AORUS 15G XB-8JP2130MP画像引用元:https://www.ark-pc.co.jp/

当ページでは、Core i7-10875Hのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。第10世代Comet Lake Hシリーズの中でも最も面白いCPUの一つだ。8コア16スレッドとかつてのCore i9シリーズと同等のスペックを持つCPUがCore i7シリーズ最上位に降りてきた。実質Core i9-9980HKの後継モデルと言える。ゲーミングノートPCのCPUとしては性能と価格のバランスのよい「Core i7-10750H」が主流になる可能性が高いが、このCore i7-10875Hもある程度ラインナップが増えるのではないかと思う。2024年8月時点で多くの中古ゲーミングノートPCが販売されている。

どのぐらいのゲーミング性能を持っているのかを詳しく見ていこう。なお、2021年に後継モデルである「Core i7-11800H」が登場した。次世代モデルではCore i7シリーズは8コア16スレッドのみのラインナップだ。6コア12スレッドというスペックはCore i5-11400Hに委ねられている。つまり、Core i7-10875Hの方がポテンシャルが高いということだ。次世代に繋がるモバイル向けハイパフォーマンスCPUとなったことを意味する。

よくわかる!!Core i7-10875Hの特徴まとめ

コードネーム Comet Lake
プロセス 14nm++
コア/スレッド数 8コア/16スレッド
定格/最大クロック 2.3 GHz/ 5.1 Ghz
L3キャッシュ 16MB
TDP 45W
発売日 2020年05月22日
価格 $450
コメント 前世代のCore i9に匹敵する高いスペックを持つ
価格が高くそれほどラインナップが増えない可能性が高い
発熱量も多くノートパソコン向けとは言いにくい
評価 ・総合評価
7.0

・ゲーム評価
7.0

Core i7-10875Hの基本情報

基本スペック

Core i7-10875H Core i9-10980HK Core i9-9980H
メーカー Intel Intel Intel
コードネーム 14nm++ 14nm++ 14nm++
プロセス Comet Lake Comet Lake Comet Lake
CPUコア数 8コア 8コア 8コア
スレッド数 16スレッド 16スレッド 16スレッド
定格クロック 2.30 GHz 2.40 GHz 2.30 GHz
最大クロック 5.10 GHz 5.30 GHz 4.80 GHz
L3キャッシュ 16MB 16MB 16MB
対応メモリ DDR4-2933 DDR4-2933 DDR4-2666
TDP 45W 45W 45W
MSRP $450 $583 $556
発売日 Q2’20 Q2’20 Q2’19
Coffee Lake世代のCore i9-9980HKとComet Lakeの上位モデルCore i9-10980HKと比較していく。スペックを見るとCore i9-9980Hに酷似していることがわかる。コードネームこそCoffee Lake-RとComet Lakeという違いはあるもののプロセスは同じ14nmを採用していてアーキテクチャはほぼ共通していると考えて良い。8コア16スレッドとマルチスレッド性能の高さに注目だ。

定格クロックは同じ2.30GHz、最大クロックは4.80GHz→5.10GHzへと7%程度引き上げられている。ノート向けモデルで5.0GHzオーバーは驚きだ。L3キャッシュは同じ16MBを搭載している。対応メモリについては規格がDDR4-2933と高性能なものになっている。今回のComet Lakeで大きく変わった部分だ。もう一つ価格が$556から$450へと20%安くなったのも嬉しい。

現行上位のCore i9-10980HKとスペックを比較してこう。プロセス、アーキテクチャーは当然共通している。8コア16スレッドも同じだ。定格クロックは2.30GHz→2.40GHz、最大クロックは5.10GHz→5.30GHzへと引き上げられている。消費電力は45Wだ。価格が$583とかなり高めで前モデルのCore i9-9980Hと同水準となっている。

