当ページでは、Core i5-12600Kのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。2021年11月に登場したAlder Lake世代のCPUだ。第1弾として「Core i9-12900K」・「Core i7-12700K」・「Core i5-12600K」の3種類のCPUが登場した。2022年発売予定のCore i5-12400がリリースされるまではゲーミングCPUとして最も安価なモデルとなっている。今世代から2つのコアを搭載するハイブリッドコアアーキテクチャを採用してトータルコア数が10コアと従来モデルのCore i5-11600Kよりも66%も増えた。
CPU性能は非常に高くCore i9-11900Kを上回るケースも多い。ゲーミングCPUとしての期待値も高い。BTOパソコンではラインナップはそれほど多くないが、こだわりのあるゲーマーの方は必見だ。搭載モデルについては、「Core i5-12600K搭載おすすめゲーミングPC」で紹介している。なお、すでに後継モデルであるRaptor Lake世代の「Core i5-13600K」がリリースされている。14コア20スレッドとさらにスペックが高くなり、Core i7-12700Kを上回るパフォーマンスを発揮する。
Core i5-12600Kの基本情報
コードネーム | Alder Lake |
---|---|
プロセス | 10nm |
コア/スレッド数 | 10コア(6Pコア+4Eコア)/16スレッド |
Pコア定格/最大クロック | 3.7 GHz/ 4.9 Ghz |
Eコア定格/最大クロック | 2.8 GHz/ 3.6 Ghz |
L3キャッシュ | 20MB |
MTP | 150W |
発売日 | 2021年11月04日 |
MSRP | $299 |
中古価格 | 27,980円 *2024/7時点 |
特徴 | (+)ゲーミングCPUとして高いコスパを持つ (+)従来モデルのi9-11900Kを超える性能を発揮 (+)Alder Lake世代の中ではパワー効率がよい (-)Ryzenシリーズに比べると消費電力は高い (-)BTOパソコンのラインナップがほとんどない |
評価 | ・総合評価 7.0 ・ゲーム評価 7.0 |
当ページの目次
Core i5-12600Kの基本情報
スペック・仕様
i5-12600K | i5-11600K | i5-10600K | |
---|---|---|---|
コードネーム | Alder Lake | Rocket Lake | Comet Lake |
プロセス | 10nm | 14nm | 14nm |
Pコア | 6 | - | - |
Eコア | 4 | - | - |
トータルコア | 10 | 6 | 6 |
スレッド数 | 16(12+4) | 12 | 12 |
定格クロック | 3.7GHz(P) | 3.9GHz | 4.1GHz |
最大クロック | 4.9GHz(P) | 4.9GHz | 4.8GHz |
定格クロック | 2.8GHz(E) | - | - |
最大クロック | 3.6GHz(E) | - | - |
オーバークロック | ◯ | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ容量 | 20MB | 12MB | 12MB |
対応メモリ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-2933 |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics 770 | UHD Graphics 750 | UHD Graphics 630 |
PCI Express | 5.0 | 4.0 | 3.0 |
TDP | 125W | 125W | 125W |
TDP(PL2) | 150W | 224W | 182W |
価格 | $299 | $272 | $272 |
発売日 | 2021/11/04 | 2021/03/30 | 2020/05/20 |
パフォーマンスコア(Pコア)とエフィシェントコア(Eコア)の2つを採用している。前者はゲームプレイなどシングルスレッド性能に特化したコアで、後者はAtomラインナップベースの省電力コアでバックグラウンドでの作業などに最適だ。Core i5-12600Kのトータルコアは10コア(6コア+4コア)と圧巻だ。Core i5-11600Kと比べて66%も多くなっている。スレッド数も33%アップの16(12スレッド+4スレッド)となる。Pコアのみハイパースレッディングに対応しているのが特徴だ。これだけでも十分性能が高くなっていることが想像できるだろう。
