ryzen51600top画像引用元:https://www.amd.com/

Ryzen 5 1600Xのスペック性能比較&ベンチマークを検証している。第1世代Ryzen 5シリーズの最上位に位置するCPUだ。下位モデルであるRyzen 5 1600よりもクロック周波数を高めてパフォーマンスを向上させている。競合であるIntel製Core i5-7600Kと比べてコア数が多くマルチスレッド性能の高さに注目したい。その後登場したCore i5-8600Kと比べても見劣りしない。

一方でゲーミング性能についてはやや厳しく旧世代のモデルにも劣る。これまでIntel製CPUしか選択がなかったゲーミングPC市場に新たな一石が投じられたことに価値がある。次世代以降のRyzenシリーズが優秀なので、2023年時点でRyzen 5 1600Xを購入する理由は見当たらない。後継モデルはZen +アーキテクチャを採用した「Ryzen 5 2600X」だ。

よくわかる!!Ryzen 5 1600Xの特徴まとめ

コードネーム Zen
プロセス 14nm
コア/スレッド数 6コア/12スレッド
定格/最大クロック 3.6 GHz/ 4.0 Ghz
L3キャッシュ 16MB
TDP 65W
発売日 2017年4月11日
MSRP $249
中古価格 3,980円~ *2024/7時点
コメント Ryen 5 1600よりもゲームに対応しやすい
評価 ・総合評価
2.5

・ゲーム評価
2.0

ゲーミング適正は下位モデルのRyzen 5 1600よりも上がっているがまだまだ物足りない。ゲームに限定するとIntelの旧世代モデルであるCore i5-4670Kにも劣ってしまうこともある。第1世代のRyzenシリーズを購入するのは得策ではないと言える。できれば第3世代以降のモデルを検討したい。また、第4世代になれば格段にゲーミングパフォーマンスが向上している。

Ryzen 5 1600Xの基本情報

基本スペック

5 1600X 7 1700 5 2600X 5 3600X
メーカー AMD AMD AMD AMD
コードネーム Zen Zen Zen+ Zen 2
プロセス 14nm 14nm 12nm 7nm
トランジスタ数 48億 48億 48億 38億
ダイサイズ 192 mm² 192 mm² 192 mm² 74 mm²
CPUコア数 8 6 6
スレッド数 12 16 12 12
定格クロック 3.6 GHz 3.0 GHz 3.6 GHz 3.8 GHz
最大クロック 4.0 GHz 3.7 GHz 4.2 GHz 4.4 GHz
L3キャッシュ 16MB 16MB 16MB 32MB
TDP 95W 65W 95W 65W
MSRP $249 $329 $229 $249
発売日 2017年4月11日 2017年4月11日 2018年4月19日 2019年7月7日
Ryzen 5 1600Xのスペックについて上位のRyzen 7 1700と比較しながら見ていこう。参考までに次世代モデルであるRyzen 5 2600XRyzen 5 3600Xを掲載している。Ryzen 5 1600Xは、Ryzen 7シリーズと同じダイを搭載している。つまり、物理的にはRyzen 5 1600Xも8コアを持っているというわけだ。

CPUコア4基を持つCCXと呼ばれるCPUモジュールを2基搭載していて、CCX当たり1基のCPUコアを無効化して差別化を図っている。Ryzen 7 1700=4×2というところを、Ryzen 5 1600X=3×2へと抑えている。Ryzen 7 1700になるとワンランク高いマルチスレッド性能を得られる。クロック周波数が抑えられていてTDPは65Wとなっている。価格差は$80だ。

Ryzen 5 1600Xでは「Precisiton Boost(自動クロックアップ機能)」に加えて「Extended Frequency Range(強化版自動クロックアップ機能)」が搭載されていてよりクロック周波数を引き上げることが可能だ。ただし、CPUクーラーの性能を高くしてかつ消費電力に余裕がないと対応できない。

Ryzen 7 1700よりも定格クロック/最大クロックが高くなっているのがパフォーマンスにどのぐらいの影響を与えるかというのは注目だ。詳細はベンチマークの項目を参考にして欲しい。Ryzen 5 1600Xの消費電力は95Wと上限一杯まで引き上げられている。クロック周波数の高さの反動だ。搭載する場合電源ユニット及びCPUクーラーには力を入れておくべきだ。

