今注目されている「BTOパソコン」とは何かについて解説していく。BTOパソコンについて勉強中だという方向けのコンテンツだ。ゲーミングPCで一般的になりつつあるBTOパソコンのメリット・デメリットといった基本的なものからナショナルブランド品(Panasonic・NEC etc.)との違いなど一歩踏み込んだことまでまとめている。ここを読めばBTOパソコンについて家族や友人に教えてあげられるほどの知識を得られるはずだ。
BTOパソコンって何?
BTOパソコンとは、受注生産によって提供されるパソコンを意味する。BTOはBuild to Order(受注生産)の略だ。当サイトのメインコンテンツである「ゲーミングPC」ではこのBTOが主流となる。ドスパラ・マウスコンピューター・パソコン工房などがBTOメーカーで有名だ。今でこそBTOパソコンを販売するパーツショップ(BTOメーカー)もブランドを持ちケースにブランドが刻印されるようになった。
元々はパソコン専門店がPCパーツを組み立ててノーブランド品として販売されていた経緯がある。大手電機メーカーであるPanasonicやNECなどのナショナルブランドとは異なり価格が安く一気に普及した。海外メーカーのDellも一気にシェアーを拡大した。PCケースにロゴがなく箱が白いままだったことからホワイトボックスと呼ばれていた。今ゲーミングPCと言えばほとんどがBTOパソコン=ホワイトボックスパソコンと考えて間違いない。
ナショナルブランドはゲーミングPCに力を入れていないように思える。一時NECがゲーミングPCを販売していたがほとんど売れず下火になってしまっている。BTOメーカーもブランド力が上がり一般ユーザーに認知されているのだ。何よりコスト面で優位性があり誰もが購入しやすいモデルとなっている。
BTOパソコンとメーカー販売のパソコンとの比較
BTOパソコン | メーカー製パソコン | |
---|---|---|
例 | ドスパラ マウスコンピューター パソコン工房 フロンティア |
Panasonic VAIO NEC 富士通 |
価格 | ★★★★★ 安い |
★★☆☆☆ 割高 |
カスタマイズ性 | ★★★★☆ 高い |
★☆☆☆☆ 低い |
納期(通販) | ★★★★★ 最短当日 |
★★★☆☆ 1週間程度 |
BTOパソコンとナショナルブランド(大手電機メーカー)が販売するパソコンの特徴を比較していく。大手電機メーカー販売のパソコンとは、Panasonic・VAIO・NECなどのメーカーが販売しているパソコンのことを指す。価格が安いというのがBTOパソコン最大のメリットだ。BTOパソコンなら20%以上安く購入できる。メーカー製のパソコンは割高でそれに比べるとBTOパソコンの強みが際立つ。そこにはブランド代が含まれているということだ。
カスタマイズ性に関しても圧倒的にBTOパソコンの方が優れている。カスタマイズの幅はショップによって異なるのでどの程度を求めるのかで選んでしまうとよいだろう。納期についてもBTOパソコンが圧倒的だ。ショップによっては最短当日に出荷されることもある。遅くとも1週間以内に出荷されるショップが大半だ。少しでも早くパソコンが欲しいなら魅力的な選択肢となる。
ではメーカー製パソコンを購入する理由はどういったことが挙げられるのだろうか。例えば、いわゆる老舗メーカーで歴史もあってブランド力が高いということが言えるだろう。昔からこういったメーカー製パソコンを使っている方は継続して使い続けたいと思うかもしれない。また、ノートパソコンでは機能性に優れたモデルが多いのも特徴だ。
BTOパソコンのメリット
価格が安くコスパに優れている
BTOパソコンの最大のメリットがこの価格の安さ及びコスパの高さだ。BTOパソコンが一気に普及した理由だ。同等の構成・性能で見てもナショナルブランドが販売するパソコンよりも20%~30%ほど安く購入することができる。ナショナルブランドのパソコン購入を考えているなら一度BTOパソコンを確認するべきだ。BTOメーカーがパソコンを安く提供できる理由は生産体制にある。
受注生産となれば在庫管理も行いやすくコスト削減につながる。認知度が高まり多くのユーザーに購入してもらえれば規模の経済も働く。薄利多売となっている側面があるのも事実だ。人件費を抑える工夫もみられる。例えば、マウスコンピューターはサポートセンターを人件費の安い沖縄に配置している。ビジネス的にナショナルブランドと比べると高給なエンジニアの数も少なくできる。
ゲーミングPCのラインナップが豊富
