Ryzen 5 4600Htop

当ページでは、Ryzen 5 4600Hのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。ノート向け第3世代Ryzen HシリーズのエントリークラスのCPUだ。Ryzen Hシリーズの最安値モデルだが6コア12スレッドと十分スペックが高くゲーム用途でも通用するモデルとなっている。省電力モデルのRyzen 5 4500Uよりも高いパフォーマンスを持っている。

価格的な競合モデルはIntel第10世代のCore i5-10300Hだが、性能的にはワンランク上の「Core i7-10750H」となる。今は後継モデルの「Ryzen 5 5600H」が登場している。Zen 3アーキテクチャになってさらにパフォーマンスが向上している。15%以上処理性能が向上しているが、ゲーム適性はそれ以上に高くなったと考えてよい。旧モデルとなったRyzen 5 4600Hは価格が下がり購入しやすくなった。一時は10万円を切る価格のモデルもあったぐらいだ。

よくわかる!!Ryzen 5 4600Hの特徴まとめ

コードネーム Zen 2
プロセス 7nm
コア/スレッド数 6コア/12スレッド
定格/最大クロック 3.0 GHz/ 4.0 Ghz
L3キャッシュ 8MB
TDP 45W
発売日 2020年06月01日
価格
コメント ノート向けRyzen Hシリーズの廉価モデル
第2世代Ryzenシリーズから大きく性能アップ
ラインナップ数はそれほど増えない
評価 ・総合評価
5.5

・ゲーム評価
5.0

Ryzen 5 4600HのCPU性能

ryzen54600hseinou202203

Ryzen 5 4600Hは、モバイル向けのハイパフォーマンスモデルとしては高いCPU性能を持っている。価格的にワンランク上のCore i7-10750Hよりも18%以上も高くAMD製CPUの強さを見せつけている形だ。Core i7-10875HCore i7-10870Hと同等の性能を持っているのは圧巻だ。今世代では上位モデルのRyzen 7 4800Hとはしっかりと差別化されている。

従来モデルのRyzen 5 3550Hと比べると80%もパフォーマンスが向上している。第3世代になってモバイル向けRyzenシリーズは確かな地位を築いた。後継モデルであるRyzen 5 5600Hになるとさらに15%もCPU性能が高くなる。Hシリーズのエントリークラスとはいってもかなり高いところまで到達したと言える。特にゲーム適性は大きく向上した。ただし、Intel製CPUと比べるとパフォーマンスは劣る。

Ryzen 5 4600Hの基本情報

基本スペック

Ryzen 5 4600H Ryzen 7 4800H Ryzen 5 3550H
メーカー AMD AMD AMD
コードネーム Zen 2 Zen 2 Zen
プロセス 7nm 7nm 12nm
CPUコア数 6コア 8コア 4コア
スレッド数 12スレッド 16スレッド 8スレッド
定格クロック 3.00 GHz 2.90 GHz 2.10 GHz
最大クロック 4.00 GHz 4.20 GHz 3.70 GHz
L3キャッシュ 8MB 8MB 4MB
内蔵グラフィックス Radeon Graphics 6CUs Radeon Graphics 7CUs Radeon RX Vega 8
グラフィックス周波数 1500 MHz 1600 MHz 1200 MHz
TDP 45W 45W 45W
MSRP
発売日 2020年06月01日 2020年06月01日 2019年01月07日
Ryzen 5 4600Hは、7nmプロセスのZen 2アーキテクチャを採用したCPUだ。12nmプロセスのZenとは大きくアーキテクチャが異なる。パワー効率が上がり省電力性も高くなった。スペック的にも4コア8スレッドから6コア12スレッドへと大きく引き上げられている。Ryzen第3世代になって土台から大きく変わったということだ。苦戦していたモバイル向けRyzenシリーズも大きくパフォーマンスが向上しIntelとの競争も熾烈になりそうだ。

