Ryzen 7 5700X3Dのスペックレビュー&性能ベンチマーク検証を行った。驚くべきことに2024年2月にAMDはAM4プラットフォームの最新CPUをラインナップに追加した。これでソケットAM4の寿命が伸びた形になる。AM4プラットフォームを流用したいユーザーからすると願ったり叶ったりだ。今回登場したのはRyzen 7 5800X3Dの下位モデルに当たるRyzen 7 5700X3Dだ。Zen 3アーキテクチャ採用の3D V-Cache搭載モデルとなる。
MSRPが$200も安く販売されていてその価格に注目が集まる。残念ながら国内販売価格はプレミアム価格になっていておすすめできない。搭載ゲーミングPCについても割安感がなく選びづらさがある。Ryzen 7 5700X+α(25,000円前後)ぐらいの価格に落ち着けば間違いなく人気モデルになるだろう。ゲーミング性能の高さは2022年4月に発売されたRyzen 7 5800X3Dで折り紙付きだ。クロック周波数を落としている分性能は少し落ちるが、2024年時点でも通用する高いパフォーマンスを期待できる。搭載モデルは、「Ryzen 7 5700X3D搭載おすすめゲーミングPC」で紹介している。そこまで取り扱いが多いモデルではない。ドスパラ・ark・Astromedaなどで販売されている。
Ryzen 7 5700X3Dの基本情報
コードネーム | Zen 3 |
---|---|
プロセス | 7nm |
コア/スレッド数 | 8コア/ 16スレッド |
定格/最大クロック | 3.0 GHz / 4.1 GHz |
L3キャッシュ | 96MB |
TDP | 105W |
PPT | 142W |
発売日 | 2024年02月02日 |
MSRP | $249 |
価格 | 42,980円~ *2024/12時点 |
特徴 | (+)3D V-Cache搭載モデル (+)Ryzen 7 7700Xを上回るゲーム性能を持つ (+)MSRPが$249と安価 (-)マルチコア性能は低め (-)国内販売価格が高い |
評価 | ・総合評価 6.5 ・ゲーム評価 8.0 |
当ページの目次
Ryzen 7 5700X3Dの基本情報
他のRyzen 7シリーズと比較
製品 | 7 5700X3D | 7 5800X3D | 7 7800X3D | 7 5700X |
---|---|---|---|---|
メーカー | AMD | AMD | AMD | AMD |
コードネーム | Zen 3 (Vermeer) | Zen 3 (Vermeer) | Zen 4 (Raphael) | Zen 3 (Vermeer) |
トランジスタ数 | 88.5億 | 88.5億 | 112.7億 | 41.5億 |
プロセス | 7nm | 7nm | 5nm | 7nm |
ダイサイズ | 74mm² | 74mm² | 71mm² | 74mm² |
I/Oプロセス | 12nm | 12nm | 6nm | 12nm |
I/Oダイサイズ | 125mm² | 125mm² | 122mm² | 125mm² |
コア/スレッド | 8 / 16 | 8 / 16 | 8 / 16 | 8 / 16 |
定格クロック | 3.0 GHz | 3.4 GHz | 4.2 GHz | 3.4 GHz |
最大クロック | 4.1 GHz | 4.5 GHz | 5.0 GHz | 4.6 GHz |
オーバークロック | × | × | × | ◯ |
L2キャッシュ | 4MB | 4MB | 8MB | 4MB |
L3キャッシュ | 96MB (32MB+64MB) | 96MB (32MB+64MB) | 96MB (32MB+64MB) | 32MB |
内蔵GPU | 非搭載 | 非搭載 | 非搭載 | 非搭載 |
CPUクーラー | なし | なし | なし | なし |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
PCI-Express | Gen 4, 20 Lanes | Gen 4, 20 Lanes | Gen 5, 24 Lanes | Gen 4, 20 Lanes |
TDP | 105W | 105W | 120W | 65W |
PL2 | 142W | 142W | 162W | 88W |
MSRP | $249 | $449 | $449 | $299 |
国内価格 | 35,580円~ | 49,614円~ | 56,670円~ | 22,700円~ |
発売日 | 2024/02/02 | 2022/04/20 | 2023/04/06 | 2022/04/04 |
