gtx480画像引用元:https://www.gainward.com/ *イメージ

当記事では、GeForce GTX 480のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Tesla 2.0アーキテクチャを採用したGeForce GTX 285の後継モデルだ。Fermi世代になってプロセスが55nmから40nmへと微細化されている。また、初めてDirectX 11に対応したNVIDIA製のグラフィックボードだ。2000年9月にAMD Radeon HD 5000シリーズがリリースされて半年経ったことになる。これでようやくAMDに追いついた形だ。

一般的にグラフィックボードで重要なのは性能だけではない。その他温度特性・消費電力・ノイズレベルなども重要となる。GTX 480は、この性能以外の面で問題が多く評判が悪かった。結果的に、GTX 480が発売されてわずかj八か月後に後継モデルである「GeForce GTX 580」がリリースされた。熱や消費電力の問題をしっかりと克服していて、高い評価を得たモデルとなっている。

GeForce GTX 480のスペック

GTX 285/GTX 295と比較

GTX 480GTX 285GTX 295
アーキテクチャFermiTesla 2.0Tesla 2.0
GPUGF100GT200BGT200B
プロセス40nm55 nm55 nm
トランジスタ数31億14億14億
ダイサイズ529 mm²470 mm²470 mm²
SM数153030×2
CUDAコア数480240240×2
GPUクロック701 MHz648 MHz576 MHz
シェーダークロック1401 MHz1476 MHz1242 MHz
メモリ規格GDDR5GDDR3GDDR3
GPUメモリ1536 MB1024 MB896 MB×2
メモリクロック3.7 Gbps2.5 Gbps2.0 Gbps
メモリバス384 bit512 bit448 bit×2
メモリバンド幅177.4 GB/s159.0 GB/s111.9 GB/s×2
出力2x DVI
1x mini-HDMI 1.3a
2x DVI
1x S-Video
2x DVI
1x HDMI
バスインターフェースPCIe 2.0 x16PCIe 2.0 x16PCIe 2.0 x16
TDP250 W204 W289 W
補助電源1x 6-pin
1x 8-pin
2x 6-pin1x 6-pin
1x 8-pin
MSRP$499$359$499
中古価格データなしデータなしデータなし
発売日2010/03/262008/12/232009/01/08
GTX 480のスペックについて見ていこう。GTX 480は、Fermiアーキテクチャを採用したグラフィックボードだ。GTX 285のTesla 2.0から大きく進化している。プロセスが55nmから40nmへと微細化された。トランジスタ数がGTX 285と比べて2.2倍の31億となっている。ダイサイズも12%大きく529m㎡だ。

GF100には4つのGPC(Graphics Processing Clusters)があり、それぞれのGPCは4つのSM(ストリーミングマルチプロセッサー)を持つ。1つのSM当たり32のCUDAコアが搭載されている。つまり、フルスペックでは512のCUDAコア(4×4×32)があるということだ。GTX 480では1つのSMが無効かされているため、CUDAコアは480(512-32)となる。GTX 285と比べてちょうど倍だ。

GPUクロックはGTX 480の方が8%高く、シェーダーコアはGTX 285の方が5%高い。GPUメモリ規格もDDR3からDDR5へとアップグレードされた。GPUメモリ容量は50%アップで1536MBだ。メモリクロックも50%アップで3.7 Gbpsとなる。メモリバスも23%減で384 bitだ。

メモリバンド幅はGTX 480の方が11%広く177.4 GB/sとなる。出力は、DVIに加えてmini-HDMI 1.3aが追加されている。バスインターフェースはPCIe 2.0×16と共通だ。TDPは23%増えて250Wとなる。補助電源は6-pinと8-pinだ。MSRPは40%高く$499となっている。

最後にデュアルGPUであるGTX 295と比較していく。基本的にはGTX 285のデュアル版だ。CUDAコアはどちらも480(240×2)となる。ただし、クロック周波数についてGTX 285よりも引き下げられている。

メモリ周りも協力だ。メモリクロックこそGTX 480の方が優勢だが、メモリバス・メモリバンド幅とGTX 295が上回っている。出力はDVIだけではなくHDMIにも対応している。TDPはGTX 480よりも16%高く289Wだ。補助電源はGTX 480と同じだ。価格も$499となる。