クロック周波数についてはPコア及びEコアそれぞれに設定されている。Pコアが従来モデルのコアと同等だと考えてよい。Core i5-11600Kと比べると定格クロックが5%ダウンとなり、最大クロックは同等だ。Core i5-10600Kと比べると定格クロックは9%ダウンで、最大クロックは3%アップとなる。Alder Lake世代で初めて登場したEコアの定格クロックは2.8GHzで最大クロックは3.6GHzとなる。Pコアに比べるとかなり抑えられていることがわかる。いずれのCPUもオーバークロックをすることが可能だ。もちろんCPUクーラーやマザーボードのチップセットなどが条件をクリアしている必要がある。
L3キャッシュ容量は20MBと、従来モデルよりも70%もアップしている。対応メモリもDDR5-4800をサポートしているのがポイントだ。従来モデルと同じDDR4-3200にも対応している。CPU内蔵グラフィックスはUHD Graphics 770と数値が増えた。UHD Graphics 750と比べてグラフィックス周波数が10%弱引き上げられている。性能差を体感できるほどではないが性能が上がったことは間違いない。その他のハイライトとしてはPCIe 5.0をサポートしていることが挙げられる。より快適なPC環境を構築できる。
TDPは125Wと共通だ。今世代からはTDP(Thermal Design Power)とは言わずPBP(Processor Base Power)と呼ぶということだ。さらに、いわゆるPL2についてはMTP(Maximum Turbo Power)へと変わっている。PL2の数値を見るとCore i5-11600Kよりも33%も省電力が進んでいる。10nmプロセスを採用したことによる恩恵だ。価格はこれまでのCore i5シリーズ最上位モデルから$27アップ(10%アップ)となる。
Ryzen 7/Ryzen 5シリーズと比較
i5-12600K | 5 5600X | 7 5800X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Alder Lake | Zen 3 | Zen 3 |
プロセス | 10nm | 7nm | 7nm |
Pコア | 6 | - | - |
Eコア | 4 | - | - |
トータルコア | 10 | 6 | 8 |
スレッド数 | 16(12+4) | 12 | 16 |
定格クロック | 3.7GHz(P) | 3.7GHz | 3.8GHz |
最大クロック | 4.9GHz(P) | 4.6GHz | 4.7GHz |
定格クロック | 2.8GHz(E) | - | - |
最大クロック | 3.6GHz(E) | - | - |
オーバークロック | ◯ | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ容量 | 20MB | 32MB | 32MB |
対応メモリ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics 770 | 非搭載 | 非搭載 |
TDP | 125W | 65W | 105W |
TDP(PL2) | 150W | 142W | - |
MSRP | $299 | $299 | $449 |
国内価格 | 38,450円 | 25,177円 | 34,899円 |
発売日 | 2021/11/04 | 2020/11/06 | 2020/11/06 |
一方で、スペックについてはCore i5-12600KがRyzen 5 5600Xを圧倒している。トータルコアは10コアとRyzen 5 5600Xよりも66%多く、スレッド数も33%多い。2つのコアを搭載するハイブリッドコアアーキテクチャは注目に値する。主要コアの定格クロックはどちらも同じ3.7GHzで、最大クロックはCore i5-12600Kが7%高い。いずれのCPUもオーバークロックに対応していてポテンシャルが高くなっている。
L3キャッシュ容量はRyzen 5 5600Xの方が60%多い。対応メモリについてはCore i5-12600Kの方が一歩先をいっている。Core i5-12600KではCPU内蔵グラフィックスを搭載しているのも強みだ。グラフィックボードが不要な方にとっては経済的だと言える。TDPには差があるが、いわゆるPL2はほぼ同等でCore i5-12600Kの方が6%高い程度に留まる。性能差を考えると悪くない水準だ。Core i5-12600Kは、Ryzen 5 5600Xよりちょうど1年遅れて登場しただけあってパフォーマンスは高い。
