画像引用元:https://www.ark-pc.co.jp/
当ページでは、Ryzen 7 7700Xの性能レビュー&搭載ゲーミングPCを紹介している。Zen 4アーキテクチャを採用したRyzen 7000シリーズの中でも高パフォーマンスなハイクラスモデルが発売された。Ryzen 7 5800X/Ryzen 7 5700Xの後継モデルだ。8コア16スレッドとスペックは踏襲しつつアーキテクチャの改良によってパフォーマンスを引き上げている。従来モデルと比べてクロック周波数が大きく引き上げられている。これはプロセスの微細化による恩恵だ。
Ryzen 7 7700Xは、フラグシップモデルであるRyzen 9シリーズと比べて価格が抑えられているのがポイントだ。特にゲームプレイをメインに考えている方に人気が高い。Ryzen 9シリーズだとどうしても性能を活かしづらいからだ。Ryzen 7 7700Xでも、上位モデルであるRyzen 9 7950XやRyzen 9 7900Xと同等以上のゲーミング性能を期待できる。CCD 1基という仕様が有利になるのだ。競合モデルであるIntel Core i7-12700Kと比較しながらそのパフォーマンスを見ていこう。搭載モデルは「Ryzen 7 7700X搭載おすすめゲーミングPC」で紹介している。無印モデルであるRyzen 7 7700も発売された。クロック周波数・消費電力を抑えたモデルだが、高いゲーミング性能を持っている。3D V-Cache搭載のRyzen 7 7800X3Dも要チェックだ。現行最強クラスのゲーミング性能を有している。
Ryzen 7 7700Xの基本情報
コードネーム | Zen 4(Raphael) |
---|---|
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 8コア/16スレッド |
定格/最大クロック | 4.5 GHz/ 5.4 Ghz |
L3キャッシュ | 96MB |
TDP | 105W |
発売日 | 2022年09月27日 |
MSRP | $399 |
国内価格 | 49,981円~ |
特徴 | (+)Ryzen 7 5800X/5700Xから順当な進化を遂げた (+)ゲーミング性能が大幅に引き上げられている (-)3D C-cache搭載モデルが発売される可能性がある (-)プラットフォーム一新にコストが掛かる (-)消費電力が高くなった |
評価 | ・総合評価 8.0 ・ゲーム評価 8.0 |
当ページの目次
Ryzen 7 7700Xのスペック
7 7700X | 7 5800X | i7-12700K | |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | AMD | Intel |
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Zen 3 (Vermeer) | Alder Lake |
プロセス | 5nm | 7nm | 10nm |
トランジスタ数 | 65.7億 | 41.5億 | - |
ダイサイズ | 70 mm² | 81 mm² | 215 mm² |
I/Oダイサイズ | 124 mm² | 124m㎡ | - |
トータルコア数 | 8コア | 8コア | 12コア |
トータルスレッド数 | 16スレッド | 16スレッド | 20スレッド |
CPUコア数(P) | 8コア | 8コア | 8コア |
スレッド数(P) | 16スレッド | 16スレッド | 16スレッド |
CPUコア数(E) | - | - | 4コア |
スレッド数(E) | - | - | 4スレッド |
定格クロック(P) | 4.5 GHz | 3.8 GHz | 3.6 GHz |
最大クロック(P) | 5.4 GHz | 4.7 GHz | 5.0 GHz |
定格クロック(E) | - | - | 2.7 GHz |
最大クロック(E) | - | - | 3.8 GHz |
L3キャッシュ | 32MB | 32MB | 25MB |
内蔵GPU | Radeon Graphics | × | UHD Graphics 770 |
CPUクーラー | なし | なし | なし |
PCI-Express | Gen 5, 24 Lanes | Gen 4, 20 Lanes | Gen 4, 20 Lanes |
TDP | 105W | 105W | 125W |
PL2 | 142W | 142W | 190W |
MSRP | $399 | $449 | $409 |
国内価格 | 49,981円~ | 27,980円~* | 40,980円~* |