Ryzen 7 5700Xと比べて定格クロックが0.4GHz(11%)低く、最大クロックも0.5GHz(11%)低い。Ryzen 7 5700X3Dはオーバークロックに対応していない。Ryzen 7 5700Xはオーバークロック対応でより高いクロック周波数が実現できる。L2キャッシュはどちらも4MBだが、L3キャッシュ容量には大きな差がある。Ryzen 7 5700X3Dは96MBとRyzen 7 5700Xの3倍だ。
どちらのモデルも内蔵GPUは非搭載で、CPUクーラーも非同梱だ。対応メモリはDDR4-3200、PCI-ExpressはGen 4, 20 Lanesと変わらない。TDPはRyzen 7 5700X3Dの方が40W高く、PL2もRyzen 7 5700X3Dの方が54W高い。これは3D V-Cacheを搭載したことで引き上げられている形だ。Ryzen 7 5700X3DのMSRPは$249とRyzen 7 5700XのMSRPよりも安い。旧世代のモデルということもあってお得感がある。
上位モデルであるRyzen 7 5800X3Dと比較していく。定格クロックはRyzen 7 5800X3Dの方が0.4GHz(13%)高く、最大クロックもRyzen 7 5700X3Dよりも0.4GHz(10%)高い。Ryzen 7 5800X3Dもオーバークロックには非対応だ。TDPの制約もあってオーバークロック対応は難しいのだろう。Ryzen 7 5700X3Dと同様に4MBのL2キャッシュと96MBのL3キャッシュを搭載している。この大容量L3キャッシュがゲームプレイに効くのだ。
内蔵GPUは非搭載だ。CPUクーラーも非同梱となる。対応メモリはDDR4-3200でDDR5メモリはサポートしていない。PCI-ExpressはGen 4, 20 Lanesだ。TDPは105W、PL2は142Wとなる。MSRPは$249とRyzen 7 5800X3Dよりも$200安価で国内価格では15,000円程度の差がある。Ryzen 7 5800X3Dは在庫限りということなのかもしれない。
最後に簡単に次世代モデルであるRyzen 7 7800X3Dのスペックも見ておこう。Ryzen 7 7800X3DはZen 4アーキテクチャを採用したCPUだ。トランジスタ数は112.7億とRyzen 7 5700X3Dよりも28%程度多い。プロセスも7nm→5nmへと微細化が進む。I/Oプロセスも12nm→6nmと微細化されている。
コア・スレッドは8コア16スレッドと共通だ。定格クロックはRyzen 7 7800X3Dの方が40%高く、最大クロックもRyzen 7 7800X3Dの方が21%高い。3D V-Cache搭載モデルで最大クロック5.0GHzは次世代アーキテクチャ採用による恩恵だ。Ryzen 7 7800X3Dもオーバークロックには対応していない。
L2キャッシュは倍増で8MBとなる。L3キャッシュは96MBと共通だ。内蔵GPUは非搭載でCPUクーラーも非同梱となる。対応メモリはDDR5-5200とDDR5をサポートしている。PCI-ExpressもGen 5, 24 Lanesとなった。TDPはRyzen 7 7800X3Dの方が15W高く、PL2も20W高い。MSRPは$449と+$200だ。国内販売価格は21,090円の差がある。登場時は10,000円程度しか差がなかったこれだけ差が開けば比較対象とはならない。
Intel製CPUと比較
製品 | 7 5700X3D | i9-12900K | i5-14600KF |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | Intel | Intel |
コードネーム | Zen 3 (Vermeer) | Alder Lake | Raptor Lake-R |
トランジスタ数 | 88.5億 | - | - |
プロセス | 7nm | 10nm | 10nm |
ダイサイズ | 74mm² | 215m㎡ | 257mm² |
I/Oプロセス | 12nm | - | - |
I/Oダイサイズ | 125mm² | - | - |
コア/スレッド | 8 / 16 | 16(8E+8P) / 24 | 14(6P+8E) / 20 |
定格クロック(P) | 3.0 GHz | 3.2 GHz | 3.5 GHz |
最大クロック(P) | 4.1 GHz | 5.2 GHz | 5.3 GHz |
定格クロック(E) | - | 2.4 GHz | 2.6 GHz |
最大クロック(E) | - | 3.9 GHz | 4.0 GHz |
オーバークロック | × | ◯ | ◯ |
L2キャッシュ | 4MB | 14MB | 20MB |
L3キャッシュ | 96MB (32MB+64MB) | 30MB | 32MB |
内蔵GPU | 非搭載 | UHD 770 | 非搭載 |
CPUクーラー | なし | なし | なし |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
