tuf gaming a15

当ページでは、Ryzen 7 4800Hのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。前世代のRyzen 7 3750Hから大きく進化したCPUだ。Intel Core i7-10750Hの対抗モデルとなるポテンシャルを秘めていて期待値も高い。上位にRyzen 9 4900H/Ryzen 9 4900HSもあるが、価格が高めで一般的なモデルとはならないはずだ。

おそらく第3世代Ryzen Hシリーズで最も搭載モデルが販売されるのではないかと思う。そういう意味でも注目しているゲーマーの方も多いだろう。8コア16スレッドというスペックで競合モデルのCore i7-10750Hを上回る性能を持つ。その上位モデルであるCore i7-10875Hと同等以上のパフォーマンスを発揮する。気になる性能についてIntel製CPUと比較しながら見ていこう。

なお、すでに後継モデルである「Ryzen 7 5800H」が販売されている。Zen 3アーキテクチャ採用になってより高いパフォーマンスを発揮する。ゲーム適性も向上している。2023年2月時点でもRyzen 7 4800Hを搭載した「TUF Gaming A15 FA506ICB」が販売されている。価格が安く当サイトのおすすめランキングでも上位に入っている。

よくわかる!!Ryzen 7 4800Hの特徴まとめ

コードネームZen 2
プロセス7nm
コア/スレッド数8コア/16スレッド
定格/最大クロック2.9 GHz/ 4.2 Ghz
L3キャッシュ8MB
TDP45W
発売日2020年06月01日
価格
コメント ずば抜けたマルチコア性能の高さが魅力
Ryzen 4000 Hシリーズのメインストリームモデル
レイテンシの問題でゲームパフォーマンスは伸びない
評価 ・総合評価
6.0

・ゲーム評価
6.0

Ryzen 7 4800Hの基本情報

基本スペック

Ryzen 7 4800HRyzen 9 4900HSRyzen 7 3750H
メーカーAMDAMDAMD
プロセス7nm7nm12nm
コードネームZen 2Zen 2Zen
CPUコア数8コア8コア4コア
スレッド数16スレッド16スレッド8スレッド
定格クロック2.90 GHz3.00 GHz2.30 GHz
最大クロック4.20 GHz4.30 GHz4.00 GHz
L3キャッシュ8MB12MB4MB
CPU内蔵グラフィックスRadeon Graphics 7CUsRadeon Graphics 8CUsRadeon RX Vega 10
クロック周波数1600 MHz1750 MHz1400 MHz
TDP45W35W45W
価格---
発売日2020年06月01日2020年06月01日2019年01月07日
Ryzen 7 4800Hは、7nmプロセスのZen 2を搭載したCPUだ。モバイル向けのCPUで8コア16スレッドのというのはすべてのCPUの中でもトップクラスのスペックを持ち優秀なモデルだと言える。前世代のRyzen 7 3750Hに比べるとスペックもパフォーマンスも大きく向上している。プロセスは12nm→7nm、アーキテクチャもZen→Zen 2となっている。コア及びスレッドはそれぞれ倍増だ。定格クロックは2.30GHz→2.90GHz、最大クロックは4.0GHz→4.20GHzと45Wの制限の中でしっかり引き上げられている。これはプロセスの縮小化による影響が大きいだろう。

L3キャッシュも4MBから8MBと倍増している。全体的にスペックは高くなっていると考えて間違いない。正直Ryzen 7 3750Hはぱっとしない性能だった。実際各ベンダーのゲーミングノートPCのラインナップはそれほど増えなかったことからもわかる。Ryzen 4000-Hシリーズになってアーキテクチャも変わり大幅なパフォーマンスアップが見込める。CPU内蔵グラフィックスについてもCUsについては10から7へと減少しているが、クロック周波数が上がり性能は高くなっている。

上位モデルに「Ryzen 9 4900H」があり、その省電力モデルとして「Ryzen 9 4900HS」がある。これはTDPを35Wに抑えた高性能モデルだ。性能的にRyzen 7 4800Hに近いものがある。定格クロックが0.1GHz、最大クロックが0.1GHz引き上げられている。ラインナップ的にはRyzen 9 4900HよりもRyzen 9 4900HSの方が多い。やはり消費電力が抑えられている分扱いやすいのだろう。

また、L3キャッシュも8MBから12MBへと50%アップだ。CPU内蔵グラフィックスについてもワンランク高いと考えてよい。消費電力が抑えられている影響もあって総合性能ではRyzen 7 4800Hの方が高くなることもある。性能だけを考えるならRyzen 7 4800Hの方が満足度が高いかもしれない。

