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当記事では、Radeon RX 590のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。2018年11月15日に新しく登場したグラフィックボードだ。およそ1年前にリリースされたRadeon RX 580やRadeon RX 570で採用されたPolaris GPUより少しだけ進化している。ゲーミング用グラフィックボードとして初めて12nmプロセスを採用した新しいモデルだが、中身を見ると以前のものと大きく変わったわけではない。
年内になんとかリリースできたといったところだろうか。このRadeon RX 590に対してライバルのGeForce GTX 1060 6GBもメモリDDR5X搭載モデルをリリースしてしっかりと対抗馬を用意しているのが興味深い。ただし、BTOパソコンでは通常のGDDR5メモリ搭載モデルが採用されている。メインストリームとなるAMD製グラフィックボードを待ちわびていた方は必見だ。詳細は記事を参考にして欲しい。
- RX 580/GTX 1060 3GBを上回るパフォーマンスを持つ(+)
- 12nmプロセス採用も大幅に進化したわけではない(-)
- NVIDIA製グラフィックボードよりもパワー効率に劣る(-)
- 競合のGTX 1060 6GB登場から1年半が経ち今更感が強い(-)
当ページの目次
Radeon RX 590の概要、基本スペック
Radeon RX 580&RX Vega 56と比較
RX 590 | RX 580 | Vega 56 | |
---|---|---|---|
世代 | Polaris 30 | Polaris 20 | Polaris 20 |
プロセス | 12nm | 14nm | 14nm |
トランジスタ数 | 57億個 | 57億個 | 125億個 |
ダイサイズ | 232m㎡ | 232m㎡ | 484m㎡ |
CUDAコア数 | 2304基 | 2304基 | 3584基 |
コアクロック | 1469MHz | 1257MHz | 1156MHz |
ブーストクロック | 1545MHz | 1340MHz | 1471MHz |
GPUメモリ | 8GB | 8GB | 8GB |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | HBM2 |
メモリクロック | 8 Gbps | 8 Gbps | 1.6 Gbps |
メモリバス | 256 bit | 256 bit | 2048 bit |
メモリ帯域幅 | 256.0 GB/s | 256.0 GB/s | 410.0 GB/s |
TDP | 225W | 185W | 210W |
価格 | $279 | $249 | $399 |
発売日 | 2018/11/15 | 2017/04/18 | 2017/08/14 |
しかしながら、プロセスの微細化に成功したもののダイサイズは232 m㎡で14nmプロセスのRadeon RX 580と同等だ。トランジスタ数は同じ57億個となっている。AMDによるとこれはサードパーティ向けグラフィックボードやクーラーデザインとの互換性を維持するためだということだ。真実は製造工程を最適化するコストが高く、割に合わないというところだろう。本来なら16%の省電力に貢献する新しい設計をしたいというのが本音だろう。
いずれにせよプロセスサイズを縮小することでクロック周波数を引き上げることができた。およそ15%引き上げることに成功している。結果的にRX 580よりも高い性能を出すのだが、それほど大きな変化があったわけではない。CUDAコア、メモリ帯域などに違いはない。なんといっても消費電力が225Wへと20%上がってしまっているのは痛い。
Radeon Vega 56は、トランジスタ数が125億個と120%も多い。ダイサイズは倍以上の484m㎡と一回り大きくなっている。CUDAコア数は3584基と55%程度多い。コアクロック及びブーストクロックは抑えられているが、全体的なパフォーマンスは高い。メモリタイプには高価なHBM2を採用しているのも強みだ。メモリ帯域幅が広く効率的にグラフィックス処理を行うことができる。もっともこのHBM2はコスパが悪すぎたため現行モデルであるRadeon RX 5000シリーズあるいはRadeon RX 6000シリーズでは採用されなくなっている。
GeForce GTX 1060 6GBと比較
RX 590 | GTX 1060 | |
---|---|---|
世代 | Polaris 30 | Pascal |
プロセス | 12nm | 16nm |
トランジスタ数 | 57億個 | 44億個 |
ダイサイズ | 232m㎡ | 200m㎡ |
CUDAコア数 | 2304基 | 1280基 |
コアクロック | 1469MHz | 1506MHz |
ブーストクロック | 1545MHz | 1709MHz |
GPUメモリ | 8GB | 6GB |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 |
メモリクロック | 8 Gbps | 8 Gbps |
メモリバス | 256 bit | 192 bit |
メモリ帯域幅 | 256.0 GB/s | 192.2 GB/s |
TDP | 225W | 120W |
価格 | $279 | $249 |
発売日 | 2018/11/15 | 2016/07/19 |
GeForce GTX 1060 6GBは2016年7月と1年以上前にリリースされたモデルなのでプロセスが16nmと古いものの今でも通用するグラフィックボードだ。総合的に見るとどうだろうか。メモリタイプは同じGDDR5を採用している。Radeon RX 590は、メモリバスが256 bitとなっているためGTX 1060よりもメモリ帯域幅が33%程度高い。これも消費電力の引き上げの要因となっていると考えてよいだろう。
Radeon RX 590の最新評価【2023年】
ローエンドクラス相当のゲーミング性能を持つ
Radeon RX 590は、下位モデルであるRadeon RX 580よりも約8%高いパフォーマンスを持つ。競合のGeForce GTX 1060 3GBよりも高い性能を持ちフルHD環境をターゲットにしたモデルだということだ。2023年時点でも通用しないわけではないが、ゲーミング性能は高くなく設定を下げないとやや厳しい。また、古いアーキテクチャを採用したモデルということもあって消費電力が上がるなどデメリットもあるので、購入を考えている方はきちんと理解しておく必要がある。