第2世代RyzenシリーズのRyzen 5 2600Xになるとプロセスが14nmから12nmへと微細化されている。ただし、トランジスタ数やダイサイズは変わっておらずマイナーチェンジに留まる。第3世代のRyzen 5 3600Xになるとさらにプロセスが微細化されて7nmになる。ダイサイズはおよそ40%の74n㎡となっている。トランジスタ数が減ってもZen 2アーキテクチャの恩恵で性能が大きく引き上げられている。Ryzenシリーズはこの第3世代で大きく進歩した。

Intel製CPUと比較

Ryzen 5 1600X Core i5-7600K Core i7-7700K
メーカー AMD Intel Intel
コードネーム Zen Kaby Lake Kaby Lake
プロセス 16nm 14nm 14nm
CPUコア数 6 4 4
スレッド数 12 4 8
定格クロック 3.6 GHz 3.8 GHz 4.2 GHz
最大クロック 4.0 GHz 4.2 GHz 4.5 GHz
L3キャッシュ 16MB 6MB 8MB
TDP 95W 91W 91W
MSRP $249 $242 $339
発売日 2017年4月11日 2017年1月6日 2017年1月6日
競合のIntel製CPUと比較していく。Core i5-7600KやCore i7-7700Kのコアが4コアであることを考えるといかにRyzen 5 1600Xが高いスペックを持っているのかということがわかる。Core i5-7600Xと比較すると定格クロック及び最大クロックがそれぞれ0.2GHz低いものの6コア12スレッドとコア/スレッド数で圧倒している。L3キャッシュも16MBと余裕がある。Core i5-7600Kでは6MB、Core i7-7700Kでも8MBに留まる。

消費電力はCore i5-7600Kの91Wに対してRyzen 5 1600Xは95Wと同水準だ。価格もほぼ同じと考えてよい。1コア当たりの価格を見るとCore i5-7600Kは$60で、Ryzen 5 1600Xは$41とかなりコストパフォーマンスが高いことがわかる。スレッド数でも圧倒的だ。16nmプロセスでここまでのスペックを実現したのは驚くしかない。

上位モデルであるCore i7-7700Kと比べてもコアとスレッド数の優位性は変わらない。ハイパースレッディングに対応しているので、Core i5-7600Kよりもワンランク性能が高い。さらに、定格クロックで16%、最大クロックで13%の差が生じている。当時でいえばCore i7-7700Kの形がゲーム用途では最適だった。コア数が多くてもゲームプレイには活かせないというのが共通認識だ。もちろん今では最適化も進んでそんなわけではない。

総合性能

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総合性能ではRyzen 5 1600Xが、Core i5-7600Kよりも80%以上も高い。これはコア/スレッド数が多いことによる当然の結果だ。マルチスレッド性能が活かせる環境においては高いパフォーマンスを発揮できる。Core i7-7700Kをも30%以上高い性能を持っている。ゲームプレイ以外での使用を考えているなら今でも使いやすいと言える。

ゲームプレイについてはCore i5-7600Kに劣ってしまう。Intel第4世代のCore i7シリーズにさえも負けてるほどだ。まだまだ発展途上のCPUで次世代に繋がるモデルだったと言える。ゲーム目的ならRyzen 5 3500やRyzen 5 3600を候補に入れるべきだろう。

Ryzen 5 1600Xの特徴&注意点【2025年】

ゲーミング性能ではCore i5-7600Kを下回る

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総合性能ではCore i5-7600Kを上回っているもののゲームプレイに限定すればその通りにはいかない。ゲームプレイでは最大10%も遅れを取ってしまう。ゲーム目的で同じ予算を考えているのであればCore i5-7600KあるいはCore i7-7700Kを選択した方がよいだろう。より高いフレームレートを実現することができる。安定感という側面でも完敗だ。

ゲームプレイになると一気にパフォーマンスが低下するのはAMD製CPUのアーキテクチャに問題があるからだ。AMD製CPUの弱点だと言える部分だ。ゲーム側の最適化の問題以外にもレイテンシが大きいという課題がある。高負荷時に効率よく処理ができないのだ。これは2基のCCXを搭載していることが要因だ。

1基のCCXには4つのコア(Ryzen 5 1600Xでは1つを無効化)があり、これを2基搭載することでマルチコアを実現している。つまり、2つのCCXがそれぞれ3つのコアを持っているので6コアを持っているということになる。負荷が掛かり2基間のやり取りが発生すると遅延が発生してしまうのだ。結果的にゲームプレイ時などに悪影響を与えてしまうのだ。