HD 5870/HD 5970と比較

GTX 480HD 5870HD 5970
アーキテクチャFermiTeraScale 2TeraScale 2
GPUGF100CypressHemlock
プロセス40nm40 nm40 nm
トランジスタ数31億21.54億21.54億
ダイサイズ529 mm²334 mm²334 mm²
SM数152020×2
CUDAコア数48016001600×2
GPUクロック701 MHz850 MHz725 MHz
シェーダークロック1401 MHz--
メモリ規格GDDR5GDDR5GDDR5
GPUメモリ1536 MB1024 MB1024 MB×2
メモリクロック3.7 Gbps4.8 Gbps4.0 Gbps
メモリバス384 bit256 bit256 bit×2
メモリバンド幅177.4 GB/s153.6 GB/s128.0 GB/s×2
出力2x DVI
1x mini-HDMI 1.3a
2x DVI
1x HDMI 1.3a
1x DisplayPort 1.1
2x DVI
1x mini-DisplayPort 1.1
バスインターフェースPCIe 2.0 x16PCIe 2.0 x16PCIe 2.0 x16
TDP250 W188 W294 W
補助電源1x 6-pin
1x 8-pin
2x 6-pin1x 6-pin
1x 8-pin
MSRP$499$399$699
中古価格データなしデータなしデータなし
発売日2010/03/262009/09/232009/11/18
競合モデルであるRadeon HD 5870及びRadeon HD 5970と比較していく。Radeon HD 5870は、TeraScale 2アーキテクチャを採用したグラフィックボードだ。GPUはCypressだ。プロセスはGTX 480と同じ40nmを採用している。GTX 480が後発モデルであることを考えるとやはり40nmで並んでしまうのは痛い。

トランジスタ数はGTX 480の方が44%多く、ダイサイズもGTX 980の方が58%大きい。SM数はHD 5870の方が34%多く、CUDAコア数もHD 5870の方が3.5倍多い。もっともアーキテクチャが異なるためCUDAコア数だけで比較するのはナンセンスだ。GPUクロックはHD 5870の方が21%高くなっている。

メモリ規格はどちらもGDDR5だ。GPUメモリ容量はGTX 480の方が50%多くなっている。メモリクロックはHD 5870の方が30%速い。メモリバスはGTX 480の方が50%広く384 bitだ。メモリバンド幅はGTX 480の方が15%広い。HD 5870ではDisplayPort 1.1に対応しているのはポイントだ。バスインターフェースはPCIe 2.0×16と共通となっている。

TDPは、GTX 480の方が34%高く250Wだ。HD 5870は省電力性の高いグラフィックボードだ。HD 4870は2×6-pinとなっている。価格差は$100でHD 5870の方が安価だ。GTX 480の発売は、HD 5870がリリースされて半年後となっている。

Radeon HD 5970は、HD 5870のデュアルGPUバージョンと考えるとわかりやすい。CUDAコア数は同等だが、GPUクロックが少し抑えられている。これは消費電力を抑える目的が強い。Radeon HD 5970の出力はGTX 480と共通だ。バスインターフェースもPCIe 2.0×16とGTX 480と変わらない。HD 5970のTDPは294WとGTX 480よりも18%高い。補助電源は6-pinと8-pinだ。価格はHD 5970の方が$200高い。

GeForce GTX 480の評価【2024年時点】

GTX 750相当の性能でゲームプレイは厳しい

RX 6500 XT12,316
GTX 16509,506
RX 64009,392
GTX 9607,405
GTX 10506,300
GTX 5906,271
GTX 9506,132
GTX 7605,719
GTX 5804,608
GTX 660 Ti5,237
GTX 750 Ti4,713
RX 5604,328
GTX 4804,116
GTX 5704,045
GTX 7503,627
GTX 560 Ti3,538
GTX 4703,409
RX 5503,297
GTX 5603,216
Radeon Graphics(5700G)3,185
GT 1030 GDDR53,103
Intel UHD 7502,059

GeForce GTX 480は、2023時点で到底通用しないグラフィックボードとなっている。スコアは4,116と、当サイトが基準とする10,000スコアの半分にも満たない。もはやゲーマー向けというよりも簡単な3Dグラフィックス処理ができれば良いと考えている方向けだと言える。フルHD環境なら設定を一番下まで下げるか解像度自体を落とす必要がある。

これから色々なゲームを楽しみたいと考えている方にはおすすめできない。一方で、古いゲームなど負荷の低いタイトルだけできれば問題ないという方であれば問題ないだろう。現在GeForce GTX 480を使用している場合は買い替えを強くおすすめする。

