画像引用元:https://www.pc-koubou.jp/
当ページでは、Core i9-11900のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Intel第11世代のメインストリームにおけるハイクラスのCPUだ。競合モデルはRyzen 7 5800Xとなる。Core i9-11900は8コア16スレッドと従来モデルのCore i9-10900の10コア20スレッドからダウングレードとなった。10nmプロセスを前提としたSunny Coveを14nmプロセス向けに改良したことで8コアにせざるを得なかったのだ。
つまり、ダイサイズが大きくなったことと消費電力の限界があったからだ。なお、ダイサイズについては高性能なCPU内蔵グラフィックスのIris Xe Graphicsを搭載したことも影響している。ビジネス的な観点からは高性能な内蔵グラフィックスは必須だ。もちろんIntel側もコア数ダウンのマイナス面はよくわかっていて、IPC(クロック当たりの性能)を19%改善して対策を行っている。結果的に10コア20スレッドのCPUと同等以上の性能を期待できる。
Core i9-11900の基本情報
コードネーム | Rocket Lake |
---|---|
プロセス | 14nm |
コア/スレッド数 | 8コア/16スレッド |
定格/最大クロック | 3.5 GHz/ 5.3 GHz |
L3キャッシュ | 16MB |
TDP | 65W |
発売日 | 2021年3月30日 |
MSRP | $539 |
中古価格 | $539 |
特徴 | (+)TDP 65W(Non-K)の最上位モデル (-)Adaptive Boost Technologyに非対応 (-)10コアから8コアへスペックダウン (-)搭載BTOパソコンのラインナップが少ない |
評価 | ・総合評価 6.5 ・ゲーム評価 6.5 |
当ページの目次
Core i9-11900の基本スペック
Intel製CPUと比較
Core i9-11900 | Core i9-11900K | Core i9-10900 | |
---|---|---|---|
コードネーム | Rocket Lake | Rocket Lake | Comet Lake |
プロセス | 14nm | 14nm | 14nm |
ダイサイズ | 276 mm² | 276 mm² | - |
CPUコア数 | 8 | 8 | 10 |
スレッド数 | 16 | 16 | 20 |
定格クロック | 2.5 GHz | 3.5 GHz | 2.8 GHz |
最大クロック | 5.2 GHz | 5.3 GHz | 5.2 GHz |
全コアクロック | 4.7 GHz | 5.1 GHz | 4.6 GHz |
TBM 2.0 | ◯ | ◯ | ◯ |
TBM 3.0 | ◯ | ◯ | ◯ |
TVB | ◯ | ◯ | ◯ |
ABT | × | ◯ | × |
L2キャッシュ | 4MB | 4MB | 2.5MB |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | 20MB |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-2933 |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics 750 | UHD Graphics 750 | UHD Graphics 630 |
TDP | 65W | 125W | 65W |
PL2 | 224W | 250W | 224W |
CPUクーラー | 同梱 | 非同梱 | 同梱 |
MSRP | $493 | $539 | $493 |
中古価格 | 37,980円~ | 42,980円~ | - |
発売日 | 2021/03/16 | 2020/03/30 | 2020/04/30 |
Core i9-11900のスペックについて見ていく。コードネームはRocket Lakeとなった。プロセスは14nmと変わっていない。ダイサイズは276m㎡だ。CPUコア・スレッドは10コア20スレッドから8コア16スレッドへと20%ずつ少なくなった。ここはIPCの改善によってカバーしている形だ。定格クロックはCore i9-10900の方が0.3GHz高いが、最大クロックはどちらも5.2GHzだ。全コアクロックは0.1GHz高く4.7GHzとなっている。
Core i9-11900もCore i9-10900と同様にAdaptive Boost Technology(ABT)には対応していない。L2キャッシュは60%多く4MBだ。L3キャッシュ容量は20%少なく16MBとなる。対応メモリもDDR4-2933からDDR4-3200へとより高クロックなモデルをサポートしている。CPU内蔵グラフィックスもUHD Graphics 630からUHD Graphics 750へとアップグレードされた。