PCI-Express | Gen 4, 20 Lanes | Gen 5, 20 Lanes | Gen 5, 20 Lanes |
TDP | 105W | 125W | 125W |
PL2 | 142W | 241W | 181W |
MSRP | $249 | $599 | $319 |
国内価格 | 35,580円~ | - | 47,880円~ |
発売日 | 2024/02/02 | 2021/11/04 | 2023/10/17 |
Core i9-12900Kはハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて16コア24スレッドというスペックを誇る。8つのPコアと8つのEコアを搭載している。物理コアはRyzen 7 5700X3Dの倍だ。Pコアの定格クロックはCore i9-12900Kの方が0.2GHz(7%)高く、最大クロックも1.1GHz(27%)高い。
Ryzen 7 5700X3DはEコア相当のコアは非搭載だ。Core i9-12900KのEコアの定格クロックは2.4GHzで、最大クロックは3.9GHzとなる。Pコアに比べるとクロック周波数は抑えられている。Core i9-12900Kはオーバークロックに対応している。L2キャッシュはCore i9-12900Kの方が10MB多いが、L3キャッシュはRyzen 7 5700X3Dの方が66MB多い。Core i9-12900Kは内蔵グラフィックスにUHD 770を搭載している。CPUクーラーは非同梱だ。
Core i9-12900KはDDR5-4800及びDDR4-3200をサポートしている。DDR4メモリとも互換性があるのはコスト面で有利だ。PCI-ExpressはGen 5, 20 Lanesだ。TDPはCore i9-12900Kの方が20W高く、PL2もCore i9-12900Kの方が84W高い。Core i9-12900KのMSRPは$599とRyzen 7 5700X3Dよりも$350高い。
Core i5-14600Kは現行Raptor Lake-Refresh世代のCPUだ。プロセスは10nmでダイサイズは257m㎡だ。6つのPコアと8つのEコアを組み合わせたハイブリッドコアアーキテクチャ採用で14コア20スレッドというスペックを誇る。Ryzen 7 5700X3Dと比べてPコアの定格クロックは0.5GHz高く、最大クロックも1.2GHz高い。Eコアの定格クロックは2.6GHz、最大クロックは4.0GHzだ。Core i5-14600KFもオーバークロック対応だ。
Core i5-14600KFはL2キャッシュが20MBでRyzen 7 5700X3Dの5倍だ。一方で、L3キャッシュはRyzen 7 5700X3Dの1/3となる。内蔵GPUは非搭載でCPUクーラーは非同梱だ。Core i5-14600Kの対応メモリはDDR5-4800・DDR4-3200となる。PCI-ExpressはGen 5, 20 Lanesだ。Core i5-14600KFのTDPは125Wで、PL2は181Wだ。Ryzen 7 5700X3Dと比べるとそれぞれ20W・39W高い。MSRPは$319とRyzen 7 5700X3Dよりも高く国内価格も12,000円の差がある。発売から時間が経ちRyzen 7 5700X3Dの価格が引き下げられたことで下位モデルのCore i5-14400Fが近くなったといえる。
Ryzen 7 5700X3Dの特徴&注意点【発売時点】
Ryzen 7 7700Xを上回るゲーム性能を有する
Ryzen 7 5700X3Dのゲーム性能スコアは34,488と今でも通用する高い数値を叩き出している。GeForce RTX 4070 Ti SUPERやGeForce RTX 4070 SUPER辺りのグラフィックボードぐらいであればある程度バランスは取れるだろう。残念なのは発売時期が遅すぎたということだ。上位モデルであるRyzen 7 5800X3Dが2022年4月に発売されて2年近くが経過してからのリリースは遅いと言わざるを得ない。
すでに後継モデルであるRyzen 7 7800X3Dが出ていることもあって性能的な優位性はない。Ryzen 7 7800X3Dになると20%以上も性能が高い。Intelも第14世代Core iシリーズが登場してZen 3アーキテクチャでは厳しい戦いとなる。それでもRyzen 9 7950XやRyzen 9 7900Xを上回るゲーム性能を有している点は評価できる。Ryezn 7 5800X3Dとの性能差は5%程度だ。
マルチコア性能についてはそれほど期待できない。これは次世代のRyzen 7 7800X3Dでも同様だ。クロック周波数が引き下げられていることとが要因だ。ゲーム専用マシーンの構築を考えているユーザー向けで、他の用途を考えているならもう一度考え直すとよい。他のパソコンを持っていてサブパソコンを探している方にとっては魅力的なモデルとなる。
