Intel Arc A750 Limited Edition画像引用元:https://www.ark-pc.co.jp/ *イメージ

当記事では、Intel Arc A750の性能スペックレビュー&おすすめゲーミングPCの紹介をしている。2022年10月12日に、Intel製の最新グラフィックボードのリリースが決まった。その後国内での発売は伸びて2022年10月26日に発売開始となっている。2022年6月に先立って発売されたIntel Arc A380の上位モデルということになる。大幅にスペックが強化されてパフォーマンスも引き上げられている。上位モデルのIntel Arc A770もリリースされた。

Intel Arc A750の競合となるのはNVIDIAのGeForce RTX 3060及びAMDのRadeon RX 6600だ。レイトレーシングに対応しているのもポイントだ。Intel Arc A750は現在のミドルクラスでの覇権を握ろうとしている。惜しむらくは世界情勢の影響もあって発売が遅れてしまったことだろう。その当たりも踏まえて評価していく。搭載モデルは「Intel Arc A750搭載おすすめBTOパソコン」で紹介している。正直競合の次世代モデルGeForce RTX 4060を搭載したゲーミングPCと比べると割高感があってやや厳しい。

世代 Alchemist
プロセス 6nm
CUDAコア 3584
ベースクロック
ブーストクロック 2050 MHz
GPUメモリ GDDR6 8GB
TDP 225W
MSRP $289
国内価格 29,800円 *2024/7時点
発売日 2022/10/12
よくわかる!!Intel Arc A750の特徴まとめ

  • (+)フルHD環境でのゲームプレイに適している
  • (+)まずまずのレイトレーシング性能を持つ
  • (+)AV1エンコードに対応している
  • (-)ドライバーがまだまだ完全体とは言えない
  • (-)性能に対して消費電力がやや高い
  • (-)価格が高く積極的に選ぶ理由が見当たらない

Intel Arc A750の概要

製品名 Arc A750 LE RTX 3060 RX 6650 XT
アーキテクチャ Alchemist Ampere RDNA 2.0
GPU ACM-G10 GA106 Navi 23
プロセス 6 nm 8 nm 7 nm
トランジスタ数 217億 120億 110.6億
ダイサイズ 406 mm² 276 mm² 237 mm²
SM数 28 28 32
CUDAコア 3584 3584 2048
RTコア 28 28 32
Tensorコア 448 112
ベースクロック 1320 MHz 2055 MHz
ブーストクロック 2050 MHz 1777 MHz 2410 MHz
GPUメモリ GDDR6 8GB GDDR6 12GB GDDR6 8GB
メモリクロック 16.0 Gbps 15.0 Gbps 17.5 Gbps
メモリバス 256 bit 192 bit 128 bit
メモリバス帯域幅 512.0 GB/s 360.0 GB/s 280.3 GB/s
Infinity Cache 32MB
バスインターフェイス PCIe 4.0 x16 PCIe 4.0 x16 PCIe 4.0 x8
TDP 225W 170W 176W
補助電源 1x 6-pin +
1x 8-pin
1x 12-pin 1x 8-pin
動画サポート AV1
HEVC
H.265
H.264
AV1*
HEVC
H.265
H.264
AV1*
HEVC
H.265
H.264
MSRP $289 $329 $399
中古価格 26,980円
(新品31,800円)
30,990円 27,980円
発売日 2022/10/12 2021/02/25 2022/05/10

*デコードのみ対応

Intel Arc A750のスペックについて見ていこう。コードネームはAlcemistでGPUはACM-G10だ。プロセスは6nmを採用している。RTX 3060の8nmやRX 6650 XTの7nmと比べても優位性がある。トランジスタ数は競合モデルの2倍近くで217億だ。ダイサイズは406m㎡とRTX 3060と比べて48%大きく、RX 6650 XTと比べて72%大きい。

Arc A750のコンピュートユニットは28だ。CUDAコア数は3584となる。これはRTX 3060と同じで、RX 6650 XTと比べて75%多い。RTコアは28でこれもRTX 3060と同じだ。Arc A750では448基のMetixコアがディープラーニングを担う。NVIDIAのTensorコアに近いイメージだ。