Intel製CPUと比較

Ryzen 7 4800HCore i7-10750HCore i7-10875H
メーカーAMDIntelIntel
プロセス7nm14nm14nm
コードネームZen 2Comet LakeComet Lake
CPUコア数8コア6コア8コア
スレッド数16スレッド12スレッド16スレッド
定格クロック2.90 GHz2.60 GHz2.30 GHz
最大クロック4.20 GHz5.00 GHz5.10 GHz
L3キャッシュ8MB12MB16MB
TDP45W45W45W
価格-$395$450
発売日Q2'20Q2'20Q2'20
Intel製ノート向けCPUと比較していく。価格的な競合はCore i7-10750Hとなるはずだ。IntelのComet Lakeは新しいCPUで、今でもプロセスは数世代変わらず採用されている14nmだ。デスクトップ向けRyzenと同じくAMDの優位性の一つとなっている。

Core i7-10750Hは6コア12スレッドとそれぞれコア/スレッドが33%低い。Ryzen 7 4800Hの方が定格クロックが12%高い一方で、最大クロックはCore i7-10750Hの方が20%高い。L3キャッシュについてもi7の方が容量が多い。マルチスレッド性能の高さだけで見るとRyzen 7 4800Hに軍配が上がりそうだ。

Ryzen 7 4800Hの対抗モデルとしてIntelが投じたのがCore i7-10875Hだ。Ryzen 7 4800Hと同じ8コア16スレッド搭載のCPUとなっている。Core i7-10750Hよりも定格クロックは引き下げられているものの最大クロックは2%高い。価格もその分上がってしまうがアプリケーションの使用などでのパフォーマンスアップが見込める。

Ryzen 7 4800Hの最新評価【2024年】

Core i7-12700H23,029
Ryzen 9 5900HX17,688
Ryzen 9 5980HS17,180
Ryzen 7 6800H17,045
Core i9-11980HK16,954
Core i7-11800H15,631
Ryzen 7 5800H15,559
Ryzen 5 6600H15,542
Ryzen 7 4800H13,788
Ryzen 5 5600H13,127
Core i9-10980HK12,466
Core i7-10875H11,739
Core i7-10870H11,482
Ryzen 5 4600H11,141
Core i7-10750H9,415
Core i7-9750H8,376
Core i7-8750H7,648
Core i5-10300H6,599
Core i5-10200H6,286
Ryzen 7 3750H6,275
Core i5-9300H5,904
Ryzen 7 4800Hは、13,788というスコアを持つCPUとなっている。昨今のゲーミング市場を見ると10,000スコアが一つの基準となる。そう考えるとRyzen 7 4800Hも今でも通用するCPUだ。ただし、次世代のRyzen 5 6600HやRyzen 7 6800Hと比べるとゲーム適性は大きく劣る。このスコア以上の差があると考えるべきだ。Ryzenシリーズは世代を重ねるごとにIPCの改善やシングルスレッド性能の改善によってゲーム適性を向上させている。

Zen 2アーキテクチャのモデルはまだまだ発展途上だと言える。Intel製CPUとの差も大きい。Ryzen 7 4800Hとの組み合わせではGeForce RTX 3050 MobileやGeForce RTX 2060 Mobileが多い。中古でRyzen 7 4800H搭載モデルを購入することは難しい。ドスパラやパソコン工房などでもラインナップはない。Intel製CPUと比べると販売台数が少ないのだろう。

Ryzen 7 4800Hの特徴【2020年発売時点】

Ryzenシリーズのメインストリームになる存在

Ryzen 7 4800Hが、モバイル向けのAMD製CPUでメインストリームとなるべき存在だと言える。Intelで言うとCore i7-10750Hと同じ立場ということだ。前世代のRyzen 7 3750HとRyzen 5 3550HがIntel Core i7シリーズに対してやや苦戦したが、今回の世代はアーキテクチャも変わり期待が持てる。

なお、デスクトップ向けのRyzen 3000シリーズと比べるとどうしてもパフォーマンスは落ちる。例えば、Ryzen 7 3700Xと比べると消費電力が65Wから45Wへと制限が加えられてL3キャッシュが32MBから8MBと大幅に引き下げられている。同じRyzen 7シリーズでも別物と考えるべきだ。それでもノート向けのCPUとして考えるとパフォーマンスは高いことに間違いはない。

AMD製CPUのラインナップが増えるとしたら性能的にも価格帯的にもこのRyzen 7 4800Hとなるはずだ。あとは各BTOメーカー及びベンダーがどのぐらい注力していくかに掛かっている。これまでの国内メーカーの取り扱い状況を見るとそれほど期待はできないかもしれない。ドスパラ、G-Tune、TSUKUMOなどから販売されることを期待したい。

