gtx580画像引用元:https://www.gigabyte.com/ *イメージ

当記事では、GeForce GTX 580のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Fermi世代におけるフラグシップモデルであるGTX 480の後継モデルだ。GTX 480が2010年3月にリリースされてからわずか7ヶ月弱での次世代モデルの発売は異例だと言える。これまでの流れから見れば1年半から2年周期となるはずだった。

ではどうしてこんなにも急にGTX 580がリリースされたのか。その理由は単純で前世代のGTX 480の評判が悪かったからだ。確かにGTX 285と比べて性能は高かったのだが、その代償として熱い、うるさい、大食漢の三重苦だった。NVIDIAとしてもプライドがあるのでその弱点を克服するためにアーキテクチャを改良してGTX 580を発売したということだ。

次世代モデルは、Kepler世代の「GeForce GTX 680」だ。ついに、プロセスが40nmから28nmへと微細化されてよりパワー効率が上がっている。GTX 580と比べて性能が15%以上向上した。ここからしばらく28nmプロセスの時代が続くことになる。

GeForce GTX 580のスペック

GTX 580 GTX 480 HD 5970
アーキテクチャ Fermi 2.0 Fermi TeraScale 2
プロセス 40nm 40nm 40nm
GPU GF110 GF110 Hemlock
トランジスタ数 30億 31億 21.54億
ダイサイズ 520 mm² 529 mm² 334 mm²
SM数 16 15 20
CUDAコア数 512 480 1600
コアクロック 772 MHz 701 MHz 725 MHz
ブーストクロック 1544 MHz 1401 MHz
GPUメモリ 1536 MB 1536 MB 1024 MB×2
メモリ規格 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリクロック 4.0 Gbps 3.7 Gbps 4.0 Gbps
メモリバス 384 bit 384 bit 256 bit×2
メモリバス帯域幅 192.4 GB/s 177.4 GB/s 128.0 GB/s×2
バスインターフェイス PCIe 2.0 x16 PCIe 2.0 x16 PCIe 2.0 x16
出力 2x DVI
1x mini-HDMI 1.3a
2x DVI
1x mini-HDMI 1.3a
2x DVI
1x mini-DisplayPort 1.1
TDP 244 W 250 W 294W
補助電源 1x 6-pin
1x 8-pin
1x 6-pin
1x 8-pin
1x 6-pin
1x 8-pin
MSRP $499 $499 $699
中古価格 4,000円 データなし データなし
発売日 2010/11/09 2010/03/26 2009/11/18
GTX 580は、Fermi 2.0アーキテクチャを採用したグラフィックボードだ。GTX 480で採用されていたFermiに改良を加えたアーキテクチャだと考えるとよい。さすがにすべてを一新する時間はなかったはずだ。GPUがGF100からGF110へと変わった。プロセスは40nmと共通だ。トランジスタ数は3%減って30億となる。ダイサイズは1%弱小さくなった。

GTX 580ではフルスペックのGF110を採用している。つまり、SM数は16でGTX 480よりも1つ増えた。CUDAコアも7%増えて512(16×32)となる。GPUクロックはGTX 580の方が10%高く、シェーダークロックもGTX 580の方が12%高い。メモリ規格はGDDR5と共通だ。容量も1536MBと変わらない。メモリクロックは9%速くなり4.0 Gbpsとなった。メモリバスは384 bitと同じだ。メモリバンド幅が8%広く192.4 GB/sとなる。

出力は2x DVI、1x mini-HDMI 1.3aと維持されている。バスインターフェースもPCIe 2.0×16と共通だ。TDPは2%減って244Wとなる。CUDAコア数の引き上げやクロック周波数の引き上げがあってもTDPが引き下げられてたのは素晴らしい。補助電源は1×6-pinと1×8-pinが維持されている。価格は$499と共通だ。

競合モデルとしてAMDのRadeon HD 5970をピックアップしている。デュアルGPUだ。アーキテクチャはTeraScale 2となっている。GPUはHemlockだ。プロセスはGTX 580と同じ40nmだ。トランジスタ数はGTX 580よりも28%程度少なく21.54億となる。ダイサイズも35%小さく334m㎡だ。SM数は20でCUDAコア数は1600だ。

GPUクロックはGTX 580の方が6%高い。メモリ規格はGDDR5と共通だ。GPUメモリは2048MBとGTX 580よりも30%程度多い。メモリクロックは4.0 Gbpsと共通だ。メモリバスは512 bitとHD 5970の方が35%広い。メモリバンド幅もHD 5970の方が30%広い。出力は2x DVI、1x mini-DisplayPort 1.1だ。バスインターフェースはPCIe 2.0×16となる。TDPはRadeon HD 5970の方が20%多い。補助電源は6-pinと8-pinで共通だ。価格はHD 5970の方が$200高い。

GeForce GTX 580の評価【2025年時点】

型番 総合性能
RX 6500 XT 12,316
GTX 1650 9,506
RX 6400 9,392
GTX 960 7,405
GTX 1050 6,300
GTX 590 6,271
GTX 950 6,132
GTX 760 5,719
GTX 580 4,608
GTX 660 Ti 5,237
GTX 750 Ti 4,713
RX 560 4,328
GTX 480 4,116
GTX 570 4,045
GTX 750 3,627
GTX 560 Ti 3,538
GTX 470 3,409
RX 550 3,297
GTX 560 3,216
Radeon Graphics(5700G) 3,185
GT 1030 GDDR5 3,103
Intel UHD 750 2,059