発売日 | 2022/09/27 | 2020/11/05 | 2021/11/04 |
定格クロックは19%高く、最大クロックも15%高い。Ryzen 7000シリーズのハイライトはこのクロック周波数の高さだろう。合わせてIPCが13%改善されて高い性能を期待できる。L3キャッシュ容量は32MBと共通だ。Ryzen 7 7700Xは新しく内蔵GPUにRadeon Graphicsが搭載されている。CPUクーラーは非同梱だ。PCI-Expressは、Gen 4, 20 LanesからGen 5, 24 Lanesへと変更されている。
TDP・PL2共に変更はないが、実際の測定ではRyzen 7 7700Xの方が消費電力が高い。価格はRyzen 7 7700Xの方が$50安価だ。実売価格ではRyzen 7 7700Xの方が中古のRyzen 7 5800Xよりも22,000円高い。性能差を考えると仕方がない。もちろんRyzen 5000シリーズの在庫がなくなればRyzen 7 7700Xの価格も下がっていくはずだ。Intel第13世代CPUのリリースでも価格は調整されるのではないかと思う。
Core i7-12700Kは、Alder Lake世代のモデルで10nmプロセスを採用している。ダイサイズは215m㎡と、Ryzen 7 7700Xよりも10%程度大きい。Core i7-12700Kは、ハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて12コア20スレッドと高スペックだ。内訳はPコア8つとEコア4つの組み合わせとなっている。Pコアが一般的なCPUで採用されているコアという理解でよい。Eコアは省電力性に特化したコアとなっている。
クロック周波数を見ると定格クロック・最大クロック共にRyzen 7 7700Xの方がそれぞれ24%・8%高い。L3キャッシュ容量もRyzen 7 7700Xの方が28%多く32MBだ。内蔵GPUについてはUHD Graphics 770の方が性能が高い。Core i7-12700KのPCI-Expressは、Gen 4, 20 Lanesとなっている。TDPは、Core i7-12700Kの方が20%大きく、PL2もCore i7-12700Kの方が35%高い。
MSRPでの差は$10でCore i7-12700Kの方が高い。すでにCore i7-12700Kは中古でしか買えずそれでも価格は40,980円~と高めだ。それだけ性能が高いということになる。特にIntelの倍率ロックフリーモデルは価格が下がりづらい。Ryzen 7 7700Xも発売から時間が経ちある程度落ち着きを見せている。
Ryzen 7 7700Xの最新評価
Ryzen 7 7700Xの最新のゲーミング性能を評価していく。旧世代のRyzen 7 5700Xと比べて20%以上も性能が高い。これはZen 4アーキテクチャの進化と言えるだろう。下位モデルのRyzen 7 7700なら同等の性能をより安価で手に入れられる。省電力性の高さも魅力の一つだ。Ryzen 7 7700Xの当初の比較対象モデルであるCore i7-12700Kと比べると6%程度パフォーマンスが高く、Core i9-12900Kよりも上だ。
しかしながら、次世代のIntel第13世代Core iシリーズになるとCore i7-13700Kどころがより安価なCore i5-13600Kにも及ばない。現行のCore i7-14700KやCore i7-14700との性能差はさらに広がることになる。競合のIntel製CPUと比べるとやや見劣りしてしまう。せめてプラットフォームコストが抑えられれば魅力的な選択肢となるのだが、実際はコストが高く選びづらい。
ゲームプレイだけを考えるならIntel製CPUを選ぶ方が満足度が高そうだ。評価としてはかなり厳しいのが現状と言える。同じAMDなら3D V-Cache搭載のRyzen 7 7800X3Dがおすすめだ。マルチコア性能こそRyzen 7 7700Xに劣るものの圧倒的なゲーム性能を有している。省電力性の高さもぴかいちだ。
Ryzen 7 7700Xの特徴&注意点【発売時点】
Ryzen 7 5800X/5700Xから順当な進化を遂げる
Ryzen 9 7900X | |
Ryzen 9 5950X | |
Core i7-12700K | |
Core i7-12700 | |
Ryzen 9 5900X | |
Ryzen 7 7700X | |
Core i9-11900K | |
Core i5-12600K | |
Ryzen 5 7600X | |
Ryzen 7 5800X | |
Ryzen 7 5800X3D | |
Ryzen 7 5700X | |