マルチスレッド性能が高く様々なアプリケーションを得意とする

8コア16スレッド搭載でアーキテクチャも変わり様々なアプリケーションでの使用に最適だ。競合モデルが6コア12スレッドに対して8コア16スレッドというスペックは驚異的だ。画期的なモデルだと言えるだろう。動画編集・RAW現像・オフィスソフトなどの使用を考えているノンゲーマーの方にもおすすめしたい。Ryzen 7 4800Uなどの省電力モデルに比べると性能差は大きい。

これぐらいの性能であれば本体もそれほど大きくならず持ち運びもしやすい。また、Intel Core i7-10750H搭載モデルとの間で競合が起こることで価格も引き下げられるはずだ。ゲーミング性能に関していうとこれまで市場を独占して最適化されていたIntelが有利だろう。今後新しいタイトルが登場してくれば十分戦えるポテンシャルを持っている。

Ryzen 7 4800Hのベンチマーク一覧

Cinebench R20

cinebenchryzen74800h-cinebench

Ryzen 7 4800Hのパフォーマンスの高さが光る。Ryzen 9 4900HSよりも高くなっているのは消費電力の高さによる余裕もあるだろう。シングルスレッド性能では2%低くなっている。

Core i7-10750Hよりも65%もマルチスレッド性能が高い。同じ8コア16スレッドのCore i7-10875Hよりも45%以上高くZen 2コアの凄さがわかる結果だ。前世代のRyzen 7 3750Hとは比べるまでもない。

Handbrake

handbrakeryzen74800h-handbrake

Handbrake(動画のエンコード)でもRyzen 7 4800Hの性能がほかを圧倒している。Ryzen 9 4900HSよりも7%高く、Core i7-10750Hよりも33%高い。Ryzen 7 3750Hと比べると70%近くもパフォーマンスが向上している。ZenアーキテクチャとZen 2アーキテクチャの違いを見せつける結果となっている。Cinebench R20と同じことだ。

7-Zip

zipryzen74800h-7zip

7-Zipでもトップに位置するパフォーマンスを発揮する。解凍速度ではRyzen 9 4900HSよりも劣るものの、圧縮速度では上回っている。Core i7-10750Hよりも高くAMD製CPUの強さが際立つ。

Ryzen 7 4800H搭載のゲーミングノートPC一覧

TUF Gaming A15 FA506ICB(ASUS)

ASUS TUF Gaming A15 FA506ICB価格:149,800円(税込) 119,800円(税込)
液晶:15.6インチFHD 144Hz
重量:約2.30kg
駆動時間:約7.5時間
CPU:Ryzen 7 4800H
GPU:GeForce RTX 3050 Mobile
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 512GB NVMe
コスパ:調査中

公式サイト

Ryzen 7 4800H×RTX 3050 Mobile搭載のエントリークラスのゲーミングノートPCだ。ASUSの低価格帯のモデルでデザインが高く評価されている。グラフィックスにRTX 3050 Mobileを搭載していてフルHD環境で設定調整をすることを前提とすれば十分ゲームプレイに対応できる。Ryzen 7 4800Hは2世代前のCPUだが、8コア16スレッドとスペックが高く最低限必要なゲーミング性能を持つ。現行モデルと比べると見劣りしてしまうもののエントリークラスのRTX 3050 Mobileとの組み合わせならボトルネックとはならない。メモリ16GB、SSD 512GB NVMeと構成も必要十分だ。メモリ容量が16GBと最低限必要な容量を備えている。15.6インチFHDディスプレイを搭載している。144Hz対応なのは高評価だ。本体重量は約2.30kgと平均的で持ち運ぶ機会が多い方は必見だ。バッテリー駆動時間は約7.5時間となる。

GALLERIA GR2060RGF-T(ドスパラ)

GALLERIA GCL1650TGF価格:119,980円(税込)
液晶:15.6型 120Hz
CPU:Ryzen 7 4800H
GPU:GeForce RTX 2060
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載

ドスパラの売れ筋No.1になったこともあるゲーミングノートPCだ。ここに来て在庫処分的な価格設定となっている。すぐに在庫切れになってしまう可能性もあるのでチェックしている方は注意しよう。グラフィックボードにはミドルクラスで人気の高いRTX 2060を搭載している。FULL HD環境でのゲームプレイに最適だ。タイトルによっては120fps以上を出すこともできる。Ryzen 7 4800Hは性能の高いCPUでボトルネック軽減に威力を発揮する。RTX 2060の性能を引き出すのに魅力的な選択だと言える。メモリ16GB、SSD 512GBと構成も充実している。

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