ryzen33300x画像引用元:https://www.amd.com/en/

当ページでは、Ryzen 3 3100のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Ryzen 3 1200の後継モデルだ。Ryzen 3 3100は、Zen 2アーキテクチャを採用したRyzen 3シリーズのエントリーモデルとなっている。上位の「Ryzen 3 3300X」と比べるとクロック周波数が抑えられていてワンランクパフォーマンスが落ちる。

通常はゲーミングPC用CPUとしては心許ない。Ryzen 3 3100はオーバークロックを前提にするのがよさそうだ。Ryzen 3 3300XとRyzen 5 1600 AFに挟まれていてやや選びづらさがある。ゲーム以外なら同価格帯のモデルと比べても対応力が高くおすすめしたい。Ryzen 3 3300XやRyzen 5 1600AFと比較しながらそのゲーミング性能について見ていこう。

よくわかる!!Ryzen 3 3100の特徴まとめ

コードネーム Zen 2
プロセス 7nm
コア/スレッド数 4コア/8スレッド
定格/最大クロック 3.6 GHz/ 3.9 Ghz
L3キャッシュ 16MB
TDP 65W
発売日 2020年05月16日
MSRP $99
中古価格 5,480円~ *2024/7時点
コメント $99と低価格帯を支えるCPU
性能は高くないがOCのおかげでポテンシャルは高い
Ryzen 5 1600 AFの存在が気になる
評価 ・総合評価
2.0

・ゲーム評価
1.5

Ryzen 3 3100の基本情報

基本スペック

Ryzen 3 3100 Ryzen 3 3300X Ryzen 3 1200
メーカー AMD AMD AMD
コードネーム Zen 2(Matisse) Zen 2(Matisse) Zen(Summit Ridge
プロセス 7nm 7nm 14nm
トランジスタ数 38億 38億 48億
ダイサイズ 74 mm² 74 mm² 192 mm²
CPUコア数 4 4 4
スレッド数 8 8 4
定格クロック 3.6 GHz 3.8 GHz 3.1 GHz
最大クロック 3.9 GHz 4.4 GHz 3.4 GHz
オーバークロック
L3キャッシュ 16MB 16MB 8MB
対応メモリ DDR4-3200 DDR4-3200 DDR4-2666
内蔵グラフィックス 非搭載 非搭載 非搭載
CPUクーラー Wraith Stealth Wraith Stealth Wraith Stealth
PCI-Express Gen 4 Gen 4 Gen 3
TDP 65W 65W 65W
MSRP $99 $119 $109
発売日 2020年05月20日 2020年05月20日 2017年07月28日

 

Ryzen 3 3100のスペックについて、上位モデルのRyzen 3 3300Xと第1世代のRyzen 3 1200と比較していこう。純粋なスペックについてはどれも似ている。まず、およそ3年前に登場したRyzen 3 1200を見ていく。なお、次の第2世代ではRyzen 3シリーズは発売されていない。つまり、Ryzen 3 3100は2世代振りのRyzen 3シリーズだ。

Ryzen 3 3100では新しいZen 2アーキテクチャが採用されている。Ryzen 3 1200と比べてプロセスが14nmから7nmへと微細化されている。トランジスタ数が20%少なく、ダイサイズは62%小さい。プロセスが小さくなったことで一定のトランジスタ数を確保しつつダイサイズを大幅にコンパクトにすることに成功した。

さらにRyzen 3 3100は、SMT(Simultaneous multithreading)に対応していて4コア8スレッドとスペックが高い。Ryzen 3 1200ではZenアーキテクチャ採用でハイパースレッディングには対応してらおず4コア4スレッドというスペックだ。定格クロックは3.6GHz、最大クロックは3.9GHzと0.5GHzずつ高くなっている。オーバークロックに対応しているのは共通だ。

L3キャッシュが倍増の16MBを搭載している。対応メモリもDDR4-2666からDDR4-3200へとアップグレードされた。内蔵グラフィックスは非搭載だ。PCI-ExpressもGen 3.0からGen 4.0へと最新の規格になった。CPUクーラーはWraith Stealthを搭載だ。TDPは65Wが維持されている。価格は$99でRyzen 3 1200よりも安くなっているのは高評価だ。明らかに進化していることが見て取れる。