BTOパソコンは高性能なグラフィックボードを搭載したゲーミングPCのラインナップが豊富なのも特徴だと言える。高性能なグラフィックボードを搭載しているという点でクリエイターPCも同様だ。CPUの選択肢も多く選びがいがある。一方で、メーカー製パソコンの場合グラフィックボードを搭載したモデルはほとんどない。基本的にはビジネスモデルがメインでグラフィックス機能は性能が控えめなCPU内臓グラフィックスが担う。ゲームプレイ・WEBデザイン・動画編集・画像生成AIなどの用途では立場が悪い。ゲーミングPCの購入を考えているならBTOパソコンが第一の選択肢となるはずだ。正しくは、それ以外の選択肢がない。
好みのカスタマイズができる
カスタマイズができるのもBTOパソコンの醍醐味だ。ゲーミングPCなどのパソコンを購入する上で全てのユーザーが同じ性能・構成を求めるわけではない。各々のユーザーの要望に応えられるのがメリットの一つとなっている。どれだけカスタマイズができるかはショップによって異なる。大手BTOメーカーよりも中小BTOメーカーの方がカスタマイズの自由度が高い傾向にある。
あるユーザーは、比較的負荷の軽い古めのタイトルをプレイすることを目的にしているかもしれないし、他のユーザーは最新のタイトルを綺麗なグラフィックでプレイするためにパソコンを探しているかもしれない。また、不要なパーツについては排除したり、ダウングレードしたりすることもできる。当然その分安く購入することが可能だ。また、クリアガラスパネル採用ケースとARGB対応ファンを組み合わせて光るゲーミングPCを作りたいと考える方もいるだろう。そういったことができるのもBTOパソコンの魅力だ。
セミオーダーができるメーカー一覧
多くのBTOショップがセミオーダーのゲーミングPCを販売している。細かいカスタマイズはできないが、ゲーマーが必要とするカスタマイズはできる。そして初心者にとってわかりやすいので人気がある。大手のショップはほとんどがこのセミオーダータイプだ。
フルオーダーができるメーカー一覧
中小のショップではフルオーダーのBTOパソコンを購入することが可能だ。玄人好みのショップだと言える。BTOパソコンに慣れてきた方ならカスタマイズを楽しめるだろう。
無駄なソフトがインストールされておらず使いやすい
BTOパソコンには不要なアプリケーションが一切インストールされていない。これは実は大きなメリットだと言える。メーカー製のパソコンの場合独自のソフトウェアが大量にインストールされていることがある。使わないアプリがあると起動に時間が掛かったり、ストレージ容量を圧迫してしまったりとユーザーにメリットはない。
BTOパソコンなら無駄なソフトなどをわざわざアンインストールする手間が省けるし、ストレージにも余裕ができるので初心者の方も安心だ。もちろん必要であればソフトを同時に購入することもできる。例えば、マイクロソフトオフィス・ウイルスソフト・スチームなどのソフトウェアはカスタマイズの項目に入れているショップもある。必要なものだけを選択できるのは嬉しい。
納期が早い
BTOショップによっては、納期の早さをウリにしているところがある。早いショップだと購入当日に出荷してくれるところもあるほどだ。即納モデルなら最短で購入翌日に受け取ることができる。BTOメーカーの多くは2営業日~5営業日での出荷となっている。これは大手のPCメーカーに比べてかなり早い。
元々BTOパソコンは納期が遅く注文してから2週間以上掛かることが普通だった。現在は流通工程の見直し等によってかなり改善されていると言える。購入したらできるかぎり早く手に入れたいというのがユーザーの心理だろう。それに応える形でスピード発送に対応しているのは嬉しい。
BTOパソコンのデメリット
BTOパソコンのデメリットについてもまとめておく。メリットとデメリットを理解しておけば怖いものなしだ。
デザイン性の低さ
BTOパソコンはデザイン性に劣ると言われることが多い。あまり個性のないケースなのはデメリットだ。その理由として、ケースのカスタマイズはできずすべてのモデルでケースが統一されているからだ。各メーカーでどうしても似たようなデザインになってしまうというのはデメリットだ。黒くて地味なケースが多い印象だ。
ただし、最近は各メーカーがケースデザインにも力を入れていてリニューアルを実施している。直近だとマウスコンピューター・フロンティア・ドスパラ・パソコン工房・TSUKUMOとケースデザインのリニューアルが続いている。また、中小メーカーなら多くのケースからお気に入りのものを選択することが可能だ。正直デザインについては自作PCと変わらない水準に到達している。