このUHD Graphics 730はモバイル向け内蔵GPUのIntel Iris Xe Graphicsを改良したもので内蔵グラフィックスとしては高い処理性能を持つ。もっともCore i9-11900自体外付けのグラフィックボード搭載が前提となることが多いモデルなので、内蔵グラフィックスについてはそこまで気にしなくてもよいだろう。TDPは65W・PL2は224Wと変わっていない。CPUクーラーは同梱だ。MSRPは$439と共通となる。Core i9-11900の中古価格は37,980円だ。
上位モデルであるCore i9-11900Kと比較していく。プロセスやダイサイズはCore i9-11900と共通だ。コア・スレッドも8コア16スレッドと変更なしだ。定格クロックはCore i9-11900Kの方が1.0GHz(40%)高く、最大クロックも0.1GHz(2%)高い。全コアクロックも0.4GHz(9%)高くなっている。
Core i9-11900KではAdaptive Boost Technologyをサポートしている。電力制限・温度・クーラーの性能・マザーボードのCPU VRMなど総合的に勘案して問題がないと判断すればTURBO BOOST 2.0よりも高いクロック周波数を実現できる。できればCore i9-11900でも対応して欲しかった。マザーボードによっては別途BIOSでの設定が必要となる。L2キャッシュ及びL3キャッシュ容量は共通だ。
対応メモリもDDR4-3200と変わっていない。内蔵グラフィックスもUHD Graphics 750となる。TDPはCore i9-11900Kの方が60W高く125Wだ。PL2も26W高く250Wだ。Core i9-11900KにはCPUクーラーが非同梱となる。MSRPは$539だ。中古価格はCore i9-11900よりも5,000円高く42,980円となっている。
AMD製CPUと比較
Core i9-11900 | Ryzen 7 5800X | Ryzen 9 5900X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Rocket Lake | Zen 3 | Zen 3 |
プロセス | 14nm | 7nm | 7nm |
トランジスタ数 | - | 41.5億 | 83.0億 |
ダイサイズ | 276 mm² | 74m㎡ | 2x 74 mm² |
I/Oプロセス | - | 12nm | 12nm |
I/Oダイサイズ | - | 125m㎡ | 125m㎡ |
CPUコア数 | 8 | 8 | 12 |
スレッド数 | 16 | 16 | 24 |
定格クロック | 2.5 GHz | 3.8 GHz | 3.7 GHz |
最大クロック | 5.2 GHz | 4.7 GHz | 4.8 GHz |
L2キャッシュ | 4MB | 4MB | 6MB |
L3キャッシュ | 16MB | 32MB | 64MB |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics 750 | 非搭載 | 非搭載 |
TDP | 65W | 105W | 105W |
PL2 | 224W | 142W | 142W |
CPUクーラー | 同梱 | 非同梱 | 非同梱 |
MSRP | $439 | $449 | $549 |
中古価格 | 37,980円~ | 25,980円~ | 45,980円~ |
発売日 | 2021/03/16 | 2020/11/05 | 2020/11/05 |
競合のAMD製CPUと比較していく。MSRPで見ればRyzen 7 5800Xが近い。Ryzen 7 5800XはZen 3アーキテクチャのCPUだ。トランジスタ数は41.5億となる。CPUコアダイとI/Oダイを組み合わせたチップレット技術を採用している。プロセスの微細化による恩恵が大きいCPUコアダイは7nmプロセスを採用している。一方で、I/Oダイはコスト重視で12nmプロセスを採用している。トータルダイサイズは199m㎡だ。コア・スレッドは8コア16スレッドとCore i9-11900と同じだ。
定格クロックはRyzen 7 5800Xの方が1.3GHz(52%)高く、最大クロックはCore i9-11900の方が0.5GHz(12%)高い。L2キャッシュは4MBと共通だが、L3キャッシュはRyzen 7 5800Xの方が倍で32MBだ。対応メモリはDDR4-3200と共通となる。Ryzen 7 5800Xでは内蔵グラフィックスは非搭載だ。TDPはRyzen 7 5800Xの方が40W高く、PL2はCore i9-11900の方が82W高い。14nmプロセス採用のCore i9-11900は不利だ。Ryzen 7 5800XもCPUクーラーは非同梱となる。MSRPでは$10だけRyzen 7 5800Xの方が高い。中古価格では25,980円~と割安感がある。
上位モデルであるRyzen 9 5900Xと比較していく。MSRPでは$110の差があるが、中古価格では+8,000円とそこまで大きくない。Ryzen 9 5900Xは12コア24スレッドとスペックが高い。定格クロックはRyzen 9 5900Xの方が1.2GHz(48%)高く、最大クロックはCore i9-11900の方が0.4GHz(9%)高い。対応メモリはDDR4-3200と共通だ。Ryzen 7 5800X同様にCPU内蔵グラフィックスは非搭載となる。TDPはRyzen 9 5900Xの方が40W高く、PL2はCore i9-11900の方が82W高い。