消費電力はかなり抑えられている
Ryzen 7 5700X3Dは省電力性の高さがウリのCPUでもある。オリジナルのRyzen 7 5700Xと比べてクロック周波数が抑えられていることでRyzen 7 5700Xと比べても20%近くも消費電力が低い。その上で圧倒的なゲーム性能を有しているのだからこそ魅力的だろう。Zen 4アーキテクチャのRyzen 7 7700Xと比べてもゲームプレイ時で38%低く、マルチスレッド高負荷時でも50%以上も消費電力が低くなっている。
ゲーム性能でRyzen 7 5700X3Dに劣るRyzen 5 7500FやCore i5-14400と同等以下の消費電力に抑えられているのは素晴らしい。発熱量も控えめで扱いやすいCPUとなる。電源ユニットも流用しやすいと言える。現在第1世代あるいは第2世代Ryzenシリーズを使用していてアップグレードを考えているなら最適な選択肢となる。プラットフォーム的にも電源的にも扱いやすい。
価格が下がらないと選びづらい
製品 | コア/スレッド | ゲーム性能 | 最新価格 | コスパ | 搭載PC価格 | MSRP | 価格(2024/2) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 7800X3D | 8/16 | 42,174 | 69,800 | 0.604 | 284,700円~ | $449 | 50,800 |
Core i7-14700F | 20/28 | 38,098 | 57,979 | 0.657 | 264,800円~ | $359 | 59,780 |
Ryzen 7 5800X3D | 8/16 | 36,384 | 48,980 | 0.743 | - | $449 | 46,980 |
Core i5-14600KF | 14/20 | 36,291 | 45,980 | 0.789 | - | $319 | 44,980 |
Ryzen 7 9700X | 8/16 | 35,636 | 69,482 | 0.513 | 284,700円~ | $359 | - |
Ryzen 5 9600X | 6/12 | 34,904 | 52,800 | 0.661 | 274,800円~ | $279 | - |
Ryzen 7 5700X3D | 8/16 | 34,488 | 36,800 | 0.937 | 277,980円~ | $249 | 42,798 |
Ryzen 7 7700X | 8/16 | 33,366 | 58,000 | 0.575 | - | $399 | 49,800 |
Ryzen 7 7700 | 8/16 | 33,317 | 57,000 | 0.585 | 254,800円~ | $329 | - |
Ryzen 7 5700X | 8/16 | 27,036 | 29,700 | 0.910 | 217,800円~ | $299 | 24,800 |
リリース直後とは言えMSRPの近いRyzen 7 5700Xが24,800円で販売されている現状ではやはり30,000円は切らないと選択肢に入らないだろう。その後Ryzen 7 5700Xは36,800円まで価格が下がった。全体的にCPUの価格は上昇傾向にあり、今の価格でも納得するしかない。Ryzen 7 5700Xも5,000円ほど立っ買うなっている。次世代のRyzen 7 9700Xが登場してもそこまで価格が下がっていない。
搭載PCの価格を見るとIntel第14世代のCore i7-14700F搭載モデルとほとんど変わらない。今はドスパラでしかRyzen 7 5700X3D搭載モデルが販売されていないことも価格が高くなってしまう要因かもしれない。今後他のBTOメーカーからも搭載モデルがリリースされれば価格競争が起きてもう少し価格が引き下げられる可能性がある。いずれにしても購入は控えた方がよさそうだ。
Ryzen 7 5700X3Dのゲームベンチマーク一覧
FF14
Ryzen 7 5700X3Dは、上位モデルのRyzen 7 5800X3Dと比べてフルHDで7%弱、WQHDで6%、4Kで3%低い結果となった。Intel第14世代のCore i7-14700と同等以上のフレームレートが出ているのは評価できる。フルHD環境でこそ少し低くなったが、WQHD・4Kでは最大で3%上回っている。Core i5-14600Kと比べても最大で10%もフレームレートが高い。次世代のRyzen 7 7800X3Dと比べるとフルHDで22%フレームレートが低くなっている。
Blue Protocol