CPU性能の要となるクロック周波数も2.10 GHz→3.00 GHzへと45%、最大クロックは3.70 GHz→4.00 GHzへと10%引き上げられている。L3キャッシュも4MBから8MBへと倍増したこともメリットが大きい。より安定したCPU動作が実現する。CPU内蔵グラフィックスについてもクロック周波数の引き上げによって性能は高くなっている。もっとも外付けのグラフィックボードと比べるとパフォーマンスは低い。

上位のRyzen 7 4800Hになると8コア16スレッドとマルチスレッド性能がさらに高くなる。定格クロックについては、0.10 GHz抑えられているものの最大クロックが5%高い。ゲームプレイなど負荷の掛かる用途において強みを発揮する。CPU内蔵グラフィックスもわずかながらパフォーマンスが向上している。消費電力はどちらも同じ45Wに留められている。

Intel製CPUと比較

Ryzen 5 4600H Core i5-10300H Core i7-10750H
メーカー AMD Intel Intel
コードネーム Zen 2 Comet Lake Comet Lake
プロセス 7nm 14nm 14nm
CPUコア数 6コア 4コア 6コア
スレッド数 12スレッド 8スレッド 12スレッド
定格クロック 3.00 GHz 2.50 GHz 2.60 GHz
最大クロック 4.00 GHz 4.50 GHz 5.00 GHz
L3キャッシュ 8MB 8MB 12MB
内蔵グラフィックス Radeon Graphics 6CUs UHD Graphics UHD Graphics
グラフィックス周波数 1500 MHz 1050 MHz 1150 MHz
TDP 45W 45W 45W
MSRP $395
発売日 2020年06月01日 2020年06月01日 2019年01月07日
Ryzen 5 4600Hの競合はCore i5-10300Hとなる。両CPUメーカーのラインナップ的にターゲットとなる層が共通している。つまり、気軽にゲームを楽しみたいと考えている方だ。上位モデルと比べて価格が安くゲーミングノートPCの価格も抑えられている。

Comet Lakeは今も14nmプロセスを採用している。Intelはこの点においてAMD製CPUに遅れを取っている形になる。Core i5-10300Hの4コア8スレッドと比べるとRyzen 5 4600Hは、6コア12スレッドと50%ずつ上回っている。定格クロックは20%高く、最大クロックは10%低い。L3キャッシュは同じ8MBを採用している。総合性能で見るとRyzen 5 4600Hが優勢だ。アーキテクチャが変わったことでゲームプレイにも期待ができる。

Ryzen 5 4600Hは、スペック的にIntelの上位モデルであるCore i7-10750Hに似ている。Ryzen 5 4600Hと同じ6コア12スレッドとなっている。Ryzen 5 4600Hの方が定格クロックは15%高い一方で、最大クロックはCore i7-10750Hの方が20%高い。L3キャッシュは33%低い8MBだ。クロック周波数やL3キャッシュまで入れるとやはりCore i7-10750Hの方がスペックが高いと言える。それでも7nmプロセスの優位性があるため十分戦えるはずだ。

Ryzen 5 4600Hの最新評価【2025年】

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Ryzen 5 4600Hの性能スコアは11,141だ。従来モデルのRyzen 5 3550Hと比べると80%以上も処理性能が向上している。競合のCore i5-10300Hよりも70%も上回っている。ただし、ゲーム適正ではCore i5-10300Hに劣ってしまうこともある。ここで紹介しているスコアは総合性能でゲーム性能とは別であることを理解しておいてほしい。次世代のRyzen 5 5600Hになるとさらに15%程度性能が高くゲーム適性も大きく向上する。Ryzen 5 4500Hを搭載したモデルがほとんどなかったこともあって中古で入手することも難しい。

AMD Ryzen 5 4600Hの特徴まとめ【2020年】

手頃な価格で最低限必要なゲーミング性能を持つ

Ryzen 5 4600Hは、ノート向けRyzenシリーズの最安値クラスのCPUだ。Ryzen Hシリーズには”3”シリーズはない。Ryzen 5 4600Hは、手頃な価格でゲームプレイにおいて最低限必要なCPU性能を持っている。前世代のRyzen 5 3550Hはお世辞にも性能が高いとは言えずラインナップが増えなかった。ゲームプレイにおいて明らかに不利だった。

