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当記事では、AMD Radeon RX 480のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。2016年6月に発売されたグラフィックボードだ。Radeon R9 380の後継モデルで多くのAMDファンが待っていたPolaris世代のモデルということになる。発売された当時はミドルクラスをターゲットにしていた。
つまり、GTX 970やGTX 960ということになるが…まさかの展開が待ち構えていた。それは圧倒的に性能の高いGTX 1070の登場だ。2016年頃はNVIDIAの一強だったと言えるかもしれない。後継モデルは「Radeon RX 580」だ。Polaris 20へとコードネームが変わったが、内部的にそれほど進化しているわけではない。
総合評価 :40/100
ゲーム評価:40/100
- (+)GTX 970と同等のゲーミング性能を持つ
- (+)意外と使用しているユーザーが多い
- (-)GTX 1070の登場で蚊帳の外となってしまった
- (-)発売当時搭載モデルがほとんどなかった
当ページの目次
Radeon RX 480の概要、基本を押さえる!
基本スペック・仕様
RX 480 | RX 470 | R9 390 | |
---|---|---|---|
GPU | Polaris 10 | Polaris 10 | Hawaii |
プロセス | 14nm | 14nm | 28nm |
トランジスタ数 | 57億個 | 57億個 | 62億個 |
ダイサイズ | 232mm2 | 232mm2 | 438mm2 |
CUDAコア数 | 2304基 | 2048基 | 2560基 |
コアクロック | 1120MHz | 926 MHz | 1000 MHz |
ブーストクロック | 1266MHz | 1206 MHz | - |
メモリクロック | 2000MHz (8.0Gbps) | 1650MHz (6.6Gbps) | 1500 MHz (6.0Gbps) |
GPUメモリ | 8GB | 4GB | 8GB |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリバス | 256 bit | 256 bit | 512 bit |
バンド幅 | 256.0 GB/s | 211.2 GB/s | 384.0 GB/s |
TDP | 150W | 120W | 275W |
価格 | $229 | $179 | $329 |
発売日 | 2016/06/29 | 2016/08/04 | 2015/06/18 |
グラフィックス性能の要となるCUDAコアは2560基から2304基へと10%ダウンだ。一方で、コアクロックが12%アップしている。一部メモリ周りも強化され、8.0Gbpsを採用となった。メモリバスを512 bitから半分の256 bitになりバンド幅も落ち込んでいる。これも消費電力の削減に貢献している。275Wから150Wへと大幅に抑えられているのは評価できる。VRAMが4GBのモデルもあるが、ここでは8GBモデルを中心に扱っていく。当記事のベンチマークでは、性能的に同等であるR9 390の上位モデルであるR9 390Xをピックアップしている。
下位モデルであるRX 470との大きな違いはクロック周波数だ。アーキテクチャは共通でトランジスタ数などに違いはない。RX 480がPolaris 10のフルスペック版でRX 470がそのダウングレード版ということだ。CUDAコアが11%ダウンとなっている。コアクロックが17%、ブーストクロックが5%それぞれ抑えられている。GPUメモリも半分の4GBだ。バンド幅は211.2 GB/sとなる。価格差は$179でGTX 950とGTX 960の間に収まる形だ。
NVIDIA製GPUと比較
RX 480 | GTX 970 | GTX 1070 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | GCN 4.0 | Maxwell 2.0 | Pascal |
GPU | Polaris 10 XT | GM204 | GP104 |
プロセス | 14nm | 28nm | 16nm |
トランジスタ数 | 57億個 | 52億個 | 72億個 |
ダイサイズ | 232mm2 | 398mm2 | 314 mm² |
CUDAコア数 | 2304基 | 1664基 | 1920基 |
コアクロック | 1120MHz | 1050 MHz | 1506 MHz |
ブーストクロック | 1266MHz | 1178MHz | 1683 MHz |
メモリクロック | 2000MHz (8.0Gbps) | 1753MHz (7.0Gbps) | 2002MHz (8.0Gbps) |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
GPUメモリ | 8GB | 4GB | 8GB |
メモリクロック | 8 Gbps | 7 Gbps | 8 Gbps |
メモリバス | 256 bit | 256 bit | 256 bit |
バンド幅 | 256.0 GB/s | 224.4 GB/s | 256.0 GB/s |
TDP | 150W | 148W | 150W |
価格 | $229 | $329 | $379 |
発売日 | 2016/06/29 | 2014/09/19 | 2016/06/10 |
コアクロックについてもRX 480の方が高い。GPUメモリについてもGTX 970の倍増の8GBだ。メモリタイプは同じGDDR5でメモリバスは256 bitとなっている。バンド幅が256.0 GB/sとGTX 970よりも15%程度高い。価格差は$100とそれなりに開いている。発売がかなり前であることを考えるとスペックや価格は納得できるだろう。考え方次第では、Radeonシリーズがやっと2年前のグラフィックボードに追い付いたと言える。NVIDIA製グラフィックボードの性能の高さが光る。