AMD製CPUと比較

Core i7-10875H Ryzen 9 4900HS Ryzen 7 4800H
メーカー Intel AMD AMD
コードネーム 14nm++ 7nm 7nm
プロセス Comet Lake Zen 2 Zen 2
CPUコア数 8コア 8コア 8コア
スレッド数 16スレッド 16スレッド 16スレッド
定格クロック 2.30 GHz 3.00 GHz 2.90 GHz
最大クロック 5.10 GHz 4.30 GHz 4.20 GHz
L3キャッシュ 16MB 8MB 8MB
対応メモリ DDR4-2933 DDR4-3200 DDR4-3200
TDP 45W 35W 45W
MSRP $450
発売日 Q2’20 Q2’20 Q2’20
AMD製のノート向けCPUのスペックについても見ていこう。直接の競合はRyzen 7 4800Hということになるはずだ。価格は未定だがほぼ同じぐらいになるだろう。AMD自慢のZen 2コアを採用している。8コア16スレッドとマルチスレッド性能が高い。定格クロックが2.90GHzとCore i7-10875Hの2.30GHzよりも28%ほど高くなっている。一方で、最大クロックは4.20GHzとかなり抑えられている。L3キャッシュはCore i7-10875Hの半分の8MBだ。

Ryzen 9 4900HSは、消費電力が35Wに抑えられた省電力CPUとなっている。Ryzen 7 4800Hと同様に競合になる可能性がある。Ryen 7 4800Hと比べてわずかにクロック周波数が高い。それでもCore i7-10875Hの最大クロック5.10GHzには遠く及ばない。L3キャッシュは8MBとなっている。

Intel Core i7-10875Hの総合性能

corei7-10875Hbenchmark

Core i7-10875Hは、従来モデルのCore i7-9750Hと比べて37%もマルチスレッド性能が向上している。ゲーミング性能も間違いなく高くなった。8コア16スレッドのモバイル向けモデルが地位を築いたと言える。後継モデルであるCore i7-11800Hになると40%程度パフォーマンスが高くなる。

現行モデルで言えばCore i5-11400Hと同等の性能を持つ。Core i5-11400Hが6コア12スレッドなので、いかにCPUコアが最適化されたのかが想像できるだろう。Core i7-10875Hは2021年時点でも通用するCPUだ。Core i7-10750Hよりも長く使えそうだ。

Core i7-10875Hの最新評価【2025年】

i7-10875hscore

Core i7-10875Hの性能スコアは11,739だ。次世代のCore i7-11800Hと比べると30%近くパフォーマンスが劣るものの最低限必要な性能を有している。GeForce RTX 3060 Mobileとの組み合わせが多かったように思う。中古市場を見るとGALLERIA XL7C-R36が大半を占めていることがわかる。それほど当時売れたモデルであることの証明だ。中古で狙うのは悪くない。最近は円安や部材高騰の影響で価格が上昇傾向にあり、中古ゲーミングノートPCの割安感が際立つ。GeForce RTX 3080 Mobileなど当時のハイエンドクラスとの組み合わせは要注意だ。CPUがボトルネックとなってしまう可能性がある。60番台までのモデルを選択すると失敗はしないだろう。

Core i7-10875Hの特徴【2020年】

Core i7-10875Hは競合のAMDを意識したCPU

Core i7-10875Hが生まれたのはAMDの存在があったからと言っても過言ではない。AMDがRyzen 7 4800Hという8コア16スレッドのモデルを市場に投入することに対してCore i7-10875Hを当てたことになる。これで8コア16スレッド搭載モデルを以前より安く購入できるようになった。ユーザーからするとメリットが大きいと言える。

長い間IntelはゲーミングノートPC向け市場を独占していたので、彼らはすでにユーザーやメーカーの心を掴んでいる。Core i7-10875Hが、市場でどのような立ち位置になるのか気になるところだ。それはIntelのCPU内だけではなくRyzenを含めて注目したい。