上位のRyzen 3 3300Xは非常に似たスペックが持つ。それでも定格クロックが3.6GHz→3.8GHz、最大クロックが3.9GHz→4.4GHzと10%-15%引き上げられる。$120と20%程度価格が上がるが、パフォーマンス向上を考えるとコストパフォーマンスに優れている。Ryzen 3 3100の競合になることは間違いないだろう。

Intel製CPUと比較

Ryzen 3 3100 Core i3-9350KF Core i3-9100F
メーカー AMD Intel Intel
コードネーム Zen 2(Matisse) Coffee Lake-R Coffee Lake-R
プロセス 7nm 14nm++ 14nm++
トランジスタ数 38億
ダイサイズ 74 mm²
CPUコア数 4 4 4
スレッド数 8 4 4
定格クロック 3.6 GHz 4.0 GHz 3.6 GHz
最大クロック 3.9 GHz 4.6 GHz 4.2 GHz
オーバークロック ×
L3キャッシュ 16MB 8MB 6MB
対応メモリ DDR4-3200 DDR4-2666 DDR4-2666
内蔵グラフィックス 非搭載 非搭載 非搭載
CPUクーラー Wraith Stealth 非同梱 同梱
PCI-Express Gen 4 Gen 3 Gen 3
TDP 65W 91W 65W
MSRP $99 $148 $79
発売日 2020年05月20日 2019年04月12日 2019年5月16日

 

Intel製CPUと比較していく。ターゲット層が近く人気の高いモデルをピックアップしている。実質の競合モデルはCore i3-9100Fとなるだろう。14nm++プロセスを採用していてRyzen 3 3100の7nmに比べるとやや古さを感じてしまう。パワー効率及び省電力性の観点から見るとRyzen 3シリーズが優勢だろう。

Core i3-9100Fは、4コア4スレッドでハイパースレッディングには対応していない。定格クロック3.6GHz、最大クロック4.2GHzとなっている。オーバークロックには対応していない。マルチスレッド性能はRyzen 3 3100の方が高い。最大クロックについてはCore i3-9100Fの方が高いもののRyzen 3 3100を総合性能で上回るほどではない。L3キャッシュ容量が62%少なく6MBに留まる。対応メモリはDDR4-2666とRyzen 3 1200で搭載されていたのと同じだ。PCI-ExpressもGen 3と1世代古い。CPUクーラーは搭載されている。TDPは65Wと共通だ。価格差は$20でCore i3-9100Fの方が安い。

上位モデルであるCore i3-9350KFもハイパースレッディングには対応しておらずこの点ではRyzen 3 3100に優位性がある。それでも定格クロックが4.0GHz、最大クロックが4.6GHzと大幅アップとパフォーマンスが高い。オーバークロックにも対応している。L3キャッシュは半減の8MBだ。対応目盛りはDDR4-2666だ。CPUクーラーは非同梱だ。PCI-Expressは3.0となっている。消費電力はクロック周波数が高い分91Wと引き上げられている。価格は$148で競合とは言えないかもしれない。

Ryzen 3 3100の最新評価【2025年】

マルチコア性能ほどゲーミング性能は高くない

ryzen33100gamescore
Ryzen 3 3100のゲーム性能は低めでやや厳しい状況となっている。マルチコア性能に対してゲーム性能は伸び悩んでいる。競合モデルのCore i3-9100Core i3-8100と比べてもゲーム性能は下だ。旧世代のRyzen 5 2600と同程度となる。次世代のRyzen 3 4100になると4%程度パフォーマンスが高い。スコア的には20,000以上欲しいのが本音だ。ロークラスのグラフィックボードとの組み合わで選ぶべきだろう。余裕を持たせるならCore i3-10100Ryzen 5 3500あたりがおすすめとなる。