なお、Radeon RX 480の発売より前にGTX 970の後継モデルであるGTX 1070が登場している。性能差は非常に大きくGTX 970とは別物だ。プロセスはRX 480の14nmには及ばないものの28nmから16nmへと縮小化されている。トランジスタ数は72億とかなり増えた。それでもダイサイズがGTX 970よりも小さいのは素晴らしい。メモリクロックが増えてメモリ周りもRX 480に追いついた形だ。グラフィックスクロック周波数が高いにも関わらず消費電力が150Wに抑えられているのはPascalアーキテクチャの評価すべきところだ。
Radeon RX 480の特徴まとめ【2024年】
GeForce GTX 1650よりも10%高い性能を持っている
上記テーブルは、現行モデルを含めたグラフィックボードのゲーミング性能をまとめたものだ。Radeon RX 480は、今でも購入できるTuring世代のエントリークラスであるGeForce GTX 1650に近いゲーミング性能ということになる。フルHD環境なら設定を下げることである程度のゲームに対応することが可能だ。Radeon RX 480は発売から8年の月日が流れてミドルクラスからエントリークラスまでランクが落ちている。それでも意外と息の長いモデルになったと言える。
GeForce GTX 1650と比べた優位性はメモリ容量が8GBとかなり余裕があることだ。ただ、一般的に大容量のVRAMは、高解像度でのゲームプレイ時に威力を発揮するので、フルHDが前提のRadeon RX 480ではなかなか活かせないのが現状だ。負荷の掛かる場面などではプラスに働くだろう。GeForce GTX 1650 SUPERと比べると13%程度パフォーマンスが落ちてしまう。
中古価格は税込7,480円前後と安い
じゃんぱらでの中古価格は税込7,480円~となっている。GeForce GTX 1650が12,980円~なのでこの性能帯を求めるなら意外と狙い目だと言えるかもしれない。この時代のAMD製のグラフィックボードは、NVIDIA製のグラフィックボードと比べると販売数も少なく中古でのタマもそれほど多くないことは押さえておこう。ゲームプレイ時における安定性でもやや劣ってしまう。性能的にはGeForce GTX 1060 3GBも選択肢に入る。7,980円~とRadeon RX 480と同等の価格となる。世代も同じだ。GPUメモリ容量は少ないもののゲーミング性能では上回る。
今でも使っているユーザーが多い
Steamの統計によると、Radeon RX 480の利用ユーザーの割合は0.43%とそれなりに数になっていることがわかる。下位のRadeon RX 470だと0.29%とさらに少ない。GTX 970が1.75%でTOP 15に入っていることを考えるとやはり人気は劣ってしまう。
統計を見てわかるとおりグラフィックボード全体ではそれほど知名度のあるグラフィックボードではないが、AMD製グラフィックボードの中ではユーザーが多い。これだけ古いモデルの中では健闘していると言える。その後のRX 5000/RX 6000シリーズへの系譜となるのだ。
Radeon RX 480のベンチマーク一覧
各タイトルについてフルHD×最高設定でのフレームレートを計測。これでどのぐらいゲームプレイが快適化を把握できる。GTX 1060 3GBやRadeon RX 470とのスコア差に注目して欲しい。
Rise Of The Tomb Raider
GTX 1070 | |
GTX 980 | |
R9 Fury X | |
RX 480 | |
R9 390X | |
GTX 970 |
Battlefield 4
GTX 1070 | |
R9 Fury X | |
GTX 980 | |
R9 390X | |
GTX 970 | |
RX 480 |
Grand Theft Auto V
GTX 1070 | |
R9 Fury X | |
GTX 980 | |
GTX 970 | |
R9 390X | |
RX 480 |
Hitman
GTX 1070 | |
R9 Fury X | |
RX 480 | |
R9 390X | |
GTX 980 | |
GTX 970 |
Radeon RX 480の発売当時の評価【発売時点】
GTX 970に匹敵するゲーミング性能を持つ
Radeon RX 480は、GeForce GTX 970に匹敵するゲーミング性能を持つグラフィックボードだ。価格帯的に上のグラフィックボードと同等の性能を持っているのはユーザーからするとメリットが大きい。前世代のRadeon R9 380と比べて40%以上性能が向上している。Polarisアーキテクチャの本領発揮だ。VR環境の構築を考えている方にもおすすめできる。
GTX 970の後継モデルとしてPascal世代のグラフィックボードが登場した。GTX 1070などこのPascal世代のグラフィックボードと比べると分が悪い。NVIDIAの最新グラフィックボードは、アーキテクチャの改良によって大幅にパフォーマンスを向上させている。下位であるGTX 1060 3GBと比べてもパフォーマンスは劣ってしまう。R9 390X/R9 390/R9 380X/R9 380からの買い替えを考えている方は難しい立場だ。
R9 390よりも消費電力が大幅ダウン
Polaris 10アーキテクチャーになって大幅に消費電力が引き下げられている。上記テーブルを見れば一目瞭然だ。プロセスの縮小やコンピュータユニットの改良がプラスに働いているということだ。これは非常に大きなメリットだと言える。
電源ユニットをそのまま維持できる可能性が上がり、買い替えのハードルが下がるという側面もある。NVIDIA製グラフィックボードに大きく劣っていた部分が克服できている。Radeon R9 390と比べて35%-40%程度省電力性が高い。ただし、新しく登場したGTX 1070と比べると見劣りしてしまうのは事実だ。