価格・排熱がネックで主力にはなれない可能性が高い

Core i7-10875Hは、8コア16スレッドと性能の高さが魅力のCPUだ。ゲーミングノートPCのCPU性能の底上げに一役買う存在だと言える。動画編集やRAW現像をしたいと考えているクリエイターの方にもおすすめだ。一方で、性能が高いゆえのデメリットがある。一つは価格だ。単体価格で $450とCore i7-10750Hの$395よりもおよそ15%高価だ。

性能が高いということは発熱量が高くなるということに繋がる。熱をコントロールできないとパフォーマンスを100%引き出すことができない。そうなると本末転倒なので、各BTOメーカーは本体にお金を掛ける必要がある。ここでもコストが掛かってしまうのだ。本体が大きく、重くなってしまうデメリットも生じる。なかなか扱いが難しいCPUだと言える。

現時点で搭載モデルのラインナップは限定的

2020年5月時点でCore i7-10875Hを搭載したゲーミングノートPCはほとんどない。GIGABYTEから数モデルが販売されているぐらいだ。ユーザーからすると選択肢がないのは厳しい。GTX 1660 TiやGTX 1650 Ti SUPERなどミドルクラス以下のモデルとの組み合わせは考えにくいためラインナップ自体も限定的になるだろう。

もしかしたら、今後増えていく可能性はあるが下位のCore i7-10750Hに比べると数は少ないはずだ。国内メーカーからの販売はほとんどなく海外メーカーが中心になると考えている。GIGABYTE、MSIなどゲーミングノートPCの販売に力を入れているところが有望だ。

Core i7-10875Hのベンチマーク一覧

Cinebench R20

cinebenchcinebenchr20-i7-10875h

Core i7-10875Hは、下位モデルであるCore i7-10750Hと比較してマルチスレッド性能は12%高い。シングルスレッド性能については10%程度だ。シングルスレッド性能の高さはトップとなっている。ゲームプレイに有利に働くはずだ。Ryzen 7 4800Hはマルチスレッド性能がずば抜けている。

Ryzen 9 4900HSをも上回るが、これは消費電力の差が生じているのかもしれない。Core i7-10875Hと比べて50%近くスコアが高い。従来モデルのCore i9-9980HKと比べるとマルチスレッド性能が6%劣るが、シングルスレッド性能では8%上回っている。

もちろんこれはあくまでもベンチマークなのでリアルにおいて完璧に当てはまるわけではない。それでもこれだけ高いマルチスレッド性能は驚きだ。ゲームプレイにおいてCore i7-10875Hがどこまで健闘できるのかがポイントとなる。

Handbrake

handbrakeHandbrake-i7-10875h

Handbrakeで動画のエンコードに掛かる時間を計測している。Core i7-10750Hよりも14%高性能だ。Ryzen 7 4800Hが強さを発揮している。およそ25%と差が大きい。マルチスレッド性能の高さは健在だ。定格クロックが高いのがパフォーマンスに影響を与えている可能性が高い。

PCMARK10

pcmark10Pcmark10-i7-10875h

PCMARK10では、Core i7-10875Hが健闘する結果となった。Ryzen 7 4800Hと比べて、Essentials Testでは4%ほど高いが、Productivity Testでは3%低い。他のベンチマークと比べると十分なスコアが出ているように思う。下位モデルであるCore i7-10750Hとの差は10%以上と大きい。

Core i7-10875H搭載おすすめ中古ゲーミングノートPC

GALLERIA GCL2060RGF-T875 16765(ドスパラ)

GALLERIA GCL2060RGF-T875 16765価格:73,800円
液晶:15.6インチFHD
重量:不明
CPU:Core i7-10875H
GPU:GeForce RTX 2060 Mobile
メモリ:16GB
ストレージ:SSD 512GB
電源:ACアダプター