Core i5-12400 | |
Ryzen 7 3700X |
Ryzen 7 7700Xは、Radeon 7000シリーズの中でも上位に位置するCPUだ。従来モデルのRyzen 7 5800Xと同じ8コア16スレッドというスペックだが、クロック周波数の引き上げなどによって15%以上パフォーマンスが高い。Ryzen 7 5700Xと比べると20%程度性能が高いことがわかる。競合モデルであるCore i7-12700Kと比べると10%程度劣る。
8コア16スレッドのCPUと12コア20スレッドのCPUを比較するのは不公平と言えるかもしれない。ハイブリッドコアアーキテクチャを採用したCore i7-12700Kは強力なライバルだ。すでに次世代モデルであるCore i7-13700Kの発売も控えていてRyzen 7 7700Xにとっては立場的に厳しい状況に追い込まれそうだ。
世界情勢の影響などで発売が遅れたことが痛かった。それでも従来モデルのRyzen 7 5800X/5700Xと比べて順当な進化を遂げていることから評価はまずまずだ。ゲーム適性も大きく向上している。このRyzen 7 7700XではシングルCCD(CPU Complex Die)を採用していて、CCD×2基構成のRyzen 9シリーズと比べてゲームなどマルチコアが優先されない用途に適している。
Zen 4 3D V-cache搭載モデルがリリースされる!?
Ryzen 7000シリーズ(Zen 4)でも3D Cacheを搭載されたモデルがリリースされるのではないかという噂(NOTEBOOKCHECK, 2022)がある。リーク者によると、2023年1月に開催されるCES( Consumer Electronics Show)で発表される可能性がある(VIDEOCARDS, 2022)ということだ。今のところラインナップは3つでRyzen 9 7950X3D・Ryzen 9 7900X3D・Ryzen 7 5800X3Dとなる。
Ryzen 7000シリーズで、Ryzen 7 7700Xの上位に位置する「Ryzen 7 7800X」がリリースされていないのはこの3D Cacheを搭載したRyzen 7 7800X3Dの発売を見越したものかもしれない。Ryzen 7 5800X3Dのパフォーマンスを見る限りゲームプレイをメインに考えている方にとっては本命となるのではないだろうか。Zen 4アーキテクチャを採用したCPUということで期待値が高い。
プラットフォーム一新にコストが掛かる
Ryzen 5 7600Xの記事でも記載した通り、Ryzen 7000シリーズからCPUソケットがSocket AM5になり、従来のSocket AM4との互換性がなくなってしまった。現在Ryzen 5000シリーズより前のモデルを使用している方はマザーボード・メモリを新調しなければいけない。特にマザーボードは上位規格のX670しか選択肢がなく非常に高価だ。安価なB650がリリースされるのを待つことを推奨する。
Ryzen 7 7700XをCPU単体としてみればコストパフォーマンスは良好だが、プラットフォーム全体のコストを考えると割高だ。Ryzen 3000シリーズなどからの買い替えであればあえてRyzen 7 5800Xなどにアップグレードする方が安上がりになる可能性もある。また、コスト面で有利なDDR4メモリや安価なチップセットがすでに発売されているIntel Core i7-12700Kへのアップグレードを検討しよう。
クロック周波数引き上げに伴い消費電力アップ
消費電力が高くなってしまったのは想定通りだろう。公式のデータではTDP・PL2がそれぞれ105W・142WでRyzen 7 5800Xと変わっていないが、実際の数値では80%以上も高くなっている。それでもCore i7-12700Kと比べて15%程度抑えられているのは5nmプロセスを採用したことによる恩恵だ。
Alder Lake世代のCPUよりはパワー効率が高いと考えてよさそうだ。Ryzen 5000シリーズは非常に省電力性の高いCPUだったので、Ryzen 7 7700Xへの換装を考えている場合は電源ユニットのアップグレードも検討しよう。
Ryzen 7 7700Xのゲームベンチマーク一覧
Far Cry 6
Ryzen 7 5800X3D | |
Ryzen 7 7700X | |
Ryzen 9 7950X | |
Ryzen 5 7600X | |
Core i7-12700K | |
Core i5-12600K | |
Ryzen 9 5900X | |
Ryzen 7 5800X | |
Ryzen 5 5600X |
Hitman 3
Ryzen 7 5800X3D | |
Ryzen 7 7700X | |
