Radeon RX 6900 XT画像引用元:https://www.amd.com/ja/ *イメージ

当記事では、Radeon RX 6900 XTのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Radeon RX 6900 XTは、Radeon 6000シリーズ(Big Navi)のフラグシップモデルだ。多くのAMDファンが待ち焦がれたハイエンドモデルということになる。フルスペックのGPU Navi 21搭載で注目度が高い。コストパフォーマンスを考えると、NVIDIAの上位モデルであるGeForce RTX 3080 TiGeForce RTX 3080 10GBには及ばない。

レビューを行う前に伝えておきたいことがある。それはこのグラフィックボードは期待はずれで基本的にはおすすめしないモデルだということだ。待たされた分期待が大きすぎたことが要因だとも言えるかもしれない。搭載BTOパソコンについては「Radeon RX 6900 XT搭載おすすめBTOパソコン」でまとめている。後継モデルとして「Radeon RX 6950 XT」がリリースされた。クロック周波数の引き上げとメモリ周りの強化でより高いパフォーマンスを発揮する。

世代RDNA 2.0
プロセス7nm
CUDAコア5,120
ベースクロック1825 MHz
ブーストクロック2250MHz
TDP300W
MSRP$999
中古価格67,800円~
発売日2020/12/08
よくわかる!!Radeon RX 6900 XTの特徴まとめ

  • (+)フルスペックのNavi 21を搭載している
  • (+)RX 6800 XTよりもゲーム性能が高い
  • (+)アーキテクチャのおかげで省電力性が高い
  • (-)価格を考えると性能面での恩恵は小さい
  • (-)ゲーム性能でRTX 3080に劣ることがある
  • (-)レイトレーシング性能はRTX 3080に劣る

Radeon RX 6900 XTの基本スペック

RX 6900 XTRX 6800 XTRX 6800
コードネームRDNA 2RDNA 2RDNA 2
GPUNavi 21Navi 21Navi 21
プロセス7nm7nm7nm
ダイサイズ519 mm2519 mm2519 mm2
トランジスタ数268億268億268億
RTコア数807260
Tensorコア数---
CUs807260
CUDAコア数5,1204,6083,840
ベースクロック1825 MHz1825 MHz1700 MHz
ブーストクロック2,250MHz2,250MHz2,105MHz
メモリバス256-bit256-bit256-bit
GPUメモリ16GB GDDR616GB GDDR616GB GDDR6
メモリ速度16Gbps16Gbps16Gbps
メモリバス帯域幅512.0 GB/s512.0 GB/s512.0 GB/s
Infinity Cache128MB128MB128MB
TDP300W300W250W
価格$999
(127,800円)
$649
(118,778円)
$579
(99,800円)
搭載PC価格294,980円~269,980円~254,980円~
発売日2020/12/082020/11/182020/11/18

RX 6900 XTは、11月に発売されていたRX 6800 XTやRX 6800と同じRNDA 2を採用したグラフィックボードだ。アーキテクチャの改良によってワットパフォーマンスが向上している。プロセスは7nmでダイサイズ・トランジスタ数も共通だ。Navi 21のスペックを落としたものがこれまで発売された2つのモデルということになる。

RX 6900 XTではフルスペックのNavi 21(80基のCUs)が採用されている。コンピューターユニットが80で64のシェダーユニットがあるのでCUDAコアは5120となる。RX 6800 XTよりも10%程度多い。RTコアはコンピューターユニットと同数で80基だ。ベースクロック及びブーストクロックはRX 6800 XTと共通でRX 6800よりも7%程度高い。

実はメモリ周りに関しては全く同じだ。メモリバスは256-bit、GPUメモリ16GB、メモリ速度16Gbps、メモリバス帯域幅512.0 GB/sだ。そしてこのメモリバス帯域幅の少なさをInifity Cache 128MBでカバーする形だ。GPUとGPUメモリのデータのやり取りをスムーズにする役割を持つ。TDPは300WでRX 6800 XTと同じだ。スペックを上げている割に消費電力が抑えられているという点では意味がある。価格は$999とかなり高い。

Radeon RX 6900 XTの価格は127,800円だ。搭載PC価格は294,980円からとなる。Radeon RX 6800 XTが118,778円~だ。搭載PCの価格は269,980円からでうまく差別化が図られている。