公式サイト

GeForce RTX 2060 Mobileを搭載したゲーミングノートPCだ。15.6インチFHDディスプレイを搭載している。2020年12月8日に発売されたモデルだ。今ならドスパラで中古モデルを購入できる。税込7万円台はお買い得だ。メモリ16GB・SSD 512GBと構成も十分といえる。

GALLERIA XL7C-R36 168098(ドスパラ)

GALLERIA XL7C-R36 168098価格:94,900円
液晶:15.6インチFHD
重量:不明
CPU:Core i7-10875H
GPU:GeForce RTX 3060 Mobile
メモリ:16GB
ストレージ:SSD 512GB
電源:ACアダプター

公式サイト

Core i7-10875H×GeForce RTX 3060 Mobile搭載のミドルクラスのゲーミングノートPCだ。2021年3月2日に発売されたモデルで、発売当時の価格は145,979円だった。およそ35%オフで購入できる。そこまで古いモデルでもないので狙い目といえるだろう。

GCL2060RGF-T875(ノーブランド)

GCL2060RGF-T875価格:116,982円
液晶:15.6インチFHD 144Hz
重量:不明
CPU:Core i7-10875H
GPU:GeForce RTX 2060 Mobile
メモリ:16GB
ストレージ:SSD 1TB
電源:ACアダプター

公式サイト

Core i7-10875H×GeForce RTX 2060 Mobile搭載のミドルクラスの一台だ。GeForce RTX 2060 Mobile搭載モデルとして見るとやや価格は高い。ストレージにSSD 1TBを搭載していることが要因の一つかもしれない。高リフレッシュレート対応モニターを搭載しているが、GeForce RTX 2060 Mobileの性能ではそこまで期待できない。

Core i7-10875H搭載のBTOノートパソコン一覧

mouse K5(マウスコンピューター)

mouse K5価格:131,780円(税込)
モニター:15.6インチ
CPU:Core i7-10875H
GPU:GeForce MX350
メモリ:DDR4-2666 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載

グラフィックスにGeForce MX350を搭載したモデルとなっている。ゲームプレイに適しているわけではないのでおすすめはしない。現在唯一残っているCore i7-108750H搭載モデルなので掲載しているに過ぎない。メモリ16GB、SSD 512GBという構成だ。ビジネスモデルとすればまずまずのモデルだ。

GALLERIA XL7C-R36(ドスパラ)

GALLERIA XL7C-R36価格:159,980円(税込)
モニター:15.6インチ 144Hz
CPU:Core i7-10875H
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載

RTX 3060 Mobile搭載の最安値クラスのゲーミングノートPCだ。ドスパラが他を寄せ付けない圧倒的な製品を投入してきた。RTX 3060 Mobile×i7-10875H搭載で税抜13万円台は素晴らしい。Core i7-10875Hは8コア16スレッドとマルチスレッド性能が高くノート向けモデルとしては最高峰のCPUだと言える。RTX 3060 Mobileとの組み合わせでボトルネックになることもない。メモリ16GB、SSD 512GBと構成も必要十分だ。

AORUS 15G YB-8JP2130MP(GIGABYTE)

AORUS 15G XB-8JP2130MP価格:384,780円(税込)
液晶:15.6インチ 240Hz
重量:約2.2kg
駆動時間:約8時間
CPU:Core i7-10875H
GPU:GeForce RTX 2080 SUPER
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載

AORUS 15Gシリーズのフラグシップモデルとなっている。グラフィックボードにはハイエンドのRTX 2080 SUPERを搭載。4K解像度でのゲームプレイにも対応できる高い性能が魅力だ。Core i7-10875Hの高い性能との相性も良い。メモリ16GB、SSD 512GBとグラフィックス性能とCPU性能を考えるとやや控え目に感じてしまうかもしれない。ゲームプレイを存分に楽しみたい方は要チェックだ。

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モデル Gigabyte Aorus 15G XB
GPU Nvidia GeForce RTX 2070 Super Max-Q
メモリ 16GB DDR4-2933
ストレージ 512GB SSD