総合性能でもCore i5-9300Hに敵わなかった。デスクトップ向けモデルではIntelを圧倒するほどのパフォーマンスを発揮していたことを考えると期待はずれだったのだ。ノート向け第3世代Ryzenになって汚名返上できた。もしかしたら、当時のパフォーマンスに納得ができていなくて、改めてRyzen Hシリーズを購入するのは躊躇ってしまうかもしれない。

アーキテクチャーが最新のZen 2になったことでその不安は解消されていると考えて間違いない。4コア8スレッドから6コア12スレッドへと引き上げられたことからマルチスレッド性能も向上している。課題だったクロック周波数も大きく向上した結果十分なゲーミング性能を発揮してくれる。前世代の上位モデルであるRyzen 7 3750Hからでも性能差を体感できるはずだ。

エントリークラスが中心でラインナップは増えない

ゲーム用途で考えるとRyzen 5 4600Hはエントリークラスとなる。立ち位置的にはIntel Core i5-10300Hと同じで合わせるグラフィックボードもロークラスが中心になるだろう。グラフィックボードの性能を引き上げてもCPU性能がボトルネックとなってしまう可能性がある。

ロークラスのグラフィックボードとしては、GTX 1650・GTX 1650 Ti・GTX 1660 Tiなどが挙げられる。2020年6月末時点ではGTX 1650及びRX 5300M搭載モデルのみ販売されている。ロークラスが中心となるとやはりラインナップ数は増えない。

ラインナップが増えないということは各メーカーでの競争も生まれにくくユーザーにとってメリットが薄い。将来性を考えてもRyzen 7 4800H以上の方が良いかもしれない。Ryzen 5 4600Hはどちらかと言うとライトユーザー向けだ。デメリットと言える部分についても理解した上で購入を検討しよう。

Ryzen 5 4600Hのベンチマーク一覧

Cinebench R20

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Ryzen 5 4600Hは、前世代のRyzen 7 3750Hよりも2倍以上のマルチスレッド性能を発揮する。シングルスレッド性能も20%高く弱点はある程度改善されたと考えて良い。Ryzen 5 3550Hの記載はないが十分進化していることを予想することは容易いだろう。驚くべきは実質上位モデルであるCore i7-10750Hよりも30%もマルチスレッド性能が高いことだ。Zen 2コアを採用したことで明らかにパフォーマンスは変わっている。

Handbrake

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動画の編集ソフトであるHandbrakeでエンコードに掛かる時間を計測している。Ryzen 7 3750Hと比べて60%も高速化されている。これは6コア12スレッドとマルチスレッド性能が高くなったことによる恩恵だ。Core i7-10750Hよりも20%近くパフォーマンスが高い。AMDが強い分野だと考えて良い。

7-Zip

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Zipファイルの圧縮及び解凍の速度を計測している。ここでもやはりノート向けのRyzen Hシリーズの強さを発揮している。Ryzen 7 3750Hよりも圧縮速度は70%、解凍速度は85%も早い。圧縮速度についてはCore i7-10750Hよりも30%程度早くなっている。一方で、解凍速度は6%程度劣るが、十分健闘していると言えるだろう。

Ryzen 5 4600H搭載のゲーミングノートPC一覧

GALLERIA RL5R-G50T(ドスパラ)

GALLERIA GCL1650TGF価格:109,980円(税込)
液晶:15.6型
CPU:Ryzen 5 4600H
GPU:GeForce GTX 1650 Ti
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載

GTX 1650 Ti×Ryzen 5 4600Hを搭載したゲーミングノートPCだ。この価格帯では驚くべきパフォーマンスを発揮するRyzen 5 4600Hを搭載しているのが魅力となっている。税込10万円台と安価にもかかわらず6コア12スレッドのCPUを手に入れられるのは素晴らしい。AMDが誇る高コスパモデルということだ。ゲーミング適正ではややばらつきがあるものの第3世代になって適正は向上している。Core i5-10300Hに匹敵する性能を持っていると考えてよい。フルHD環境を基準に設定を調整すればあらゆるタイトルに対応することが可能だ。

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