価格的には一つ上のRyzen 7 5800Xと似ている。性能的にはCore i5-12600Kの方が上だ。Ryzen 7 5800Xは8コア16スレッドのCPUとなっている。定格クロックはRyzen 7 5800Xの方が3%高く、最大クロックはCore i5-12600Kの方が5%高い。いずれのCPUもオーバークロックに対応している。L3キャッシュはRyzen 7 5800Xの方が1.6倍多い。対応メモリはCore i5-12600Kの方が上だが、DDR4-3200が選択されることが多い。
TDPはCore i5-12600Kの方が20%高い。定価ではRyzen 7 5800Xの方が50%程度高いが、国内価格ではRyzen 7 5800Xの方が安価だ。CPU内蔵グラフィックス非搭載のCore i5-12600KFでも販売価格は変わらない。性能を考えるとCore i5-12600Kの方がコストパフォーマンスが高い。
Core i5-12600Kの最新評価【2024年】
現行モデルと比べても遜色ない高い性能を持つ
Core i5-12600Kのゲーム性能スコアは29,686とおよそ30,000だ。30,000前後のラインナップを見ると比較的新しいモデルとも対等な立場にある。Core i5シリーズの倍率ロックフリーモデルはその後の息が長いように思う。オーバークロックができるのも高ポイントだ。次世代モデルのCore i5-13500やCore i5-13400と同等のゲーミング性能を持つ。
次世代のCore i5-13600Kになるとさらにスペックが高くなり性能は20%近くも上回る。AMD製CPUだとRyzen 5 7600が近い。60番台や70番台までのグラフィックボードとの組み合わせならある程度バランスが取れる。マルチコア性能も高くハイブリッドコアアーキテクチャが活きる。ゲームプレイ+αで考えられるのは嬉しいポイントだ。
中古のタマはほとんどない
製品名 | コア/スレッド | ゲーム性能 | 価格 | コスパ | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|
Core i5-13600KF | 14/20 | 35,582 | 37,980 | 0.937 | 2022/10/20 |
Core i7-12700 | 14/20 | 30,937 | 37,980 | 0.815 | 2022/01/05 |
Ryzen 5 7600 | 6/12 | 30,030 | 29,880* | 1.005 | 2023/01/14 |
Core i5-12600K | 10/16 | 29,686 | 27,980 | 1.061 | 2021/10/2 |
Core i5-13500 | 14/20 | 29,392 | 38,380 | 0.766 | 2023/01/03 |
Core i5-14400F | 10/16 | 29,045 | 33,370* | 0.870 | 2024/01/08 |
Core i5-13400F | 10/16 | 28,926 | 29,480 | 0.981 | 2023/01/03 |
Ryzen 7 5700X | 8/16 | 27,036 | 22,704* | 1.191 | 2022/04/04 |
Core i5-12600Kは中古のタマは少ないが、コストパフォーマンスがよく見つかればラッキーだ。コスパ指標は1.061と同性能帯でトップクラスの数値を誇る。オーバークロックができる環境ならCore i5-12600Kは魅力的な選択肢となる。上位モデルであるCore i7-12700よりもおすすめだ。
競合モデルであるRyzen 5 7600もCPU単体で言えばコストパフォーマンスは優秀だ。問題はプラットフォームコストで、DDR5メモリやAM5ソケット対応マザーボードの費用がネックとなる。将来的にAMD製CPUを買い続けたいと考えているなら新しいAM5を選択しておけば長く使える。
Core i5-12600Kの特徴まとめ【発売時点】
i9-11900Kを超えるゲーミング性能を発揮する
Core i7-12700K | |
Core i7-12700 | |
Ryzen 9 5900X | |
Core i9-11900K | |
Core i5-12600K | |
Ryzen 7 5800X | |
Core i7-11700K | |
Core i5-12400 | |
Ryzen 5 5600X | |
Core i7-11700 | |
Core i7-10700K | |
Core i5-11600K | |
Core i7-10700 |
一方で、タイトルによってはやや不安定な挙動を見せることがある点は押さえておこう。また、搭載するメモリによってフレームレートが変わることがある。DDR5メモリの方がパフォーマンスが高い。これらはOSやゲーム側の問題と考えてよさそうだ。時間が経てば改善される可能性が高い。不安定さについては過度に心配する必要はないと言える。
