画像引用元:https://jp.msi.com/ *イメージ
当記事では、AMD Radeon RX 570のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。2017年4月18日に発売開始となったグラフィックボードだ。2016年に発売されたRadeon RX 470のリネームモデルとなっている。リネームということで以前と同じGPUである「Polaris」を少し改良しただけに留まる。形式上アーキテクチャがPolaris 10からPolaris 20に変わっているが、スペック的にもそれほど大きな変更点はない。
AMD製グラフィックボードの中でもSteamでユーザーの多いモデルだ。競合となるGeForce GTX 1060 3GBと比較しながら性能について見ていこう。発売当時搭載ゲーミングPCのラインナップはほとんどなかったことから国内では自作PCユーザーに人気があったのではないかと推察される。中古価格は12,800円~と非常に抑えられていてコストパフォーマンスは良好だ。後継モデルは、Naviアーキテクチャを採用した「Radeon RX 5500 XT」だ。7nmプロセスとさらに一回り小さくなって省電力性に磨きが掛かっている。
総合評価 :35/100
ゲーム評価:35/100
- フルHDでのゲームプレイに最適(+)
- 登場時GTX 1060 3GBよりも安くコスパが高い(+)
- 性能面ではGTX 1060 3GBに劣ってしまう(-)
- RX 470からのリネームモデルに過ぎない(-)
Radeon RX 570の概要、基本を押さえる!
基本スペック・仕様
Radeon RX 570 | Radeon RX 580 | Radeon RX 470 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | GCN 4.0 | GCN 4.0 | GCN 4.0 |
プロセス | 14nm | 14nm | 14nm |
GPU | Polaris 20 | Polaris 20 | Polaris 10 |
トランジスタ数 | 57億個 | 57億個 | 57億個 |
ダイサイズ | 232m㎡ | 232m㎡ | 232m㎡ |
シェーダーコア | 2048基 | 2304基 | 2048基 |
コアクロック | 1168MHz | 1257MHz | 926MHz |
ブーストクロック | 1244MHz | 1340MHz | 1206MHz |
GPUメモリ | 4GB | 8GB | 4GB |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリクロック | 7 Gbps | 8 Gbps | 6.6 Gbps |
メモリバス | 256bit | 256bit | 256bit |
メモリバス帯域幅 | 224.0 GB/s | 256.0 GB/s | 211.2 GB/s |
TDP | 150W | 185W | 120W |
MSRP | $169 | $229 | $179 |
発売日 | 2017/04/18 | 2017/04/18 | 2016/08/04 |
コアクロックが27%引き上げられ、ブーストクロックが3%引き上げられている。その他メモリクロックが6%高い。7.0Gbpsメモリを搭載しているということでバンド幅が僅かながら高くなっている。まとめるとクロック周波数とメモリ周りが少しだけ変わったということだ。なお、クロック周波数が高くなったことで消費電力も上がり150Wとなっている。RX 470よりも25%アップだ。
パワー効率でNVIDIA製グラフィックボードに敵わないので、性能に対するコストを重視した形だ。実際はゲーミング性能でもGTX 1060 3GBに及ばず、やはり一年後登場のモデルとしてはやはり物足りない。上位のRX 580も基本的には同じだ。クロック周波数の引き上げとメモリ周りの強化だ。それほど革新的なグラフィックボードとは言えない。
GeForce GTX1060 3GBと比較
Radeon RX 570 | GTX 1060 3GB | GTX 1060 6GB | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | GCN 4.0 | Pascal | Pascal |
プロセス | 14nm | 14nm | 14nm |
GPU | Polaris 20 | GP106 | GP106 |
トランジスタ数 | 57億個 | 44億個 | 44億個 |
ダイサイズ | 232m㎡ | 200 mm² | 200 mm² |
シェーダー(CUDA)コア | 2048基 | 1152基 | 1280基 |
コアクロック | 1168MHz | 1506MHz | 1506MHz |
ブーストクロック | 1244MHz | 1708MHz | 1709MHz |
GPUメモリ | 4GB | 3GB | 5GB |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリクロック | 7 Gbps | 8 Gbps | 8 Gbps |
メモリバス | 256bit | 192 bit | 192 bit |
メモリバス帯域幅 | 224.0 GB/s | 192.2 GB/s | 192.2 GB/s |
TDP | 150W | 120W | 120W |
MSRP | $169 | $199 | $249 |
発売日 | 2017/04/18 | 2016/08/18 | 2016/07/19 |