Core i9-11900の最新評価【2024年】
ミドルクラス相当のゲーム性能を持つに留まる
Core i9-11900は登場から3年近くの月日が流れてさすがにトップクラスのモデルとは言えない。ゲーム性能スコアは26,742と次世代モデルのCore i5-12400が近くミドルクラス相当に留まる。旧世代のCore i9-10900よりも8%程度性能が高い。3年が経っても通用するというのはさすがCore i9シリーズと言ったところだろうか。
GeForce RTX 4060 Tiまでのグラフィックボードとのバランスが取りやすい。もちろんゲーム以外の用途ではコアが多い分だけCore i5-12400よりも有利なこともある点は押さえておこう。競合モデルであるRyzen 7 5800Xの方が3%弱性能が高く、Ryzen 9 5900Xも同程度上回っている。Ryzen 5000シリーズは強力なライバルだ。
14nmプロセス採用の代償でワットパフォーマンスが悪化した
Core i9-11900はワットパフォーマンスの悪いCPUだ。Core i9-10900よりも20%以上も実消費電力が上がっている。もうこれは多くのメディアで言われていることでユーザーも把握しているのではないかと思う。14nmプロセスを採用していることでどうしても消費電力は上がってしまう。競合のRyzen 9 5900XやRyzen 7 5800Xと比べて見劣りすることになる。プロセスの微細化が進むAMD Ryzen 5000シリーズと比べるとかなり厳しい状況だ。14nmプロセスの限界が来ている。
Core i9-11900のゲームベンチマーク一覧
Cinebench R23
Cinebench R23でのパフォーマンスを見ていく。従来モデルのCore i9-10900と比べてマルチコア性能が4%高く、シングルコア性能も20%弱高くなっている。Core i9-10900Kを上回るスコアは評価できる。Ryzen 9 5900Xと比べるとマルチコア性能が28%低く、シングルコア性能は2%弱高い。Ryzen 7 5800Xと比べるとマルチコア性能が2%高く、シングルコア性能も3%高い。
Handbrake
動画のエンコードに掛かる時間をまとめている。従来モデルのCore i9-10900と比べてH.265で2%速く、H.264でも3%速い。確かに10コアから8コアになっているにも関わらずパフォーマンスが高い点は評価できるが、やはり新世代のモデルとして考えると見劣りしてしまうだろう。競合のRyzen 7 5800Xと比べて同等のパフォーマンスを期待できる。12コア24スレッドのRyzen 9 5900Xと比べるとH.265で35%遅く、H.264でも30%遅い。クリエイター作業ではワンランク落ちてしまうことを受け入れる必要がある。
7-Zip
Zipファイルの回答及び圧縮速度をまとめている。従来モデルのCore i9-10900とスコアがほとんど変わらない。上位モデルのCore i9-11900Kとの差は最大で10%程度とやや大きい。競合のRyzen 7 5800Xと比べて解凍速度が10%弱遅く、圧縮速度も15%遅い。Ryzen 9 5900Xと比べると最大で40%以上もパフォーマンスが低くなっている。
その他アプリケーションのベンチマーク
Borderlands 3
Borderlands 3でのフレームレートを見ていく。グラフィックス負荷の高いタイトルでCPUによる差はそこまで大きくない。上位のCore i9-11900Kとほとんどフレームレートが同じだ。従来モデルのCore i9-10900と比べると2%弱フレームレートが高い程度に留まる。ハイエンドクラスのグラフィックボードとの組み合わせならそこまでCPUについては意識する必要はなさそうだ。
Far Cry 5
Far Cry 6ではCore i9シリーズらしい結果が出ている。一世代前のCore i9-10900と比べてフルHDで14%、WQHDで12%フレームレートが高い。Ryzen 9 5900Xと比べても最大で6%もフレームレートが高くなっている。Intel製CPUとの相性のよいタイトルだ。
Shadow of the Tomb Raider
最後にShadow of the Tomb Raiderでのパフォーマンスを見ていこう。従来モデルのCore i9-10900と比べてフルHDで8%、WQHDで11%高くなっている。上位モデルのCore i9-11900Kと比べると性能差は1%程度となる。Ryzen 9 5900Xと比べるとフルHDで6%弱低く、WQHDでは1%高い。Ryzen 7 5800Xと比べると上回っていることがわかる。
Core i9-11900搭載おすすめゲーミングPC
搭載モデルについての情報はない。
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