GeForce GTX 580は、2025年時点では通用しないグラフィックボードと認識しておこう。登場から12年もの月日が流れていればこの事実もすんなり受け入れられるはずだ。フラグシップモデルである80番台のモデルでも終わりはあっけない。

2024年7月時点まで新品で購入できたTuring世代における50番台のGeForce GTX 1650(現行モデルの2つ前の世代)の55%の性能を持つに留まる。5,308というスコアだと快適なゲームプレイには程遠い。当サイトとしては10,000スコアを最低ラインとして見ている。

GeForce GTX 580の性能だとフルHDでも最低設定にする必要がある。場合によってはフルHDからHDへと解像度を落とす必要もあるだろう。GPUメモリ容量が1536 MBと少ないこともデメリットだ。GeForce GTX 1650でも4GB、その後継モデルのRTX 3050なら8GBだ。基本的には買い替えの時期が来たと考えてよい。

一時中古価格は4,000円前後で販売されていたが今は市場で探すのが難しくなった。最低でもGeForce GTX 1050(5,980円)、できればGeForce GTX 1650(12,990円)やRadeon RX 6400(12,980円)を最低基準に考えるべきだろう。5,000円以下のモデルは相応の性能でおすすめしづらい。近い内にGeForce GTX 1050もそうなりそうだ。

GeForce GTX 580のフレームレート

Battlefield: Bad Company 2

Battlefield Bad Company 2GTX 580-battlefield

Battlefield: Bad Company 2プレイ時のフレームレートを見ていこう。従来モデルのGTX 480と比べて1080pで18%高く、1600pで17%高い。Fermi 2.0アーキテクチャになってしっかりとパフォーマンスが引き上げられている。デュアルGPUであるRadeon HD 5970と比べると1080pで11%低く、1600pで14%低い結果となった。シングルGPUでらうことを考えると十分すぎるパフォーマンスだと言えるだろう。コストパフォーマンスの観点からも優秀だ。下位モデルのGTX 570との差は10%-18%だ。高解像度になるほど差が広がる。

Lost Planets 2

Lost Planets 2GTX 580-lostplanet2

Lost Planets 2ではGTX 580がトップのパフォーマンスを発揮している。1080pで76.5fps、1600pで50.4fpsを叩き出した。Radeon HD 6850のCrossFireを上回ったのは評価できる。従来モデルのGTX 480と比べて1080pで25%高く、1600pで12%高い。下位モデルであるGTX 570との差は10%-20%と大きくなっている。70番台と80番台では別物と考えてよいだろう。

Just Causes 2

Just Causes 2GTX 580-justcause2

Just Causes 2は、AMD製グラフィックボードと相性のよいタイトルとなっている。Radeon HD 5970が、GTX 580よりも19%-20%程度フレームレートが高い。従来モデルのGTX 480と比べると、1080pでは8%高く1600pで18%高い。1080pでの伸びはイマイチだが、1600pでは大幅にパフォーマンスが向上している。

販売当時のGeForce GTX 580の評価【2011年】

最強のシングルGPUが登場となった

型番 総合性能
HD 5970 4,981
GTX 580 4,748
RX 560 4,328
GTX 480 4,116
GTX 570 4,045
HD 5870 3,748
GTX 560 Ti 3,538
GTX 470 3,409
HD 6870 3,303
RX 550 3,297
GTX 560 3,216
HD 5850 3,162
HD 6850 3,087
GTX 460 1GB 2,734
GTX 460 768MB 2,541

GeForce GTX 580は、最強のゲーミング性能を持つシングルGPUだ。Radeon HD 5870と比べても25%以上も処理性能が高い。GTX 480の発売からわずか8ヶ月でのリリースは異例だ。GTX 480の熱・消費電力で評価が低すぎたのだ。おそらくNVIDIAとしても不本意な結果だったのだろう。その原因は歩留まりの悪さにある。GF100がフルスペックでなかったのは高品質なウェーハーを取れなかったからだと推測される。

結果的にSM(ストリーミングマルチプロセッサー)を1基無効にして、クロック周波数を引き上げたため想定以上に消費電力が上がり結果的に熱を持ちやすくなってしまった。GTX 580は、アーキテクチャの設計を見直したことで問題を克服した。このモデルでAMDのCayman GPUを迎え撃つことになる。

従来モデルより消費電力が抑えられている

gtx580watt
GTX 580は単純に処理性能が引き上げられただけではなく、消費電力もしっかりと抑えられていて省電力性に磨きが掛かっている。GTX 480と比べて15%程度性能が向上しているにも関わらず、消費電力は15%抑えられている。Fermi 2.0になって大きく進化した部分だと言える。残念ながら競合モデルであるRadeon HD 5970には及ばないものの、GTX 480のネックとなっていた消費電力の高さは克服できたと考えてよい。電源ユニットなどへ掛けるコストを抑えることができる。

Vapor Camber Cooling Designを採用している

Vapor Camber Cooling Design出典:(Wccftech, 2010)

GTX 580では、新しい冷却システムのVapor Chamber Cooling Desingが採用された。上記画像で言えば右回りで循環するということだ。一般的に採用されるヒートシンクよりも熱を下げやすいという特徴がある。ヒートシンク内部が中空構造になっていてそこに揮発性の高い液体が入っている。

仕組みとしては、GPUの熱で液体が気化して蒸気となってヒートシンク内部を移動して、ヒートシンク側に入ると熱が放出されて液体に戻る。なお、このVapor Camber Cooling Designは、現行のRTX 30シリーズなどでも活用されている。

参照外部サイト

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