RX 570はCUDAコアがかなり多い。アーキテクチャが異なるので純粋に比較できるわけではないが、参考となる部分はある。NVIDIA製グラフィックボードは、クロック周波数がかなり高い。メモリ周りについてはRX 570が優秀だ。GTX 1060 3GBよりも1GBだけGPUメモリが多いというのもポイントだ。消費電力についてはGTX 1060が優れている。
RX 570については搭載BTOパソコンがほとんどなかったため自作ユーザーの方向けのグラフィックボードとなっていた。まだこの時代はNVIDIA製グラフィックボードが優勢だ。
Radeon RX 570の最新評価【2025年】
性能は現行のロークラスに及ばない
Radeon RX 570は、NVIDIAのエントリーモデルであるGeForce GTX 1650よりも5%程度性能が高くロークラス相当ということになる。フルHDかつ標準設定を基準にすればゲームプレイに対応可能だ。一方で、消費電力は150WとGeForce GTX 1650の75Wと比べて倍増だ。古い世代のモデルになると省電力性は弱くなってしまう。
GeForce RX 470からの伸びはほとんどなく、旧世代の上位グレードであるRadeon RX 480には及ばない。フルHD環境で標準設定を基準とする必要がある。一つの基準となる10,000相当のスコアで今でも問題なく使用できる水準だ。AMDの次世代モデルであるRadeon RX 5500 XTになると10%以上性能が向上していて魅力的だ。
中古価格は6,980円~でやや割高
Radeon RX 570 4GBの中古価格は、税込6,980円~となっている。GPUメモリ容量が倍増となるRadeon RX 570 8GB版だと+1,000円で7,980円~だ。10,000円以下で購入できるのは魅力的だろう。フルHD環境でのゲームプレイで設定について妥協できるのであればこの性能帯のモデルが候補に入るはずだ。この価格帯のモデルを探すのは難しい。ただ、予算的にはより性能の高いGeForce GTX 1060 3GB(7,980円~)が選択肢に入る。GeForce GTX 1060 6GBだと9,000円前後の予算が必要だ。GPUメモリ容量が多いことがRadeon RX 570のメリットだ。
AMD製GPUで2番目に利用者が多い
出典:(Steam, 2022)
Steamの統計によるとRadeon RX 570はユーザーの多いグラフィックボードであることがわかる。Radeon RX 580に次いで二番目のシェアということになる。ユーザー数の多いGTX 1060の競合モデルということでRX 570を選んだユーザーが多いということだろう。ついにAMDもグラフィックボード市場でもシェアを獲得してきている。
Antigua世代のRadeon R9 380X/R9 380と比べてワンランク以上パフォーマンスが高くゲーム適性が向上している。発売されてしばらくしてから価格が下落したのも要因の一つだと思う。Radeon RX 580のシェアが2.14%に対して1.48%とNVIDIA製グラフィックボードがシェアを占める中で健闘していると言える。
Radeon RX 570のベンチマーク一覧
各タイトルについてフルHD×最高設定でのフレームレートを計測。これでどのぐらいゲームプレイが快適化を把握できる。GTX 1060 3GBやRadeon RX 470とのスコア差に注目して欲しい。
Rise of The Tomb Raider
Battlefield 1
Grand Theft Auto V
Hitman
Ashes of the Singularity: Escalation
Radeon RX 570の強み&特徴【2017年】
フルHD環境に適したグラフィックボード
型番 | 総合性能 |
---|---|
GTX 980 Ti | 16,819 |
GTX 1070 | 16,442 |
GTX 980 | 14,257 |
GTX 1060 6GB | 12,009 |
GTX 780 Ti | 11,283 |
RX 580 | 10,868 |
RX 570 | 9,974 |
GTX 780 | 9,863 |
RX 470 | 9,842 |
GTX 1650 | 9,506 |
R9 380X | 7,495 |
GTX 960 | 7,405 |
R9 380 | 7,312 |
GTX 770 | 7,197 |
GTX 680 | 6,736 |
GTX 950 | 6,132 |
GTX 760 | 5,719 |
GTX 750 Ti | 4,713 |
RX 560 | 4,328 |
Radeon RX 570は、Radeon RX 470と比べてわずかながら性能が伸びている。これはクロック周波数を引き上げた結果だ。世代が変わった割にはそれほど伸びていないと多くのゲーマーが感じるだろう。やや中途半端なモデルだと言えるかもしれないが、フルHD環境で設定を下げることに抵抗がなければ十分対応可能だ。
ターゲットは限定的となる
Radeon RX 570がターゲットとするのは、何らかの要因でRadeon RX 470にアップグレードをしなかったユーザーに限定されるだろう。Radeon R9 380XやRadeon R9 380と比べると十分ゲーミング性能が伸びていることがわかる。これらのモデルからの買い替えであれば十分選ぶ理由がある。
RX 570は確かにフルHD適正の高いグラフィックボードだが、それならより安価なGTX 1050 Tiが選択肢に入るだろう。GTX 1060 3GBとの価格差が大きくならない限り選びづらさがある。GTX 970やR9 390を所有している方なら買い替えの必要はないはずだ。
参照外部サイト
- Steamハードウェア&ソフトウェア 調査: August 2022(Steam, 2022)
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