初心者にとってはとっつきにくい
一般的なパソコンに比べてBTOパソコンはややとっつきにくさがあるかもしれない。特に初心者の方からするとカスタマイズの項目で何を選択すればいいのかわからないという方も多いだろう。実際はそれほど複雑なものではなく当サイトを参考にしていただければ問題なく購入できると思う。
最近はマウスコンピューターを筆頭にBTOメーカー自体の知名度も上がってきているのは間違いない。また、マウスコンピューターはゲーミングデバイスやゲーミングモニターがセットになったゲーミングPCの販売をするなど初心者でも購入しやすくなっている。疑問点があればお気軽にお問い合わせいただければと思う。
パーツの詳細がわからない
ほとんどのBTOパソコンでは、搭載しているパーツのメーカーを記載されていない。上記はパソコン工房の人気ゲーミングPCだった「LEVEL-M1P5-R45-NAX-WHITE(現在は販売終了)」のスペック表だ。グラフィックボード・メモリ・ストレージ・チップセット(マザーボード)・電源ユニットとどこのメーカーの製品が採用されるかはわからない。このモデルでは下部でマザーボードの画像が掲載されている。なお、サイコムやパソコンショップセブンなどの中小BTOメーカーなら各パーツのメーカーを選択できる。メーカーにこだわりたいなら選択肢に入れてもよいだろう。
品質が悪い!?
BTOパソコンは価格が安いので品質が悪いと誤解しているユーザーも多い。在庫状況によって使用されるPCパーツは変わるが、基本的には既製品で高品質だ。出荷前に動作確認も行うので故障率が極端に高いということもない。故障が頻発すれば評判が悪くなってすぐにネット上で広まってしまうだろう。一時的な利益のために信頼を失うリスクを取る企業はないはずだ。
ただし、15年以上前はBTOパソコンの品質がそれほどよくなかったのも事実だ。電源ユニットなどが壊れやすく悪評が付いたショップもあった。今はそういったこともなく安定している。BTOメーカーも企業規模が大きくなり適当なことはできなくなった。安いから品質がダメ、高いから品質がよいというのは誤りである。
BTOパソコンで採用されているパーツをチェック
最後に上で紹介した「LEVEL-M1P5-R45-NAX-WHITE」のパーツ詳細を見ていこう。変なパーツが使われているということはない。パーツの詳細を記載できないのは在庫など市況によって搭載パーツを変えているからだ。だからこそユーザーには安く提供できる。
グラフィックボード
ZOTAC製のグラフィックボード「ZT-A30500M-10B」だ。こちらは市販品ではなくFounders Edition(リファレンスモデル)に近い。リファレンスモデルのグラフィックボードは、NVIDIAあるいはAMDが製造・販売している基本となるモデルだ。何の変更も加えられておらず最も信頼性が高いモデルとも取れる。このリファレンスモデルはメーカーからも登場しているが、メーカーロゴが記載されていないことが多い。中には壊れやすい・壊れにくいという意見もあるが、用途と運次第なのが実情だろう。
少し前まではグラフィックボードの寿命は2年~3年とも言われていたが、パーツ寿命というよりも性能面の寿命というのが今の解釈だ。BTOメーカーに採用されることの多いリファレンスモデルの対照がメーカー品(ベンダー製)だ。メーカー品の中にはOC(オーバークロック)で性能を引き上げていたり、ツインファン・トリプルファンなど独自のファンを搭載していたりとこだわりが見られる。性能を考えるとメーカー品は魅力的だろう。価格的にもメーカー品の方が高価だ。
メモリ
メモリは「Kingston CBD32D4U2S1MF-8」だ。
SSD
SSDは「Solidigm P41 Plus」となる。国内価格は6,500円~だ。
マザーボード
マザーボードはASRock製「B550M PRO4」だ。実売価格は13,810円~となる。
電源ユニット
電源ユニットはFSP製「HEXA 85+ 550W」が選択されている。550W 80PLUS BRONZEの標準的なモデルだ。実売価格は8,180円~となっている。
BTOパソコンに採用するパーツを見ると有名メーカーの製品が採用されていることがわかる。無名で低品質なパーツを採用しているわけではなく安心してもらっていい。
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