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当ページでは、GeForce GTX 1050 Tiのスペックと性能ベンチマークを検証している。GTX 1050 Tiは、Pascal世代のエントリークラスのグラフィックボードでMaxwell世代のGTX 950の後継モデルだ。補助電源不要のライトなグラフィックボードとなっている。すでに登場しているGTX 1050とGTX 1060の隙間を埋めるエントリークラスとして登場した。価格を抑えた必要最低限の性能で人気を博した。
2023年時点における性能は高いとは言えないものの最新のゲームでもギリギリ対応することができる。解像度か設定を下げるのが必須だ。予算に余裕があれば次世代のGeForce GTX 1650がよい。RAW現像や動画編集などゲーム以外で使用するライトなグラフィックボードとして現在も選択肢に入れてもよい。CPU内蔵グラフィックスとの性能差は明らかだ。
2022年4月頃まではG-Tuneから搭載モデルがリリースされていたがすでに販売終了となっている。半導体不足の影響もあって旧世代のGTX 1050 Tiが一時的に復活していた形だ。6年経過後も販売を継続しているのは異例だと言えるだろう。
当ページの目次
GeForce GTX 1050 Tiの概要
基本スペック
GTX 1050 Ti | GTX 1650 | GTX 950 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Pascal | Turing | Maxwell |
プロセス | 14nm | 12nm | 28nm |
トランジスタ数 | 33億 | 47億 | 29.4億 |
ダイサイズ | 132 mm² | 200 mm² | 228 mm² |
GPU | GP107 | TU117 | GM206 |
CUDAコア数 | 768基 | 1152基 | 768基 |
コアクロック | 1290MHz | 1506MHz | 1024MHz |
ブーストクロック | 1392MHz | 1708MHz | 1188MHz |
メモリ容量 | GDDR5 4GB | GDDR5 3GB | GDDR5 2GB |
メモリクロック | 7.0 Gbps | 8.0 Gbps | 6.6 Gbps |
メモリバス幅 | 128 bit | 128 bit | 128 bit |
メモリ帯域 | 112.0 GB/s | 128.0 GB/s | 105.6 GB/s |
FLOPS | 2.0T TFLOPS | 2.7 TFLOPS | 1.8T TFLOPS |
TDP | 75W | 75W | 90W |
補助電源 | 不要 | 不要 | 1x 6-pin |
MSRP | $139 | $149 | $159 |
中古価格 | 9,980円* | 228,800円 (13,980円*) | 3,980円* |
発売日 | 2016/10/25 | 2019/04/23 | 2015/08/20 |
価格から見て分かる通り、GTX 1050 TiはGTX 950よりも安く性能が高い製品である。そして消費電力の低さから、ビジネス向けのパソコンにも搭載しやすい性能である。このGTX 1050 Ti登場から、ゲーミングPCではない一般向けのパソコンにもグラフィックボードが多く搭載されるようになった。
GTX 950はゲームへの対応力が少し物足りなかった。GTX 1050にしても同じだ。GTX 1050 Tiは設定次第でゲームが快適にプレイできる。$139という低価格から、価格をそこまで上げずに選べるグラフィックボードとして人気を高めた。
基本的なスペックについてもGTX 950と比べて大きく進化している。プロセスが28nmから14nmへと微細化された。これによってパワー効率の向上と省電力性の向上を見込める。グラフィックボードの重要なポイントと言える部分だ。トランジスタ数が13%増えているにも関わらずダイサイズは42%もコンパクトになっている。すべてプロセスの微細化による恩恵だ。
CUDAコア数は768基から変更なしだ。コアクロックは25%高く、ブーストクロックも18%高い。また、メモリ容量も倍増で4GBとなった。メモリクロックは10%速くなってメモリ帯域は少しだけ広くなっている。FLOPSも11%高い。TDPは16%低く補助電源が不要だというのはすでに述べたとおりだ。