この時代のRyzen 5シリーズには過度な期待はしない方がよい。まだまだ弱点が目立つCPUだったのだ。なお、このレイテンシという問題は第3世代Ryzenシリーズ(Zen 2)では改善されていてゲーミング性能は大きく向上している。もっともそれでもIntel製CPUには劣ってしまうのだが…

中古価格は3,980円~と底値

Ryzen 5 1600Xは中古相場が4,000円前後と底値まで落ちている。これはそのまま性能を表しているといえるだろう。ゲーム目的での使用はおすすめしない。第1世代Ryzenシリーズは未完成なCPUで厳しい側面がある。低コストのパソコンを構築したいと考えているなら同じAMDでもZen 2アーキテクチャ採用のRyzen 5 3500が最低基準となる。

CCX×2基からCCX×1基となりレイテンシ軽減が実現した。中古価格は5,980円とこちらも価格が下がっている。6コア6スレッドとハイパースレッディングには対応しておらずスペックは高くないが、ゲーミングCPUとして最低限の性能を持つ。50番台のグラフィックボードとの組み合わせならボトルネックの心配は無用だ。

10,000円の予算が出せるならRyzen 5 4500もよいだろう。6コア12スレッドとハイパースレッディング対応でより高いパフォーマンスを期待できる。同じAM4ソケットというのも大きい。同性能帯で言えばIntel製Core i3-10100Fもよいだろう。コア8スレッドと現行モデルと比べるとスペックは見劣りするが、ゲーム性能はRyzen 5 1600Xよりも15%も高い。Core i3シリーズだからといって侮れない。

Ryzen 5 1600Xのゲームベンチマーク一覧

Far Cry 5

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Core i5-7600Kとの差が大きく24%となっている。最小fpsでも圧倒されているためやはりゲームプレイは苦手であるということがわかる。なお、上位のRyzen 7 1700よりもパフォーマンスが高いのはやはりマルチコアを活かせていないことが要因だろう。6コア12スレッドの方がパフォーマンスを維持できたのだ。シングルスレッド性能が重視されている。

Rise of the Tomb Raider

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Core i5-7600Kとの差が2%程度と小さく健闘していると言える。このタイトルでもRyzen 7 1700を上回っている。ゲーミングPCに搭載するCPUとしてはRyzen 7 1700ではなくRyzen 5 1600Xを選択するべきだ。8コア16スレッドのRyzen 7 1700をゲーム目的で所有するメリットはほとんどない。いずれにせよこの時代はIntelが強い。

PUBG

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Ryzenシリーズが大苦戦という結果になった。Intel第4世代のCore i5-4670Kよりも劣っているのはいただけない。Core i5-7600Kと比較するとパフォーマンスで20%も差が出ている。そしてやはりRyzen 7 1700はフレームレートが伸び悩んでいる。

その他アプリケーションのベンチマーク

Cinebench R15

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CPUのレンダリング性能をスコア化している。Ryzen 7 1800Xを筆頭にRyzenシリーズが強い。Ryzen 5 1600Xは、Core i7-7700Kよりも28%マルチスレッド性能が高い。一方でシングルスレッド性能については15%劣る。このマルチスレッド性能をうまく活かせないのだからやっかいなCPUだ。

Handbrake

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動画のエンコード速度を計測している。やはりコア数の多いRyzenシリーズのパフォーマンスが高い。Ryzen 5 1600XでもCore i7-7700KやCore i5-7600Kを上回っている。Core i5-7600Kとの差は50%となっている。消費電力や相性の問題を排除すればクリエイターの方には魅力的なCPUだと言えるだろう。

7 Zip

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Zipファイルの解凍及び圧縮速度については上記のとおりだ。解凍速度はIntel勢が有料クだ。それでも全体的にRyzenシリーズのパフォーマンスが高い。

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ベンチマークテスト環境

desktoppc

GPU EVGA GeForce GTX 1080 FE
メモリ 2x G.Skill FlareX DDR4-3200
ストレージ
電源ユニット SilverStone ST1500, 1500W
マザーボード MSI B350 Tomahawk
参照元:AMD RYZEN 5 2600X REVIEW (PCGAMER)