中古価格は5,480円~と安め

製品名 コア/スレッド ゲーム性能 価格 コスパ 発売日
Ryzen 5 4500 6/12 21,026 9,980 2.107 2022/04/04
Core i3-10100F 4/8 20,069 7,980 2.515 2020/05/27
Core i3-9100F 4/4 19,406 3,480 5.576 2019/04/23
Ryzen 3 4100 4/8 19,087 7,980 2.392 2022/06/03
Core i3-8100 4/4 18,769 3,980 4.716 2017/10/05
Core i7-4790K 4/8 18,646 9,980 1.868 2014/05/01
Ryzen 3 3100 4/8 18,302 5,480 3.340 2020/05/23
Ryzen 5 2600 6/12 18,229 6,480 2.813 2018/04/19

Ryzen 3 3100の中古価格は5,480円~となる。性能を考えると割安感がある。性能的には次世代のRyzen 3 4100やRyzen 5 4500がおすすめだ。コストパフォーマンス重視ならCore i3-9100FやCore i3-8100がずば抜けている。やや古いモデルなので故障リスクは上がってしまうが、かなり割安だと言える。より高い性能を求めるならCore i3-10100が候補になる。価格帯的に選択肢が豊富で悩んでしまうだろう。スコア表と照らし合わせて最適な選択をして欲しい。

Ryzen 3 3100の特徴&注意点

Ryzen 3 3300X/Ryzen 5 1600 AFの陰に隠れてしまう存在

ryzen33100seinouRyzen 3 3100は、前世代のRyzen 3 1200よりも2倍以上パフォーマンスが向上している。万が一現在Ryzen 3 1200あるいはRyzen 3 1300Xなど第1世代のRyzen 3シリーズを使っている方なら買い替えるメリットがある。しかしながら、やや中途半端な立ち位置にあるというのも否定できない。

まず上位のRyzen 3 3300Xの存在だ。20%高くなる($20)ものの総合性能では10%高い。ゲーミング用途なら20%前後パフォーマンスが向上する。また、Ryzen 5 1600 AFも気になる存在だ。性能的にはRyzen 3 3100の方が有利だが、Ryzen 5 1600のリニューアルモデルで価格が$85とかなり手頃だ。価格を重視したいなら魅力的な存在だろう。

Ryzen 3 3100はちょうどその間にいてやや中途半端だと言える。価格を重視するならRyzen 5 1600 AFを、性能を追求するならRyzen 3 3300Xが好ましい選択となる。もう少し予算を出せるのであればRyzen 5 3500Xなども魅力的だ。Ryzen 3 3100のターゲットを考えるのが難しいのが現状だ。

Ryzen 3 3300Xとは仕組みが異なるCPU

ryzen33100sikumi画像引用元:https://www.anandtech.com/

鋭い方なら上位モデルであるRyzen 3 3300Xとの性能差が大きいことに対して不思議に思ったかもしれない。Ryzen 3 3300Xは、Ryzen 3 3100と比較してスペック的に定格クロックが6%、最大クロックが13%上がっただけなのにどうしてゲーミング性能が20%程度も高くなっているのかということだ。

実は内部的に差別化が図られていてクロック周波数以上の性能差が生まれているのだ。上記の画像を参考にして欲しい。Ryzen 3 3100では一つのCCD(Core Chiplet Die)の中に2つのCCX(CPU complex)が存在している。そして1つのCCS=2コア4スレッドでこれが2つなので4コア8スレッドということだ。AMDに言わせると2+2配置ということになる。

一方で、Ryzen 3 3300Xでは2つのCCXの内1つを無効化して1つのCCXで4コア8スレッドを実現している。つまり、4+0の配置だ。2+2配置ではコア同士のやり取りが発生した場合遅延が発生してパフォーマンスに影響を与える。つまり、あえて2+2配置でパフォーマンスを落としてRyzen 3 3300Xと差別化を図っているということになる。

オーバークロックのポテンシャルが高い

Ryzen 3 3100のいいところはオーバークロックでパフォーマンスを引き上げられることだろう。パフォーマンス的に余力があるため熱対策さえしっかりしておけばクロック周波数を高めることができる。うまくすれば10%程度のパフォーマンスアップを見込めるだろう。

