパーツ構成であれば、ミニタワーのデメリットをそれほど意識せずに運用できるだろう。

ミニタワーの人気モデル一覧

Lightning-G AV-Ti7W 7 7700/RTX5060Ti 8GB(ドスパラ)

価格：218,980円+送料3,300円
CPU：Ryzen 7 7700
GPU：GeForce RTX 5060 Ti 8GB
メモリ：DDR5-5600 16GB（シングル）
ストレージ：SSD 500GB Gen4 NVMe
電源：650W 80PLUS BRONZE
マザボ：チップセットA620A
コスパ：9.4

Lightning-G AF7W Ryzen7 7700搭載 (ドスパラ)

価格：247,980円+送料3,300円
CPU：Ryzen 7 7700
GPU：GeForce RTX 5070
メモリ：DDR5-4800 16GB
ストレージ：SSD 500GB Gen4 NVMe
電源：750W 80PLUS GOLD
マザボ：チップセットA620
コスパ：9.0

ミドルタワー（GALLERIA Xシリーズなど）の概要

ミドルタワーは万人におすすめできる！

ミドルタワーは、ゲーミングPCの標準ともいえるケースだ。ミニタワーとミドルタワーのどちらにすべきか悩んでいるなら、まずはミドルタワーを基準に検討することをおすすめしたい。事実、ツクモなどの大手BTOメーカーでも、ミドルタワーを採用したモデルは常に売れ筋となっている。ドスパラも時期によってはミドルタワーが上位に入ることもある。

ミドルタワーはミニタワーよりも一回りサイズが大きい分、拡張性と排熱性能に圧倒的な強みがある。特にGeForce RTX 5070 Ti/Radeon rX )070 XT以上のハイクラスなグラフィックボードを選択する場合、ミドルタワーの持つ冷却能力の恩恵を最大限に受けることができるだろう。

ゲーミングPCにとって、優れた冷却効率と拡張性は安定動作に欠かせない要素だ。排熱性能が高ければ、高負荷なゲーム時でも熱によるパフォーマンス低下を心配することなく、パーツの性能を引き出すことができる。また、内部に余裕があれば、将来的なストレージの増設やグラフィックボードの換装、大型CPUクーラーへの交換といったアップグレードにも容易に対応可能だ。

双方にメリット・デメリットはあるが、究極の選択を迫られれば、私は間違いなくミドルタワーを推奨する。価格や本体サイズといったデメリットは、事前の確認と工夫でカバーできるからだ。拡張性や排熱の不足は用途によっては致命的な制限となるが、設置場所さえ確保できるのであれば、ミドルタワーを選んで後悔するリスクは極めて低いと言える。

ミドルタワーの特徴＆弱み

ハイクラスモデルが選択可

ミドルタワーを選ぶ最大の理由は、圧倒的な高性能構成を選択できる点にある。確かに現在の売れ筋はミニタワーだが、その多くは上位グレードでもGeForce RTX 5070までの搭載に留まっている。それ以上のハイクラスのグラフィックボードを求めるなら、選択肢は必然的にミドルタワーへと絞られる。近年、グラフィックボードが巨大化しており、

物理的な収納スペースが必要なことはもちろん、安定動作のための冷却性能や理想的なエアフローの確保が不可欠だからだ。4K解像度や高リフレッシュレートでのゲームプレイにこだわり、最高峰の環境を構築したいのであれば、ミドルタワーケースの採用モデルを積極的に検討してほしい。

拡張性・排熱性能が高い

ミドルタワーは、優れた拡張性と内部スペースの余裕による排熱性能の高さが最大のメリットだ。 拡張性が高いということは、将来的なパーツの入れ替えが容易であることを意味し、一台のパソコンをより長く愛用できることに繋がる。パソコンパーツの価格が高騰していることもあり、中身をアップデートしながら使い続けやすいミドルタワーの優位性は高い。

内部スペースにゆとりがあることに加え、採用されるATX規格のマザーボードは、ミニタワーで採用されるMicro-ATXよりも拡張スロットや端子類が豊富な点も大きな強みだ。また、ここ数年のCPUやグラフィックボードは飛躍的に性能が向上した一方で、消費電力と発熱量も増加している。パーツのポテンシャルを最大限に引き出すためには、効率的な熱処理が不可欠だ。エアフローの観点でもミドルタワーは圧倒的に有利であり、GeForce RTX 5070 Ti/Radeon RX 9070 XTクラス以上のハイエンド構成を目指すなら、迷わずミドルタワー以上のケースを選びたい。

本体が大きく設置場所を選ぶ

ミドルタワーは本体サイズが大きく、どこにでも気軽に設置できるわけではない。これは、高い拡張性と排熱性能を実現するための代償とも言えるだろう。ミドルタワーケースの存在感は圧倒的で、一般的なデスクの上に置くには少々厳しいサイズ感だ。基本的には足元への設置が前提となり、相応の専有面積を必要とする。一人暮らしなどで居住スペースが限られている場合は、部屋全体にかなりの圧迫感を与えてしまう可能性があるため、慎重に検討すべきだ。

また、設置場所に加えて動作音についても考慮しておきたい。ミドルタワーは冷却効率を高めるためにケースファンの数が多くなりがちで、PCに負荷がかかる場面ではファンの回転音が目立ちやすい。これはパーツを守るための排熱効率とのトレードオフであり、ある程度の割り切りが必要だ。もっとも、デスクの下に設置してしまえば耳から距離ができるため、それほど神経質になる必要はないだろう。