Blue Protocolでのフレームレートを見ていく。Ryzen 7 5880X3Dと比べると2%-5%フレームレートが低くなっている。Ryzen 7 5700Xと比べるとフルHDで38%、WQHDで21%、4Kで3%それぞれ高くなっている。3D V-Cacheの効果は絶大だ。同価格帯のCore i5-14600Kと比べると最大で3%フレームレートが低い。2年前に登場していればもっと注目されていたように思う。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5ではCore i5-14600Kと同等のフレームレートが出ている。Core i7-14700と比べても見劣りしない。Ryzen 7 5800X3Dと比べると2%-6%フレームレートが低い。Zen 4アーキテクチャ採用のRyzen 7 7700XはRyzen 7 5700X3Dよりも最大で10%もフレームレートが高い。旧世代とは言え3D V-Cache搭載モデルを圧倒しているのは素晴らしい。AMD Ryzenシリーズは世代が変わればパフォーマンスも大きく変わることがわかる。
Cyberpunk 2077
Cyberpunk 2077のフレームレートを見ていく。Cyberpunk 2077は3D V-Cacheの有効性が高いタイトルの一つだ。Ryzen 7 5800X3Dと比べると1%-3%程度劣るもののスペックさを考えれば十分過ぎるパフォーマンスだ。Core i5-14600Kと比べるとフルHD環境では7%上回るものの、WQHDでは6%低く4Kでも13%低くなっている。高解像度になるとIntel製CPUに遅れてしまう。Zen 4のRyzen 7 7800X3Dになると最大で18%もフレームレートが高い。3D V-CacheにZen 4アーキテクチャが合わさると強力なCPUとなる。
Far Cry 6
Far Cry 6では次世代のRyzen 7 7800X3Dとのフレームレートの差が14%-38%とかなり大きい。同じ3D V-Cache搭載モデルでもタイトルによってはこれほど差が出ることがあることも理解しておく必要がありそうだ。上位モデルのRyzen 7 5800X3Dとの性能差は1%-3%とそこまで大きくない。Ryzen 7 5700Xと比べると13%-33%もフレームレートが向上している。3D V-Cache自体が効いていることは間違いないが、やや相性がよくないように思える。Core i5-14600Kと比べて最大で23%もフレームレートが低くなっている。
Ryzen 7 5700X3Dのクリエイティブ性能ベンチマーク
3D V-Cache搭載モデルはクロック周波数が抑えられることもあって、同性能帯の通常モデルよりもクリエイティブ性能が劣ることは理解しておこう。ゲームプレイをメインに考えているユーザー向けでクリエイティブ用途を考えているなら他の選択肢も考える必要がある。Ryzen 7 5700X3Dのクリエイティブ性能は次世代のエントリーモデルであるRyzen 5 7500Fと同程度に留まる。
Cinebench 2024
Cinebench 2024は、CPUのレンダリング性能を計測できるベンチマークソフトだ。Ryzen 7 5700X3Dのマルチコアスコアは716で、シングルコアスコアは83となる。3D V-Cache非搭載のRyzen 7 5700Xと比べてもマルチコアが16%低く、シングルコアも9%低い。上位モデルのRyzen 7 5800X3Dと比べるとマルチコアが13%低く、シングルコアも12%低い。次世代のエントリークラスのRyzen 7 7500Fにも及ばないのは悩ましい。競合のCore i5-14600Kと比べると性能差は大きくマルチコアスコアは90%以上の差がある。シングルコアスコアも50%程度劣っている。
Cinebench R23
Cinebench 2024の前バージョンであるCinebench R23でのパフォーマンスを見ていく。Ryzen 7 5700X3Dのマルチコアスコアは13,552で、シングルコアスコアは1,349だ。オリジナルのRyzen 7 5700Xと比べるとマルチコアスコアが3%弱高いが、シングルコアスコアは12%低くなっている。次世代のRyzen 7 7800X3Dと比べるとマルチコアスコアが20%低く、シングルコアスコアも23%低い。クロック周波数が抑えられていることもあってシングルコアスコアについては、Intel第14世代のエントリークラスであるCore i3-14100にも及ばない。ゲーム以外の用途を考えている方はこの点注意が必要となる。あくまでもゲーム向けモデルと割り切る必要がある。
Blender
Blenderベンチマークでのパフォーマンスを見ていく。Ryzen 7 5700X3Dのスコアは198.87でパフォーマンスは上位67%でそこまで高いわけではない。価格的にワングレード下のCore i5-14400やRyzen 5 7500Fと同程度に留まる。Ryzen 7 5800X3Dとのスコア差は3%弱だ。Ryzen 7 5700Xの方が14%程度上回っている。Core i5-14600Kになると62%もパフォーマンスが高い。8コア16スレッドの3D V-Cache搭載モデルでは14コア20スレッドのCore i5-14600Kには太刀打ちできない。現行のラインナップの中では下から数えた方が早いと言えそうだ。