Radeon RX 6900 XTの最新評価【2023年】

WQHD~4Kに対応できるポテンシャルを持つ

rx6900xtgamescoreRadeon RX 6900 XTは、現行のグラフィックボードの中でもトップクラスの性能を持つグラフィックボードだ。性能はGeForce RTX 3080よりも10%程度高い。その後RTX 3090 Ti・RTX 3080 Ti・RTX 3080 12GBがリリースされたことで相対的な位置は落ちた。それでも絶対的な性能が変わるわけではなくWQHD環境など高解像度でのゲームプレイを考えている方におすすめだ。レイトレーシング性能についてはRTX 3080よりも劣るため過信は禁物だ。レイトレーシング自体が第1世代ということもあってそこは多めに見てあげる必要がある。

当然下位モデルのRadeon RX 6800 XTよりもゲーミング性能は高くなる。前モデルでは当時ハイクラスのRadeon RX 5700 XTがフラグシップモデルだったためRadeon RX 6000シリーズで一気にパフォーマンスが引き上げられNVIDIA製グラフィックボードに追いついた。RX 57000 XTと比べると実に70%以上も性能が向上している。RDNA 2.0はAMDにとって画期的なアーキテクチャだと言える。ハイエンドクラスのAMD製グラフィックボードを待っていた方はチェックしよう。

ハイクラスの中でトップクラスのコスパを誇る

製品名ゲーム性能価格コスパ
RTX 408044,812157,9800.284
RX 7900 XT42,131123,8000.340
RTX 3090 Ti*39,024127,9800.305
RTX 4070 Ti38,219109,8000.348
RTX 3090*37,89694,9900.399
RX 6950 XT*37,22675,9800.490
RTX 3080 Ti*36,38072,9800.498
RTX 3080 12GB*36,03770,9800.508
RX 6900 XT*34,95567,8000.516
RX 7800 XT33,12882,8000.400
RX 6800 XT*32,22047,9800.672
*中古価格

Radeon RX 6900 XTの中古価格は67,800円と比較的価格が抑えられていてお買い得なグラフィックボードだと思う。上位モデルのRX 6950 XTと比べてもコスパ指標が高い。注意点としてNVIDIA RTX 40/RTX 30シリーズと比べてレイトレーシング性能が低いことは理解しておこう。NVIDAよりも世代が遅れているためツーランク以上パフォーマンスで劣ることもある。Radeon RX 6000シリーズは純粋なラスタライズ性能を重視したい方向けだ。フルHD~WQHD環境でのゲームプレイが中心となるなら下位モデルのRX 6800 XTもおすすめだ。この性能帯でもっともコストパフォーマンスに優れている。

Radeon RX 6900 XTの特徴&強みまとめ

Navi 21のフルスペックGPUを搭載している

Radeon RX 6900 XTはフルスペックのNavi 21を搭載している。すでに発売されていたRX 6800 XTやRX 6800も魅力的なグラフィックボードだが、あくまでもRX 6900 XTを盛り上げるための前座だ。AMDにとってRX 6900 XTが本命のはずだ。多くのAMDファン待望のグラフィックボードというわけだ。

RX 6900 XTでは採用されるコンピュータユニットが80基とRX 6000シリーズの中で最も多い。RTコアもコンピュータユニットと同じ数だけ搭載されるので、80基ということになりレイトレーシング性能も高めだ。フラグシップモデルを待っていたという方はぜひチェックして欲しい。

アーキテクチャ改良で省電力性が強化された

RDNA 2アーキテクチャの魅力はパフォーマンスの向上だけではない。コンピューターユニットのワットパフォーマンスを高めることで省電力性が高くなったのもポイントだ。Infinity Cacheも消費電力を抑えるのに一役買っている。

負荷状況によってはRX 6800 XTよりも消費電力が抑えられることもある。今後もこの省電力性を高めることが重要になってくるだろう。消費電力を下げられないとクロック周波数を引き上げるなど性能を高くすることができないからだ。プロセスの縮小もどんどん進んでいくかもしれない。