取り扱いが減ってきている

最近のトレンドを見ると、BTOメーカーはミドルタワーよりもミニタワーに注力しているように見受けられる。特にドスパラやパソコン工房では、ミドルタワー構成になると価格が大幅に上昇する傾向にあり、ユーザーにとってはミニタワーの方が圧倒的に選びやすい。実際、ドスパラやパソコン工房の売れ筋はミニタワーに集中している。

一方で、ツクモやフロンティアは依然としてミドルタワーの人気が高い。特にツクモでは、エントリークラスからハイエンドクラスまですべての性能帯においてミドルタワーのラインナップが充実しているのが特徴だ。一般的にミニタワーでは、排熱の問題からハイエンドクラスの構成が用意されないことが多い。搭載されるグラフィックボードは、せいぜいGeForce RTX 5070までが限界だ。そのため、ハイクラス以上の高性能モデルを探しているなら、必然的にミドルタワーを選択することになるだろう。

ミドルタワーの人気モデル一覧

G-Master Spear X870A (サイコム)

価格：365,530円 345,530円（送料無料）
CPU：Ryzen 7 9700X
GPU：GeForce RTX 5060 Ti 16GB MSI
メモリ：DDR5-5600 32GB
ストレージ：SSD 1TB Gen4 NVMe
電源：750W 80PLUS GOLD SilverStone
マザボ：チップセットX870
コスパ：5.8

GALLERIA XPC7A-R57-GD（ドスパラ）

価格：319,980円+送料3,300円
CPU：Core Ultra 7 265F
GPU：GeForce RTX 5070
メモリ：DDR5-5600 16GB
ストレージ：SSD 500GB Gen4 NVMe
電源：750W 80PLUS GOLD
マザボ：チップセットB860
コスパ：8.6

各BTOショップの主力製品一覧【画像付き】

ドスパラ GALLERIA Xシリーズ

BTOパソコンとしては珍しくミドルタワーのGALLERIA Xシリーズが主力製品（売れ筋）となっている。高い性能と充実した構成はミニタワーでは再現しにくく、ミドルタワーならではの構成のモデルが多い。拡張性も高くGeForce RTX 5090搭載モデルも選択できる。水冷CPUクーラーは360mmまで対応可能だ。従来のケースでは240mmまでしか搭載できなったので、時代に合わせた進化を遂げたといえる。中古市場でも人気が高く売却しやすいというメリットがある。

ドスパラ THIRDWAVE-Gシリーズ

廉価ブランドのTHIRDWAVE-Gシリーズのケースだ。ガレリアブランドと比べて、価格が安めに設定されていることもあってコストパフォーマンスの高いモデルが揃っている。サイズ的にはGALLERIA Xシリーズよりも一回り小さい。白と黒の2色展開だ。

マウスコンピューター G TUNEブランド

G TUNEブランドのミニタワーケースだ。2025年7月30日にリニューアルされた。背面及び上部への排熱するエアフロー設計を採用している。高さを抑えつつ奥行きを大きくすることで大型のグラフィックボードを搭載できる工夫が行われている。大型グラフィックボード搭載用にサポートバーが搭載できる仕様だ。これも時代の流れといえそうだ。

マウスコンピューター NEXTGEARブランド

マウスコンピューターが販売するゲーミングブランドNEXTGEARのゲーミングPCだ。ミニタワーケースを採用している。デザイン性が高く人気がある。カラーはブラックとホワイトを選択できる。正面から見えるケースファンがいいアクセントになっているように思う。

パソコン工房 LEVELθブランド

パソコン工房の新しいゲーミングブランドLEVELθではミニタワーケースが採用されている。ブラックとホワイトから好きなカラーを選択できる。サイドパネルが観音開きでメンテナンス性に優れている。

最後に

ミニタワーは価格が安く省スペース性に優れるため、初心者から上級者まで根強い人気がある。一方で、ミドルタワーに比べると長期的な運用面での制限が多く、製品寿命という観点では一歩見劣りするのも事実だ。ただし、近年はミニタワーは内部スペースが拡大されエアフローも最適化されており、かつてのモデルほど過度に心配する必要はないだろう。注意すべきは、エアフロー設計が古い世代のミニタワーモデルだ。

また、ミドルクラス以下の構成であればケースサイズによる影響は限定的なので、あまり神経質になりすぎなくてもよい。重要なのはパーツの性能とケースのサイズを合わせることだ。ミドルタワーは、PCを長く快適に使うための要素をすべて備えており、そのサイズや価格というデメリットも、運用の工夫で十分にカバーできる範囲内にある。

結論として、ミニタワーは低予算と省スペース性を最優先する人向け、ミドルタワーは迷っているすべての人に推奨できる標準的な選択肢と判断してよいだろう。最後に一つ注意点がある。「なんとなく小さいほうがいい」という理由だけでミニタワーを選ぼうとしているなら、少し踏みとどまってほしい。コンパクトといってもタワー型である以上、一般的な家電やノートPCに比べれば十分に大きいからだ。

ミドルタワーとの差は、幅31〜41mm、奥行き98〜146mm、高さ70〜110mm程度であることが多い。ミニタワーは置けるのにミドルタワーは置けない、という状況は実は稀だ。設置場所に余裕があるなら、ミドルタワーを基準に選ぶべきだろう。スペースがあるにもかかわらず安易にミニタワーを選んでしまうと、省スペースの恩恵を感じられないまま、拡張性の低さと排熱効率の悪さという弱点だけを抱え込むことになりかねない。