Ryzen 9 7950X | |
Ryzen 5 7600X | |
Core i7-12700K | |
Core i5-12600K | |
Ryzen 9 5900X | |
Ryzen 7 5800X | |
Ryzen 5 5600X |
Watch Dogs: Legion
Ryzen 7 5800X3D | |
Ryzen 9 7950X | |
Ryzen 7 7700X | |
Ryzen 5 7600X | |
Core i7-12700K | |
Ryzen 9 5900X | |
Core i5-12600K | |
Ryzen 7 5800X | |
Ryzen 5 5600X |
その他アプリケーションのベンチマーク
Cinebench R23
7-Zip
Adobe Premiere Pro
Adobe Photoshop
Ryzen 7 7700X搭載おすすめゲーミングPC
LEVEL-R7B6-LCR77X-SLX(パソコン工房)
CPU:Ryzen 7 7700X
GPU:GeForce RTX 4060 Ti
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:800W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
Ryzen 7 7700X×GeForce RTX 4060 Ti搭載のミドルハイクラスのゲーミングPCだ。ミドルタワーモデルとは言えGeForce RTX 4060 Ti搭載で税込24万円台は高い。プラットフォームコストの高さがネックとなっている。チップセットは上位グレードのX670だ。コストパフォーマンスを重視するならRyzen 7 7800X3D搭載モデルやCore i7-14700搭載モデルを選択しよう。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成は平均以上だ。電源ユニットは800W GOLDを採用している。
G-Master Spear X670A(サイコム)
CPU:Ryzen 7 7700X
GPU:GeForce RTX 4060 MSI
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:750W 80PLUS GOLD SilverStone
コスパ:調査中
サイコムが販売する最新のゲーミングPCだ。初期構成でRyzen 7 7700Xが選択されている。PCケースにはゲーマーに人気の高い「CoolerMaster MasterBoxCM694」採用だ。カスタマイズでサイド強化ガラスパネル版を選択することもできる。グラフィックボードにはAda Lovelace世代のミドルクラスであるGeForce RTX 4060を搭載している。メモリDDR5-4800 16GB、SSD 1TB Gen4 NVMeという構成だ。これをベースにカスタマイズをするとよいだろう。コストパフォーマンスで決めるモデルではないことは理解しておこう。
GALLERIA ZA7R-R47 7700X搭載(ドスパラ)
CPU:Ryzen 7 7700X
GPU:GeForce RTX 4070
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:750W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
Ryzen 7 7700X×RTX 4070搭載のハイクラスのゲーミングPCだ。税込309,980円とかなり高い。いくら性能が高くなっても価格がこれだけ上がってしまうとかなり厳しい。今は待つ時期だと言える。参考までにより性能の高いCore i7-14700KF×GeForce RTX 4070 SUPER搭載モデルの「GALLERIA ZA7C-R47S」が328,980円で販売されている。さすがに上位モデルよりも高い価格設定だとよほどAMDが好きでこだわりたい方でないと選びづらいだろう。
参照外部サイト
- AMD could launch updated Ryzen 7000 series already in January(VIDEOCARDS, 2022)
- Zen 4 with 3D Cache: AMD Ryzen 9 7950X3D, Ryzen 9 7900X3D, and Ryzen 7 7800X3D reportedly breaking cover at CES 2023(NOTEBOOKCHECK, 2022)
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