7-Zip
7-Zipに付属のベンチマークツールで展開及び圧縮速度を計測した。Ryzen 7 5700Xと比べて展開速度が1%弱速いが、圧縮速度は15%程度遅い。Ryzen 7 5800X3Dとの差は意外と大きく展開速度は6%遅く、圧縮速度も24%遅い。クロック周波数が低い分だけやや不利になっているのかもしれない。次世代のRyzen 7 7800X3Dになると最大で45%もパフォーマンスが向上する。ただし、Core i5-14600KやCore i7-14700など最新のIntel製CPUには完敗だ。物理コアで劣る分だけパフォーマンスで大きな差が生じている。
Handbrake
動画のエンコードソフトで人気のHandbrakeでのパフォーマンスを見ていく。Ryzen 7 5700X3DはRyzen 7 5700Xと同等のパフォーマンスが出ている。Ryzen 7 5800X3Dと比べるとH.264で6%遅く、H.265で5%遅い。Core i5-14600Kと比べるとかなり分が悪い。H.264で50%弱遅く、H.265でも40%遅い。ハイブリッドコアアーキテクチャがうまく機能している。ゲーム特化型のCPUでは苦しいことがわかる。動画のエンコードも快適に行いたいならRyzen 7 5700X3Dは避けるべきだ。
Adobe Photoshop(PugetBench)
PugetBench for Photoshopでのスコアを見ていく。客観的にパフォーマンスを計測できるのは嬉しい。Ryzen 7 5700X3Dのスコアは6,650と低めだ。Core i3-14100とのスコア差が4%弱とそれほど大きくない。Ryzen 7 5700Xよりもわずかにスコアが高くなっている。RYzen 7 5800X3Dと比べると10%弱低くなっている。最大クロックの差が現れている形だ。Core i5-14600Kと比べると22%程度低い。次世代の3D V-Cache搭載モデルであるRyzen 7 7800X3Dが健闘していてRyzen 7 5700X3Dよりも30%近くもパフォーマンスが高い。
Adobe Premiere Pro(PugetBench)
PugetBench for Premiere Proでのスコアを見ていく。Ryzen 7 5700X3Dのスコアは9,083と予想通りそこまで高くない。Ryzen 7 5700Xと比べると少しだけスコアが高くなっている。Ryzen 7 5800X3Dとのスコア差は4%弱だ。次世代のRyzen 7 7800X3Dは12,700とRyzen 7 5700X3Dよりも40%以上のスコアが高い。Ryzen 9 7900XやRyzen 7 7700Xを上回っているのは驚きだ。Intel製CPUが強力でトップはIntel Core i9-14900Kだ。Ryzen 7 5700X3Dとのスコア差は50%以上と大きい。
Ryzen 7 5700X3D搭載おすすめゲーミングPC
arkhive Gaming Custom GC-A7G46M AG-AR8B55MGL6-A2M (ark)
CPU:Ryzen 7 5700X3D
GPU:GeForce RTX 4060
メモリ:DDR4-3200 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:750W 80PLUS BRONZE
コスパ:調査中
PCケースにAntec製「CX200M RGB Elite」を採用したゲーミングPCだ。今はやりのシームレスな左パネルとフロントパネルが特徴となる。GPUにはGeForce RTX 4060を搭載したミドルクラスの一台だ。Ryzen 7 5700X3Dとのバランスは良好だ。CPU寄りのモデルだが、将来性も高くおすすめ度は高い。メモリDDR4-3200 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も抜群だ。電源ユニットは750W BRONZEを搭載している。
arkhive Gaming Custom AG-AR8B55MGL7S-A31 (ark)
CPU:Ryzen 7 5700X3D
GPU:GeForce RTX 4070 SUPER
メモリ:DDR4-3200 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:750W 80PLUS BRONZE
コスパ:調査中