GTX 1650は次世代の最下位モデルである。さらにプロセスの微細化が進み12nmとなる。トランジスタ数は43%増えてダイサイズも50%大きくなった。これだけ十分性能アップを見込めそうだ。CUDAコア数も50%増えて1152基に到達している。コアクロックは17%高く、ブーストクロックも22%高い。メモリ容量は1GB減って1GBとなる。GTX 1050 Tiが唯一上回っている点だ。メモリクロックはGTX 1650の方が1.0 Gbps速く結果的にメモリ帯域も15%増えている。GTX 1650もTDPは共通で補助電源は不要だ。
処理性能の指標であるFLOPSは、GTX 950とGTX 1050 Tiでは0.2T FLOPSの差。GTX 1050 TiとGTX 1650では0.7T FLOPSの差が生じている。このFLOPSは性能ではなく処理性能を表す指標である。この数値がそのまま性能に直結しているわけではない。コアクロックとブーストクロック、CUDA COREが数値に関係している。
この数値に差があるということは、基本的な構造が大きく変化した事を表している。こうしてみるとGTX 1650が優れているように見える。しかし、GTX 1050 Tiと比較すべきはGTX 1650 SUPERである。GTX 1650を比較にしたのは価格が近いからだ。そう、GTX 1050 TiはGTX 950よりも安く登場した。この低価格は現行の最下位モデルでも超えることが出来ていない。GTX 1050 Ti最大の魅力はその時代最高のコストパフォーマンスなのだ。
性能
負荷に関しては耐えられる幅に大きな違いがない。つまり、GTX 1650は軽い負荷で性能を発揮し、負荷が高くなるにつれてパフォーマンスが落ちていくのだ。クロックの伸びに対して、メモリ周りの改善がされていないことが原因だろうか。最新のゲームではGTX 1050 TiもGTX 1650も体感的にはあまり変わらないこともある。
それでも一般的には次世代モデルのGTX 1650と比べると差を付けられている。ゲーム用途では少し厳しくなっているだろう。GTX 950からの伸びもそこまで大きいわけではないもののゲームとビジネスを両立できグラフィックボードとして現在も支持されている。その後Ampere世代のエントリークラスであるRTX 3050が登場した。性能差は90%とかなり大きい。2024年2月にはGPUメモリ容量を抑えたRTX 3050 6GBが登場した。GTX 1050 Tiよりも50%程度性能が高い。
GTX 1050 Tiの「50 Ti」という型番は60番台と50番台のよさを持つハイブリッドなモデルだ。本格的なゲームプレイには頼りなくても、実用に耐えうる性能を持っている。ただ、性能から見て、ゲーム用途では次世代の登場で買い替え対象となってしまうだろう。ゲーム目的のグラフィックボードとして見ると、製品寿命が短いのが50番台の弱点だ。性能以外の部分に目を向けなければ、優れたグラフィックボードとは言えない。
現時点でのGeForce GTX 1050 Tiの評価【2024年】
今尚残る旧世代のグラフィックボード
GTX 10シリーズの中ではGTX 1060 3GBが圧倒的な人気を誇っていた。GTX 1050 Tiはその影に隠れながらも、低価格で一定の人気は確保していたように思う。省電力性の高さは、どんなパソコンにも取り付ける事ができた。ライトゲーマーやビジネスPC兼用モデルを求めるユーザーに支持されたグラフィックボードだ。性能よりも選びやすさと価格が特徴となっている。そのため、ゲーマーからの支持はそこまで高くなかった。
性能の高いゲーム向けのグラフィックボードは、次世代の登場で存在意義を失う。一方で、GTX 1050 Tiのようなライトな性能のグラフィックボードはゲーム以外の用途でも存在を確立できる。第9世代のCore iシリーズはCPU内蔵GPU機能を持たないモデルが登場している。補助電源を使用しない省電力性に長けるグラフィックボードとしてGTX 1050 Tiは再度注目を集めた。
ゲーム向けではないグラフィックボードにGT 1030がある。映像を描写するだけならGT 1030の方が適している。一方で、簡単なゲームやDirect Xを使用するようなアプリケーションではGTX 1050 Tiの性能が求められた。現行のGTX 16シリーズにはGT 1030の後継機が無い。そこでGTX 1050 Tiに白羽の矢が立った。GTX 10シリーズ搭載モデルの中で、現在でも残っているのはGTX 1050 Tiだけである。