Arc A750は、ブーストクロックが2050MHzで、RTX 3060よりも15%高くRX 6650 XTよりも15%低い。GPUメモリはGDDR6 8GBを搭載している。RX 6650 XTと同じで、RTX 3060の33%減だ。メモリクロックは16.0 GB/sで競合モデルの間に収まる。メモリバスは256 bitで競合モデルを上回っている。メモリ帯域幅は512.0 GB/sでRTX 3060よりも42%広く、RX 6650 XTよりも83%広い。

バスインターフェイスはPCIe 4.0 x16でRTX 3060と共通だ。RX 6650 XTの倍ということになる。TDPは225Wと競合モデルと比べて30%前後高い。補助電源は1x 6-pin + 1x 8-pinだ。Arc A750ではAV1のエンコードに対応しているのがポイントだ。RTX 3060やRX 6650 XTはAV1のデコードのみ対応となっている。

Arc A750の価格は$289だ。競合モデルのMSRPと比べると12%-28%程度安価となる。中古価格を見ると26,980円と安めだ。Radeon RX 6650 XTと同水準だ。性能ではRadeon RX 6650 XTの方が高いのでコスパはRadeon RX 6650 XTよりも劣る。GeForce RTX 3060は30,990円とまだまだ価格が下がっていない。GPUメモリ容量が12GBと大容量なのも価格が下がらない要因と言えるかもしれない。

Intel Arc A750の最新評価【2025年】

ミドルクラス相当のゲーミング性能を持つ

intelarca750gamescore
Intel Arc A750の性能はGeForce RTX 3060を6%上回る水準でミドルクラス相当となる。フルHD環境でのゲームプレイを考えている方なら十分な性能だ。上位モデルであるIntel Arc A770との性能差は5%弱だ。下位モデルであるIntel Arc A380と比べると2倍以上の性能となっている。

競合モデルの一つであるAMDのRadeon RX 6650 XT/Radeon RX 6600 XTと比べると5%-6%程度パフォーマンスで劣る。レイトレーシング性能についてはGeForce RTX 3060と同等以上でRadeon RX 6000シリーズを上回る。Intel Arc A750は1世代目ながらレイトレーシングが高い。NVIDIAやAMDと比べてドライバの不安定さもチェックしておくべきポイントだ。安定するまでもう少し時間が掛かるかもしれない。

コスパはRadeon RX 6000シリーズに劣る

製品名 ゲーム性能 VRAM TDP 価格 コスパ 発売日
RX 7600 22,164 8GB 165W 37,80 0.586 2023/05/25
RX 6650 XT 21,990 8GB 180W 31,980 0.688 2022/05/10
RX 6600 XT 21,147 8GB 160W 22,980 0.920 2021/08/10
Arc A770(新品) 20,797 16GB 225W 39,800 0.523 2022/10/12
RTX 3060 20,591 12GB 170W 32,980 0.624 2021/02/26
RTX 2060 SUPER 19,989 8GB 175W 21,980 0.909 2019/07/09
Arc A750(新品) 19,886 8GB 225W 29,800 0.667 2022/10/12
Arc A750(中古) 19,886 8GB 225W 24,980 0.800 2022/10/12
RX 6600 17,900 8GB 132W 20,980 0.853 2021/10/13

*新品価格

Intel Arc A750のコスパ指標は中古で0.800だ。GeForce RTX 3060を上回っているが、Radeon RX 6600 XT及びRadeon RX 6600には劣る。Radeon RX 6000シリーズについては発売から時間が経ち価格も引き下げられているため仕方がないだろう。レイトレーシング性能も重視するならIntel Arc A750は、Radeon RX 6000シリーズにも負けてはいない。

また、NVIDIAのGeForce RTX 2060 SUPERも強力なライバルとなる。およそ5年前のモデルだが今でも問題なく使用できる。省電力性の高さも評価できる。コストパフォーマンス指標はRadeon RX 6600 XTに近い。Intel Arc A750はやや選びづらいモデルのように思える。