RX 6800 XTより割高感が強い

製品名     性能VRAM最低価格コスパ(性能/1円)
RTX 3090 Ti36,35424GB320,1000.1136
RTX 309035,52824GB252,8000.1405
RTX 3080 Ti34,13612GB169,8000.2010
RTX 3080 12GB33,47912GB147,8000.2265
RX 6900 XT31,46516GB169,8000.1853
RTX 3080 10GB29,76510GB134,8000.2208
RX 6800 XT27,98616GB134,8000.2076

RX 6900 XTは性能が高いグラフィックボードであることは間違いない。ただし、ゲーミング性能だけを考えるとRX 6800 XTからの伸びは価格に見合っていないというのが本音だ。RX 6900 XTは、RX 6800 XTよりも27%以上高いにも関わらずパフォーマンスはわずか13%伸びる程度だ。つまり費用に対して性能が見合っていない。下位モデルであるRX 6800 XTの1円当たりの性能は、0.2076と0.2を超えていてまずまずだ。

RX 6900 XTの数値はRTX 3080 Ti・RTX 3080 12GB/RTX 3080 10GBと比べて見劣りしてしまうことがわかる。RTX 3080 12GBなら価格が安いにもさらに高いグラフィックス処理性能を得られる。0.2265とここで紹介しているグラフィックボードの中で最もコストパフォーマンスに優れている。この性能にはレイトレーシング性能は考慮していないため総合的に考えるとRX 6900 XTはかなり厳しいと言わざるを得ない。

Radeon RX 6900 XTのフレームレート一覧

RX 6900 XTでの4K及びWQHD環境でのフレームレートをまとめている。注目はやはりNVIDIAのフラグシップモデルであるRTX 3090との性能差だろう。また、ゲームプレイではRTX 3080と同等程度まで落ちてしまうこともある。タイトルごとのフレームレートがどのぐらい変わるかにも注目して欲しい。

Watch Dogs: Legion

watchdogslegion

RX 6900 XT94
55
RTX 309091
61
RTX 308085
55
RX 6800 XT85
49
RX 680072
42
RTX 307070
42
RTX 2080 Ti67
42
WQHD4K
WQHD環境ではRX 6900 XTがトップに躍り出た。RX 6800 XTよりも11%高くなっている。RTX 3090よりも4%高い。一方で、4K解像度ではRTX 3080と同じ55fpsでRTX 3090よりも10%劣ってしまっている。コストパフォーマンスを考えるとRTX 3080が優秀だ。

Assassin’s Creed Valhalla

Assassin’s Creed Valhalla

RX 6900 XT100
64
RX 6800 XT89
57
RX 680081
48
RTX 309078
59
RTX 308075
56
RTX 307064
43
RTX 2080 Ti60
39
WQHD4K
Assassin’s Creed ValhallaではRX 6900 XTが素晴らしい結果を出した。WQHDでも4KでもRTX 3090及びRTX 3080を超えた。結果を見る限りRadeon製グラフィックボードとの相性がよいようだ。トップ3はRadeonが占めている。RTX 3090との差は9%-30%だ。

Godfall

godfall

RX 6900 XT106
63
RTX 3090104
68
RX 6800 XT100
59
RTX 308088
59
RX 680085
51
RTX 307072
46
RTX 2080 Ti68
41
WQHD4K
WQHD環境ではRX 6900 XTがトップだ。RTX 3090との差は2%と僅かだ。RX 6800 XTよりも6%高い。ところが4K解像度になると逆転してしまう。トップはRTX 3090でRX 6900 XTとの差は7%だ。RTX 3080を上回っていることは評価したい。

その他ベンチマーク一覧

レイトレーシング

rx6900xt-raytracing

前評判通りレイトレーシング性能については苦戦している状況だ。上記は3DMARK Port Royalを使ったベンチマーク結果となっている。一世代早くレイトレーシングを搭載したNVIDIA製グラフィックボードに大きな差を付けられている。

RX 6000シリーズのフラグシップモデルでも下位モデルのRTX 3070に近いスコアだ。RTX 3080とは30%近くの差が付いていてやや厳しい。実際のゲームプレイにおいてはこのベンチマーク以上に差が付いてしまうこともあるので、レイトレーシング機能を重視したいと考えている方は注意して欲しい。