Alder Lake世代の中では高いパワー効率を持つ
Core i5-12600Kは、比較的パワー効率のよいCPUとなっている。Core i9-12900Kと比べると40%も省電力性が高い。Core i5-11600Kと比べると10%以上も消費電力が抑えらている。Cinebench R23では60%以上も性能が伸びている。それで消費電力が抑えれているなら言うことはない。Zen 3アーキテクチャを採用したRyzen 5000シリーズと比べるとパワー効率は劣るが、性能が伸びていることを考えると及第点だ。
搭載ゲーミングPCのラインナップがかなり少ない
Core i5-12600Kは非常に魅力的なCPUだが、BTOメーカーでも取り扱いは少なく選択肢がないのが現状だ。従来モデルのCore i9-11900Kを超える性能を持っていることを考えると少し残念だ。これはCore i5-11600KやCore i5-10600Kでも変わらなかった。Core i5シリーズの最上位を選ぶならCore i7の方がコスパ的に優れているというのが要因かもしれない。
事実現時点で販売されている搭載モデルは割高でお得感があるモデルはほとんどないと考えてよさそうだ。基本的には自作ユーザー向けのCPUだと言える。末尾にKが付く倍率ロックフリーモデルを搭載したモデル自体が希少で特にCore i5シリーズは皆無に近い。今後もラインナップが増える可能性はないので、サイコムやセブンなどの玄人向けショップをチェックしておくとよいだろう。
Core i5-12600Kのゲームベンチマーク一覧
メモリについてはDDR5-5200及びDDR4-3200を搭載したケースでそれぞれフレームレートを計測している。ここでの注目点はCore i9-11900Kとの性能差だろう。Core i5シリーズで従来モデルのフラグシップモデルのパフォーマンスを上回るのは圧巻だ。
Far Cry 6
Hitman 3
Red Dead Redemption 2
その他アプリケーションのベンチマーク
Cinebench R23
Handbrake
Adobeソフト
Core i5-12600K搭載おすすめゲーミングPC
ZEFT G26XL(セブン)
CPU:Core i5-12600KF
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
RTX 3060×Core i5-12600KF搭載のゲーミングPCだ。税込20万円台とやや高めだが、最新のCore i5-12600KFを搭載していることを考えると仕方がないかもしれない。メモリ16GB、SSD 500GBという構成だ。電源ユニットは750W GOLDを採用している。Wi-Fi 6対応の無線LAN搭載ですぐにネット環境を構築できる。PCケースにはミニタワーの「SilverStone SST-PS14B-E」が選択されている。パソコンショップセブンで採用されているケースにしてはおとなしい。最短1営業日での出荷に対応している。
ZEFT G26XP(セブン)
CPU:Core i5-12600KF
GPU:GeForce RTX 3060 Ti
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
RTX 3060 Ti×Core i5-12600KF搭載のハイクラスのゲーミングPCだ。フルHD環境なら高リフレッシュレートを実現することができる。PCケースにはミドルタワーの「COOLERMASTER SILENCIO S600」を採用していてデザイン性に優れている。カードリーダー付きで動画や画像の取り込みも容易だ。メモリ16GB、SSD 500GBと構成も充実している。電源ユニットは600W BRONZEだ。性能を考えるとここはアップグレードを検討してもよいかもしれない。
G-Master Spear Z690/D4(サイコム)
CPU:Core i5-12600K ダウングレード
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
標準では上位グレードのCore i7-12700Kが搭載されているが、ダウングレードしてCore i5-12600Kを選択できる。このダウングレードによって19,560円安くなる。グラフィックスにはRTX 3060を搭載していてミドルクラスのモデルだと言える。メモリ16GB、SSD 512GBという構成だ。電源ユニットは750W GOLDを採用している。サイコムの場合はここからカスタマイズをするのが一般的だ。あくまでもベースモデルがあるというイメージで、ここは大手BTOメーカーとは特色が異なる。なお、現時点ではDDR5メモリを選択できないようだ。
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