作業のためのマルチモニター環境や、CPU内蔵GPU機能を持たないCPU搭載モデルに重宝される。GT 1030と比べて、消費電力は高めである。それでも、出来ることの幅が広がるGTX 1050 TiはGTX 1030よりも人気があった。ゲーム以外の用途で言えば、GT 1030だけではなく、GTX 1050のような製品もある。しかし、コストパフォーマンスという点ではGTX 1050 Tiが頭一つ抜けている。
最低設定に落とし、解像度を下げてしまえば最新のゲームにも対応する事ができる。フルHDでは厳しくても、設定次第で対応できる幅の広さが人気の要因なのだろう。コアなゲーマーは避けても、ゲームもプレイしたいユーザーには最適である。
GTX 1650 SUPERの登場で御役御免
GTX 1050 Tiは現在でも用途を限れば通用するグラフィックボードである。しかし、それはGTX 1050 Tiの中古価格がGTX 1650の価格より安い事が前提である。現行のGTX 16シリーズでGTX 1650の後継モデルであるGTX 1650 SUPERが登場して、GTX 1650が中古市場に多く流れた。
中古価格でGTX 1650とGTX 1050 Tiはほとんど価格差がない。せいぜい2,000円程度である。こうなると、GTX 1050 Tiを選択するメリットも失われてしまうことになる。CPUと違ってチップセットで搭載できるモデルが固定されていない。同じ価格で同等以上のスペックがあるなら、最新のグラフィックボードの方の方が良い。
コストパフォーマンス・性能・省電力性・価格とGTX 1050 Tiの長所は全てGTX 1650に飲み込まれる形となった。今GTX 1050 Tiを使用しているなら、GTX 1650に買い換える必要は無いので安心して欲しい。GTX 1650の新品価格は税込み21,500円程度だ。GTX 1050 Tiの中古価格が税込み20,000円ほどである。当然ゲーム目的ならGTX 1650の方が優れた選択肢だ。
ただ、GTX 1650が選びやすい価格に落ち着いた時点で、GTX 1050 Tiを選択するメリットは無かったのかもしれない。ゲームを主な目的としなければ、少しでも安い方が優位である。そうなるとGT 1030がより際立つ選択肢だ。ゲーム以外でなら優れたグラフィックボードだったGTX 1050 Tiは、現在存在意義を失っている。新たにGTX 1050 Tiを選択するくらいならGTX 1650を選ぶべきだ。
中古を選ぶなら税込み1万円以下を探そう
GTX 1050 Tiの中古価格は9,980円~とかなり安くなっている。2023年の始め頃は13,800円前後で販売されていたので、30%程度安くなっている。その後一時的に結果的に8,000円前後で購入できていた時期もある。GTX 1650との価格差も広がり中古で選ぶ理由が生まれた。高望みさえしなければ現在でも通用するグラフィックボードだ。それが1万円以下で購入できるなら悪くない。
ただし、性能自体は価格相応で将来性が高いわけではない。最新のゲームを見る限り製品寿命は短く近い将来に買い替えを迫られることになるはずだ。グラフィックボードの進化に合わせてゲームも進化している。レイトレーシングやDLSSといった新しい技術も登場している。
かつてはゲーミングPCに搭載されていたグラフィックボードで、現在も通用するタイトルは存在しているのも事実だ。全く使い物にならないわけではないが、快適な環境を構築することを考える上ではおすすめできる製品ではない。ゲーム以外の用途には最適だが、ゲーム目的では最適とは言えない。パソコンの買い換えなどで一時的にゲームで使うぐらいなら問題にはならない。
GeForce GTX 1050 Tiの発売当時の評価
単体での買い替え検討中の方向け!
GTX 1050 Ti搭載モデルについては既に触れているが、上と下との価格差が少なく微妙なポジションだ。ただし、グラフィックボード単体であればGTX 1050よりも優れた性能であるため選択肢として活きる。
GTX 1050 Tiは補助電源無しのグラフィックボードで最大の性能を誇っている。そのため、電源を交換する必要がほとんど無いのが最大の特徴だ。この特徴から、GTX 1050 Ti搭載モデルを選択するよりも、GTX1050Tiを単体で購入して交換や増設を行うほうが恩恵が大きい。例えば、今GTX 750 Ti、GTX 750、GTX 950当たりを所有している方であれば交換するメリットがあると言える。
グラフィックに拘らないライトユーザーにはよい!