消費電力

rx6900xt-watt

各グラフィックボードのゲームプレイ時の消費電力をまとめている。最も消費電力が高いのはRTX 3090でパフォーマンスを考えると納得できる。高負荷時にはRX 6800 XTよりも消費電力が抑えられているのは魅力的だ。価格が高い分だけ高性能だということになる。性能が高い上に消費電力が抑えられているなら言うことなしだ。考え方によってはもう少しパフォーマンスを引き上げられたのではないかと勘ぐってしまうが…クロック周波数が同等だというのも難しいところだ。

温度

rx6900xt-temparature

グラフィックボードの温度をまとめている。RX 6900 XTの温度が最も高い結果になった。RTX 3090の温度がかなり抑えられているのは驚きだ。環境によって大きく変わる部分であるため参考としておいて欲しい。

Radeon RX 6900 XT搭載おすすめBTOパソコン

意外とRX 6900 XT搭載モデルは各メーカーから販売されている。今後在庫切れとなってしまう可能性も否定できないため、購入検討中の方は急いで決断した方が良いかもしれない。価格重視で選ぶならフロンティアをチェックしよう。ドスパラはNVIDIA製グラフィックボード搭載モデルはコスパの高いモデルが揃っているが、AMD製グラフィックボード搭載モデルはコスパが伸びない。販売台数をそれほど増やせないので仕入れ値が高いのだろうか。

LEVEL-R7X6-LCR59W-DZX(パソコン工房)

LEVEL-R969-LC129K-WAXsyoumen価格:344,980円(税込)
CPU:Ryzen 9 5950X
GPU:Radeon RX 6900 XT
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:850W 80PLUS GOLD

Ryzen 9 5950Xを搭載したゲーミングPCだ。16コア32スレッドの怪物CPUだ。正直ゲームプレイ向けとは言えない。コアが多くてもここまであると性能を活かせない。どちらかと言うとクリエイター用途での購入がおすすめだ。メモリ32GB、SSD 1TB Gen4とずば抜けている。電源ユニットも850W GOLDと高品質モデルを採用している。価格が高いので予算がある方向けだ。

G-GEAR neo GX9A-E204/XT2(TSUKUMO)

G-GEAR neo GX7J-D190ZT価格:349,800 円(税込)
CPU:Ryzen 9 5900X
GPU:Radeon RX 6900 XT
メモリ:DDR4-2666 32GB
SSD:1TB Gen4 NVMe対応
HDD:非搭載
電源:Thermaltake製 850W GOLD

Ryzen 9 5900X×Radeon RX 6900 XT搭載のゲーミングPCだ。この組み合わせとしてはかなり価格が抑えられた一台だと言える。Ryzen 9 5900Xは、12コア24スレッドとマルチスレッド性能が高くクリエイター作業にも適している。メモリ32GB、SSD 1TB Gen4 NVMe対応と圧倒的な構成を誇る。電源ユニットには850W GOLDを採用している。一つ注意すべきはメモリ規格は旧世代のDDR4-2666だということだ。パフォーマンス的に少し不利になることがある。どうしてここでDDR4-2666を選択しているのかはわからない。コスト削減だろうか。

LEVEL-R769-LC129K-DZX(パソコン工房)

LEVEL-R969-LC129K-WAXsyoumen価格:344,980円(税込)
CPU:Core i9-12900K
GPU:Radeon RX 6900 XT
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:850W GOLD

Core i9-12900K搭載のミドルタワーモデルだ。サイドクリアガラス採用でデザイン性に優れている。税込み40万円オーバーとやや高いが、CPU性能を考えると妥当だろう。16コア24スレッドとマルチスレッド性能が高くRyzen 9 5950Xを上回るパフォーマンスを発揮する。水冷CPUクーラー搭載で夏場の使用でも安心だ。また、メモリ16GB、SSD 1TB NVMeと構成は十分だ。電源ユニットには余裕の850W GOLDを採用していて万全だと言える。

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CPURyzen 9 3950X
マザーボードMSI X570
メモリDDR4-3200 32GB
電源ユニット
参照元:AMD Radeon RX 6900 XT Review (TECHSPOT)