Ryzen 7 5700X3D×GeForce RTX 4070 SUPER搭載のハイクラスのゲーミングPCだ。GeForce RTX 4070 SUPERは、従来モデルのGeForce RTX 3080 Tiを超える高いゲーム性能を持つ。タイトル次第では4K環境にも対応できる。メモリDDR4-3200 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も抜群だ。電源ユニットは750W BRONZEを採用している。PCケースはAntec製「Dark Phantom DP301M」が選択されている。クリアガラスが映えるケースだ。初期構成ではリアに120mm×1基のファンが搭載されている。カスタマイズで前面にファンを追加することが可能だ。
GALLERIA XA7R-R46T 5700X3D搭載(ドスパラ)
CPU:Ryzen 7 5700X3D
GPU:GeForce RTX 4060 Ti
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:650W 80PLUS BRONZE
コスパ:調査中
Ryzen 7 5700X3Dの発売当日にガレリアブランドから搭載モデルが販売されている。人気のミドルタワーモデルだ。拡張性・デザイン性共に高い評価を得ている。グラフィックスにはAda Lovelace世代のミドルハイクラスであるGeForce RTX 4060 Tiを搭載している。フルHD環境でのゲームプレイに適している。CPUのボトルネックの心配はいらないだろう。メモリDDR4-3200 16GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も平均以上だ。電源ユニットは650W BRONZEを採用している。省電力性の高いCPUということもあって650Wでも余裕がある。
【GAMER】Ryzen 7 5700X3D/GeForce RTX 4070 SUPER 12GB (Astromeda)
CPU:Ryzen 7 5700X3D
GPU:GeForce RTX 4070 SUPER
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 500GB NVMe
電源:750W 80PLUS BRONZE
コスパ:調査中
AstromedaブランドのゲーミングPCだ。後発BTOメーカーであるマイニングベースが取り扱うゲーミングブランドとなっている。ニ面ガラスケースを採用したおしゃれな一台だ。ケースカラーはブラック・ホワイト・ピンクの三色から選択できる。GPUにはAda LovelaceのハイクラスであるGeForce RTX 4070 SUPERを搭載している。WQHD環境でのゲームプレイに最適だ。フルHD環境ならかなり余裕を持って対応できる。メモリはDDR4-3200 16GB搭載だ。ストレージはSSD 500GB NVMeを採用している。ストレージについてはカスタマイズ費用が抑えられているので必要に応じて増設を検討しよう。電源ユニットは750W BRONZEだ。
GALLERIA XA7R-R47 5700X3D搭載(ドスパラ)
CPU:Ryzen 7 5700X3D
GPU:GeForce RTX 4070
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:650W 80PLUS BRONZE
コスパ:調査中
Ryzen 7 5700X3D×GeForce RTX 4070のハイクラスのゲーミングPCだ。GeForce RTX 4070のメインターゲットはWQHDで高いゲーミング性能を有する。Ryzen 7 5700X3Dの性能を考えればバランスはそこまでよくないが、ベストというわけではない点は理解しておこう。高解像度がメインならCPUのボトルネックは心配しなくてもよさそうだ。メモリDDR4-3200 16GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も平均以上だ。電源ユニットは650W BRONZEを採用している。CPUよりもGPUに合わせた電源の選択だ。
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Ryzen 7 5700X3Dのベンチマーク検証機材
モデル | ベンチマーク検証機AMD Socket AM4 Ver. 2024 |
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CPU | Ryzen 7 5700X3D etc. |
GPU | GeForce RTX 4090 |
メモリ | DDR4-320 32GB |
ストレージ | SSD 1TB Gen4 NVMe |
マザーボード | ASRock X570 Steel Legend |
電源 | 玄人志向 1200W PLATINUM KRPW-PA1200W/92+ |