ゲームを軽くプレイできればそれでいいというライトゲーマー向けの製品だが、設定さえ落とせばほぼ全てのゲームをプレイすることができる。コストパフォーマンスにしても言えることであり、ゲーミングPCとして考えるなら上のGTX 1060 3GBを選択することになるはずだ。
グラフィックに拘らなければこれ一つでそれなりにゲームを堪能できるというわけだ。ゲームはグラフィックやBGMや雰囲気を楽しむ一面もあるが、本質であるゲームを楽しむことが一番だ。他の要素ではなく、メインコンテンツを満足にプレイできるならグラフィックの質はあまり気にしない。そんなストイックなユーザーにとっては有力な選択肢となる。ただ、それはGTX 1050にも言えることなので、やはり搭載モデルとしては中途半端なのがネックだ。
BTOパソコンではラインナップが少ない
GTX 1050 Ti搭載のゲーミングPCは非常に少ない。基本的にはドスパラで販売しているモデルが中心となるだろう。搭載モデルのゲーミングPCの価格帯は90,000円から130,000円程度となる。グラフィックボード単体での価格は20,000円と少しと言ったところだ。GTX 1060との兼ね合いもあり非常に微妙な価格設定だ。価格も割安とまではいかないので、できればGTX 1060 3GB以上を検討すると良いだろう。
例えば、ドスパラの「GALLERIA DH」とG-Tuneの「NEXTGEAR-MICRO im610BA1-TD」はほぼ同じ価格だが、後者はGTX 1060 3GBを搭載していて優れている。このように価格差はあってないようなものなのは選択が難しい。ショップとしてもGTX 1050同様扱いが難しいモデルなのだと言える。
GeForce GTX 1050 Tiのベンチマーク
Ashes of the Singularity
GTX 1060 3GB | |
R9 380 | |
GTX 1050 Ti | |
GTX 960 | |
GTX 950 | |
GTX 1050 |
Battlefield 1
GTX 1060 3GB | |
R9 380 | |
GTX 1050 Ti | |
GTX 960 | |
GTX 1050 | |
GTX 950 |
Rise of the Tomb Raider
GTX 1060 3GB | |
GTX 960 | |
GTX 1050 Ti | |
R9 380 | |
GTX 950 | |
GTX 1050 |
GeForce GTX 1050 Ti搭載おすすめBTOパソコン
G-Tune PL-B-1050Ti(G-Tune)
CPU:Core i5-11400F
GPU:GeForce GTX 1050 Ti
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:256GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:500W BRONZE
GTX 1050 Ti×Core i5-11400搭載のゲーミングPCだ。エントリークラスのモデルとなるがやはりGTX 1650搭載モデルと比べると魅力に乏しい。価格が10万円以下になったのは嬉しいが、できれば背伸びをしてGTX 1650搭載モデルを選択したいところだ。メモリ16GB、SSD 256GBと構成は平均的だ。ゲームをメインに考えている方にはおすすめしにくい。電源ユニットは500W BRONZEを採用している。
G-Tune PM-A-1050Ti(G-Tune)
CPU:Ryzen 5 5600X
GPU:GeForce GTX 1050 Ti
メモリ:DDR4-3200 8GB
SSD:256GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:500W BRONZE
GTX 1050 Ti×Ryzen 5 5600X搭載のゲーミングPCだ。G-Tune PL-B-1050TiのCPUがRyzen 5 5600Xに換装されたモデルだと考えるとわかりやすい。ただし、メモリ容量は半減の8GBとなる。CPUの価格が高いため構成を落とすしかなかったのだろう。グラフィックス性能がそれほど高くないことからおすすめ度が低いことに代わりはない。設定を下げればゲーム自体に対応はできるが2023年時点ではやはり物足りなさが残る。
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