10%前後のゲーミング性能向上を見込むことができる。オーバークロックまで考えているユーザーなら選択肢として悪くないと言える。ただし、初心者向けではないことは理解しておこう。また、標準のCPUクーラーでは性能的に物足りない。新しく用意するコストを考えると悩ましいところだ。どれほどパフォーマンスが上がるかは次のベンチマークを参考にして欲しい。

Ryzen 3 3100のゲームベンチマーク一覧

ゲームのスコア計測方法はフルHD環境でグラフィックボードを統一してCPUの性能を計測している。単位はfpsでフレームレートを指している。

Hitman 2

hitman2Ryzen 3 3100-hitman2

Ryzen 3 3100は、Intel製CPUよりもフレームレートが伸びている。Core i3-9100よりも15%高くアーキテクチャの進化が見られる。また、Ryzen 5 1600 AFよりも24%パフォーマンスが高い。Ryzen 3 3300Xとの差は17%とそれなりに開いている。オーバークロックすれば9%程度パフォーマンスを引き上げられる。CPUの総合性能では劣るRyzen 5 1600 AFよりもゲーム適性が高いのは評価できる。Zen 2アーキテクチャの勝利だ。

Far Cry 5

farcry5ryzen33100-farcry5

Far Cry 5では、Intel Core i3-9100に劣る結果となった。性能差は12%だ。オーバークロックをしてなんとか追い越せる程度に留まる。Core i3-9350KFになると厳しい戦いになる。それでもRyzen 5 1600 AFよりも9%パフォーマンスが高いのはさすがだ。Zen 2アーキテクチャの強さが光る。Ryen 3 3300Xとの性能差は18%と大きい。

Ashes of the Singularity: Escalation

ashesofthesinguryzen33100-Ashes of the Singularity

高負荷のタイトルでも十分のパフォーマンスだが、Ryzen 5 1600 AFにも劣る結果となった。Core i3-9100よりも17%高いのは素晴らしい。Core i3-9350KFをも上回るスコアが出ている。Ryzen 3 1300Xとの差は70%とかなり開いていて3年間のAMDの進化だ。オーバークロックをすればRyzen 3 3300Xに肉薄するほどまでパフォーマンスを引き上げられる。

その他アプリケーションのベンチマーク

Cinebench R20

cinebenchcinebenchr20-ryzen33100

CPUのレンダリング性能をスコア化できるベンチマークだ。スコアが高い方がパフォーマンスが高いということになる。マルチスレッド性能及びシングルスレッド性能を別々に図ることが可能だ。

Ryzen 3 3100は、Core i3-9350KFよりも30%マルチスレッド性能が高い。一方で、シングルスレッド性能は10%劣る。これはスペック通りの結果だと言える。オーバークロックすると12%パフォーマンスが伸びてRyzen 3 3300Xを上回る。オーバークロックとの相性の高さが伺える。

前世代のRyzen 3 1300Xと比べると上位モデルでありながら85%も伸びている。シングルスレッド性能も12%高い。3年経つとこれだけ性能が変わるということだ。古いモデルを使用している方は第3世代Ryzenシリーズへの交換を検討しても良いかもしれない。

Handbrake

handbrakehandbrake--ryzen33100

動画のエンコードに掛かる時間を計測している。数値が少ないほうが良い。Ryzen 3 3100は、x.265ではCore i3-9100よりも25%程度パフォーマンスが高い。Core i3-9350KやRyzen 5 1600 AFよりも高いのは高評価だ。一方でx.264ではRyzen 5 1600 AFに10%ほど下回っている。それでもオーバークロックという裏技があるため悪くない。

PCMARK10

pcmark10pcmark10-ryzen33100

Ryzen 3 3100は、Core i3-9100よりも4-9%パフォーマンスが高い。Core i3-9350KFと比べるとほぼ同等だ。Ryzen 5 1600 AFと比べると8%-13%優れている。アーキテクチャの違いが現れた形だ。オーバークロックをすればRyzen 3 3300Xに近い性能を引き出せることがわかる。

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