Intel Arc A750の特徴&強み【発売時点】

競合モデルと対等に戦えるグラフィックボード誕生

Intel Arc A750は、Intelがおよそ20年振りに販売したディスクリート向けのグラフィックボードだ。長らく市場を牽引していたNVIDIAやAMD製グラフィックボードと対等に戦える性能を持っているのは素晴らしい。レイトレーシングについてはradeon RX 6000シリーズを上回っている。

残念だったのは発売が予定よりもかなり遅れてしまったことだ。コロナ・サプライチェーンの問題・ロシアのウクライナ侵攻などがなければ、このIntel製グラフィックボードは2021年の終わりか2022年の初めにはリリースされていたのではないかと思う。

2022年11月時点だと、GeForce RTX 4000シリーズやRadeon RX 7000シリーズの発売を控えていてやや魅力に欠けるモデルとなってしまう。もしこれが想定どおり2022年初め頃までにリリースされていれば今異常に魅力的なモデルとなったはずだ。それでもIntelがここまでの製品を投入するとは思わなかったのも本音で次世代以降のモデルにも期待が持てる。

コストパフォーマンスの高いモデルになる可能性を秘める

Intel Arc A750は、発売されたばかりということでまだ価格は高めだが時間が経過すればより安く購入できる可能性が高い。$399のRadeon RX 6650 XTが42,800円~、$329のRTX 3060が45,980円~で購入できる。

つまり、$289のArc A750なら40,000円を切る価格も期待できるということだ。もちろん現状の市場を見ればそれは現実的ではなく45,000円前後で購入できれば十分だろう。円安になってしまったのは残念だ。ミドルクラスの王道モデルになる可能性を秘めている。

2022年11月時点での価格は54,980円とかなり厳しい状況だ。競合モデルの価格が下落傾向にある中でこの価格では勝負にならない。供給もそれほど安定しておらず価格が下がることはないように思う。NVIDIAとAMDの次世代モデルのリリースも控えていて価格設定がどうなるのか気になるところだ。

パワー効率はRTX 3060/RX 6650 XTに劣る

arca750watt

Intel Arc A750の弱みは、消費電力の高さが挙げられる。性能で劣るRadeon RX 6650 XT/Radeon RX 6600 XT・RTX 3060よりも20%以上も消費電力が高いというのは悩ましい。性能面でワンランク以上上のRTX 3070に匹敵するほどの消費電力の高さだ。パワー効率のよいグラフィックボードとは言えない。

これはIntelと比べて経験豊富なNVIDIAやAMDが一枚上手だったということだ。Intel製グラフィックボードもここから世代を重ねるごとに省電力性にも磨きが掛かるはずだ。性能で追いついただけでも評価されるべきで、今後のIntelの動向をチェックしておきたい。

Intel Arc A750のフレームレート一覧

Far Cry 6

farcry6Intel Arc A750 LE-farcry6

Far Cry 6ではRTX 3060と同等のフレームレートとなった。WQHD環境でも高いフレームレートで十分対応できる。Radeon RX 6600 XTと比べるとフルHD環境では11%低く、WQHD環境でも8%低い。どちらかと言うとRadeon RX 6600に近い性能を持っている。Radeon RX 6650 XTは国内価格も抑えられていて選びやすさがある。レイトレーシング性能を重視しないならArc A750と比べて優位性がある。

Horizon Zero Dawn

horizon zero dawnIntel Arc A750 LE-horizonzerodawn

Horizon Zero Dawnでは、フルHD環境ではRTX 3060と比べて16%低く、WQHD環境でも4%低い。ランク的には下位モデルであるRadeon RX 6600と比べてフルHD環境では14%フレームレートが低い。WQHD環境では4%程度高くなっている。Radeon RX 6650 XTと比べると10%-27%も低いのは厳しい。上位モデルであるArc A770も伸び悩んでいることを考えるとドライバの最適化が行われれば改善される可能性もある。