2019年12月に登場したRadeon RX 5500 XTとほぼ同等だ。NVIDIA製の比較的新しいグラフィックボードであるGeForce GTX 1660 SUPERには劣っている。2018年当時はAMD製グラフィックボードはハイクラスのモデルがなく苦戦していたことがわかる。
RDNA 2.0アーキテクチャを採用したRadeon RX 6500 XTが登場したがそれほど性能は伸びずGeForce GTX 1660 SUPERには及ばない。Radeon RX 590から買い替えるほどのモデルとは言えないだろう。Ampere世代のエントリークラスであるGeForce RTX 3050は50番台ながら高い性能を持っている。低価格帯のモデルを探しているならGeForce RTX 3050は魅力的な選択肢となる。
コストパフォーマンスは高くない
製品名 | VRAM | ゲーム性能 | 価格 | コスパ | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|
GTX 1660 SUPER | 6GB | 13,913 | 12,980 | 1.072 | 2019/10/29 |
RX 6500 XT | 4GB | 12,316 | 21,980 | 0.560 | 2022/01/19 |
GTX 1060 6GB | 6GB | 12,009 | 8,980 | 1.254 | 2016/07/19 |
RX 590 | 8GB | 11,799 | 11,980 | 0.985 | 2018/11/15 |
RX 5500 XT 4GB | 4GB | 11,220 | 9,980 | 1.124 | 2019/12/18 |
GTX 1060 3GB | 3GB | 11,144 | 7,980 | 1.374 | 2016/07/19 |
RX 580 | 8GB | 10,868 | 9,480 | 1.146 | 2017/04/18 |
Radeon RX 590は同等の性能を持つモデルと比べてやや価格が高い。GeForce GTX 1060 6GB/3GBと比べて比較的新しいこととGPUメモリ容量が8GBと大容量なことが要因だろう。NVIDIA製グラフィックボードと比べてタマが少ないことも価格に影響を与えている可能性がある。ローエンドクラスのモデルを探しているならGeForce GTX 1060 6GB/GeForce GTX 1060 3GBが魅力的な選択肢となる。コストパフォーマンス指標は30%以上上回る。下位モデルのRadeon RX 580もコストパフォーマンスは悪くない。
Radeon RX 590の特徴と注意点【発売時点】
Vega 56とRX 580のギャップを埋めるモデル
画像引用元:https://www.anandtech.com/
このタイミングでRX 590をリリースした目的はこのスライドに集約されている。それは、RX Vega 56/GTX 1070とRX 580/GTX 1060とのパフォーマンスギャップを埋めるためだ。約$150の価格差があるのでメーカーからすると埋めておきたいところだろう。
GTX 1060 6GB DDR5X搭載モデルをリリース
- $399 RX Vega 56/GTX1070
- $279 RX 590/GTX 1060 6GB DDR5X
- $249 RX 580/GTX 1060 6GB
大きな変化がなく今さら感が強い
Radeon RX 590は、製造プロセスは確かに12nmへと縮小され、クロック周波数も上がっている。ただ、中身を見るとダイサイズも変わらず今このタイミングで新商品として投入する必要があったかは疑問だ。2年前のアーキテクチャと大きく変わったわけではなく、ユーザーがこれを待っていたと強く思うことはないと考えている。
PalitがGTX 1060で行ったようにDDR5X搭載などRadeon RX 580のマイナーチェンジで十分だったかもしれない。当然NVIDIAの新しいグラフィックボードの情報はAMDにも入っていただろうからそれに合わせてぶつけてきただけだとも予想できる。AMDにとってはやや苦しい立場にあることは間違いない。
消費電力が大きい
すでに見たとおりRadeon RX 590の最大のデメリットが消費電力の高さだ。ゲームプレイにおける高負荷時の場合GTX 1060 6GBのおよそ2倍の245Wと消費電力が高い。ピーク時では300Wを超えハイクラスのグラフィックボード以上だ。いかにNVIDIA製がグラフィックボードが省エネかがわかる。いくらパフォーマンスで上回っていてもこれだけ消費電力が高くなってしまうと致命的だ。NVIDIAのハイクラスのグラフィックボードと変わらない水準になってしまっている。
Radeon RX 590のベンチマーク一覧
RX 590のベンチマークをまとめている。フルHD及びWQHDでのフレームレートを計測した。最高設定でのスコアとなっている。
Battlefield
Wolfenstein II: The New Colossus
destiny 2
Far Cry 5
Grand Theft Auto 5
Radeon RX 590の総評
[table “918” not found /]- (+)GTX1060 6GBより13%高い性能
- (-)新モデルとしては物足りない
- (-)消費電力が高い
Radeon RX 590は、高いクロック周波数によってRX 580及びGTX 1060 6GBよりも高い性能を持っている。しかし、その代償として消費電力が高くなってしまっているのはデメリットだ。クロック周波数を引き上げること自体は12nmプロセスを搭載することで可能となった。ダイサイズの縮小はないものの今後に期待ができる。トランジスタカウントとダイサイズでは、Polaris 30は、Polaris 10と同等のものだ。つまり、RX 590とRX 480では大きな差はないということになる。
性能的にはフルHD及びWQHD環境では約12%高く、RX480と比べると15%程度の性能向上が見込める。GTX 1060 6GBと比べると9%高性能だということだ。GTA 5など一部のタイトルではNVIDIA製のグラフィックボードとの相性が良いという差はある。RX 580でもGTX 1060 6GBを上回っていたが、RX 590ではその地位を確かなものにした。
BTOパソコンでの搭載モデルは販売されないだろう。このグラフィックボードの購入をしたいなら自作ユーザー向けということになる。そして、現時点で購入するべきかどうかというとあえて購入する必要はないというのが正直なところだ。やはり、RTX 20シリーズが登場している中で今さら感が強くAMDから今後登場するであろう新モデルを待つべきだろう。
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