良質な中古製品を見つけるのは至難の業

GeForce GTX 480をドスパラやじゃんぱらなどのパーツメーカーで探すことは難しい。GeForce GTX 480を購入するならヤフオクやメルカリなどの個人売買がメインとなる。古い製品なのでジャンク品扱いのモデルがほとんどだ。当然保証もなくリスクしかない。

故障前提で遊ぶためのグラフィックボードが欲しい方なら候補に入るかもしれないが、基本的に中古での購入は避けた方がよいだろう。GeForce GTX 950GeForce GTX 760GeForce GTX 750 Tiなどもう少し新しいモデルを候補に入れるとよい。

GeForce GTX 480のフレームレート

Battlefield: Bad Company 2

Battlefield Bad Company 2

HD 5970127.9
86.8
GTX 480114.3
59.2
HD 4870X2106.2
62.7
HD 587095.9
61.9
GTX 47093.0
47.4
HD 585082.7
50.6
GTX 28564.9
39.6
GTX 29552.8
33.2
1920×10802560×1600
Battlefield: Bad Company 2では、Radeon HD 5970に次いで高いフレームレートを叩き出した。従来モデルのGTX 285と比べて1080pでは76%高く、1600pでも49%高くなっている。旧世代のモデルからしっかりと性能が引き上げられている。デュアルGPUのGTX 295は最適化がされていないのかフレームレートが伸びない。競合モデルであるRadeon HD 5870と比べて1080pではGTX 480の方が19%高いが、1600pではHD 5870が4%上回っている。

Crysis

crysis

HD 597052.4
29.5
HD 4870X240.1
23.2
GTX 29538.6
21.9
HD 587037.9
23.4
GTX 48037.3
21.8
HD 585032.4
18.2
GTX 47027.6
16.9
GTX 28524.8
15.3
1920×10802560×1600
Crysisは負荷の高いタイトルの一つだ。GTX 480は、1080pでも37.3fpsと低めだ。基本的には設定を下げないと対応できないと考えておこう。Crysisは、デュアルGPUが得意としている分野だ。Radeon HD 5970がトップで1080pで52.4fpsを叩き出した。GTX 295は、GTX 480と同等のフレームレートとなっている。Radeon HD 5870との差も誤差の範囲だろう。

販売当時のGTX 480の評価【2010年時点】

シングルGPUとしてトップのパフォーマンスを持つ

HD 59704,981
HD 4870X24,234
GTX 4804,116
GTX 2953,998
HD 58703,748
GTX 4703,409
HD 58503,162
GTX 2852,819
GTX 460 1GB2,734
GTX 2802,677
GTX 460 768MB2,541
HD 58302,406

GeForce GTX 480は、Fermi世代における高性能のモデルとなっている。シングルGPUとしては堂々とトップに君臨している。2010年時点でGTX 480よりも高い性能を持つのは、Radeon HD 5970とRadeon HD 4870X2のみだ。高解像度でのゲームプレイにも対応できるのは魅力的だろう。

機能面でも強化が図られている。具体的にはDirectX 11に対応したことや32xCSAA(Coverage Sampling Anti-Aliasing)をカバーしていることが挙げられる。DirectX 11は最新のゲームAPIで今後のことを考えると必須だと言える。AMDに後れを取ったがようやく対応した。32xCSAAではより自然なグラフィックス描写が実現可能だ。

スペック的には妥協が見られる

GeForce GTX 480のスペックを見るとわかる通り妥協が見られるのが残念だ。本当は、フルスペックのGF100が採用されるはずだったが、ダイサイズが大きくフルスペックにこだわると歩留まりが低くなってしまう。

もともと歩留まりが高いモデルではないためスペックを落とす自体仕方がないのかもしれない。フルスペックではSM数16で、CUDAコアは512だ。GTX 480では、SMが1つ減らされてCUDAコアは480となる。発表直後と数値が変わってしまったのはNVIDIAとしても不本意な結果だと言える。

消費電力が大きく熱も持ちやすい

gtx480watt

GTX 480は、非常に消費電力の高いグラフィックボードとなっている。システム全体でみると、デュアルGPUのGTX 295に次いで高い消費電力を記録している。GTX 285と比べて23%程度消費電力が上がっている。Radeon HD 5970よりも消費電力が高いのは悩ましい。

GTX 480の評価が難しいのはこの消費電力の高さが理由だ。消費電力が高いということは本体が熱を持ちやすくなってしまう。そして本体の温度を下げるためにファンがフル稼働となる。どうしてもファンの音も大きくなり取り扱いが難しいと言える。

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