Watch Dogs: Legion

watchdogslegionIntel Arc A750 LE-watchdogslegion

Watch Dogs: Legionでは期待通りのパフォーマンスを発揮している。RTX 3060と比べてフルHDで8%高く、WQHDでも9%高いフレームレートなった。Radeon RX 6650 XTと比べるとフルHD環境では4%低く、WQHD環境でも3%低い。Radeon RX 6600 XTにも及ばないのは残念だが及第点だろう。上位モデルのArc A770になると13%-19%程度フレームレートがタックRadeon RX 6650 XTを超えるパフォーマンスを得られる。

Intel Arc A750のレイトレーシング性能

Control

controlIntel Arc A750 LE-controlrt

レイトレーシング性能ではRTX 3060やRadeon RX 6650 XTを超えている。RTX 3060と比べてMediumで7%高く、Highで19%高い。Radeon RX 6650 XTと比べるとMediumで36%高く、Highで45%高く圧倒している。数値で見てもMediumで81.1fpsと余裕がある。Highでもゲームプレイ自体は問題ないと考えてよい。上位モデルであるArc A770との差は6%-7%程度それほど性能差があるわけではない。

Cyberpunk 2077

Cyberpunk2077topIntel Arc A750 LE-cyberpunk2077rt

Cyberpunk 2077におけるレイトレーシング有効時のパフォーマンスを見ていく。Medium設定ではRTX 3060 Tiを上回るフレームレートを出している。RTX 3060 Tiよりも4%高く、RTX 3060よりも39%高い。一方で、High設定になるとRTX 3060よりも10%程度フレームレートが低くなる。Radeon RX 6650 XTと比べると、Mediumで2倍以上だ。Highでも60%も高い。Intelは、AMDよりもレイトレーシングに力を入れてきたことが明らかだ。

Fortnite

fortniteIntel Arc A750 LE-fortnitert

FortniteでもRTX 3060を上回るフレームレートを叩き出している。Mediumではその差が4%と小さいが、Highでは27%とその差が広がる。Radeon RX 6650 XTと比べるとMediumで21%高く、Highでも48%高いフレームレートとなった。上位モデルであるIntel Arc A770との差はそれほど大きくない。

Intel Arc A750搭載おすすめBTOパソコン

GALLERIA RM5C-A750(ドスパラ)

GALLERIA RM5C-G60S価格:153,980円+送料3,300円
CPU:Core i5-14400F
GPU:Intel Arc A750
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
電源:750W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中

公式サイト

CPUにIntel第14世代のCore i5-14400Fを搭載している。10コア16スレッドとスペックが高くゲーム実況や動画編集などの用途にも対応可能だ。Intel Arc A750とのバランスもまずまずだ。フルHD環境でのゲームプレイを考えている方向けのモデルだと言える。メモリDDR5-4800 16GB、SSD 500GB Gen4 NVMeという構成だ。電源ユニットは750W GOLDを採用している。

GALLERIA RM7C-A750(ドスパラ)

GALLERIA RM5C-G60S価格:179,980円+送料3,300円
CPU:Core i7-14700F
GPU:Intel Arc A750
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
電源:750W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中

公式サイト

Core i7-14700F×Intel Arc A750搭載のゲーミングPCだ。ミニタワーケースを採用している。CPU性能が高く高リフレッシュレートでのゲームプレイにも対応しやすい。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeと構成も平均以上だ。電源ユニットは750W GOLDを採用している。GeForce製グラフィックボードよりも高容量・高規格な電源となっている。

LEVEL-R779-LC137KF-A7X(パソコン工房)

LEVEL-R969-LC129K-WAXsyoumen価格:249,800円+送料2,200円
CPU:Core i7-13700KF
GPU:Intel Arc A750
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 1TB NVMe
電源:800W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中

パソコン工房が販売するミドルタワーモデルだ。ケースデザインが一新されてより魅力的なモデルとなっている。旧ケースよりも価格が高くなってしまったのがネックだ。CPUにはIntel第13世代のCore i7-13700KFを搭載している。16コア24スレッドと高スペックでゲーム実況などCPU負荷の高い用途にも対応できる。メモリDDR5-4800 16GB、SSD 1TBと構成も充実している。電源ユニットは800W GOLDを採用していて万全だ。チップセットはZ790でオーバークロックもできる。

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