画像引用元:https://www.sofmap.com/
当ページでは、Core i7-11700のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Core i7-10700の後継モデルで従来モデルのCore i7-10700Kよりも高いCPU性能を持つ。長らく使用されていたSkylakeを脱却して新しいCPUコアのCypress Cove採用によってパフォーマンスが引き上げられた。8コア16スレッドというスペックは、上位モデルのCore i9-11900K/Core i9-11900と同等で期待値が高い。
Core i7-11700は主にRTX 3070などのハイクラスのゲーミングPCで採用されることが多い。CPU内蔵グラフィックス非搭載モデルであるCore i7-11700Fも同時にリリースされている。ゲーミングPCだけではなくクリエイターモデルでもラインナップが豊富だ。すでに後継モデルである「Core i7-12700」がリリースされている。8コア16スレッドから12コア20スレッドへと大幅にスペックが強化されている。価格はまだまだ高めだが検討する価値があるのではないかと思う。Core i7-11700搭載モデルは減少傾向にある。
Core i7-11700の基本情報
コードネーム | Rocket Lake |
---|---|
プロセス | 14nm |
コア/スレッド数 | 8コア/16スレッド |
定格/最大クロック | 2.5 GHz/ 4.9 Ghz |
L3キャッシュ | 16MB |
TDP | 65W |
発売日 | 2021年3月30日 |
MSRP | $323 |
中古価格 | 27,980円~ |
特徴 | (+) Core i7-10700Kと同等の性能を持っている (+) シングルスレッド性能が大幅に向上 (-) 消費電力が大幅に高くなっている (-) ゲーミング性能は従来モデルに劣ることがある |
評価 | ・総合評価 6.5 ・ゲーム評価 6.5 |
当ページの目次
Core i7-11700の基本情報
スペック
i7-11700 | i9-11900 | i7-10700 | |
---|---|---|---|
コードネーム | Rocket Lake | Rocket Lake | Comet Lake |
プロセス | 14nm | 14nm | 14nm |
CPUコア数 | 8 | 8 | 8 |
スレッド数 | 16 | 16 | 16 |
定格クロック | 2.5GHz | 2.5GHz | 2.9GHz |
最大クロック | 4.9GHz | 5.2GHz | 4.8GHz |
オーバークロック | × | × | × |
Turbo Boost 2.0 | 4.8GHz | 5.0GHz | 4.7GHz |
Turbo Boost 3.0 | 4.9GHz | 5.1GHz | 4.8GHz |
TVB | × | 5.2GHz | × |
Adaptive Boost | × | × | × |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | 16MB |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-2933 |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics 750 | UHD Graphics 750 | UHD Graphics 630 |
TDP | 65W | 65W | 65W |
CPUクーラー | 同梱 | 同梱 | 同梱 |
MSRP | $323 | $439 | $323 |
発売日 | 2021/03/30 | 2021/03/30 | 2020/05/20 |
Core i7-10700→Core i7-11700で定格クロックは0.4GHz落ちているが、最大クロックが0.1GHz高くなった。定格クロックで稼働することはそれほど多くないので実質クロック周波数も高くなったと考えてよい。IPC改善と相まって性能面で期待が持てる。Core i7-11700のブースト機能はTurbo Boost 2.0及びTurbo Boost 3.0のみに限定される。これは上位モデルのCore i9-11900と差別化されているところだ。
Core i9シリーズになると8コア16スレッドというスペックは共通だがより高いクロック周波数を実現できる。Core i9-11900になるとブースト機能の一つである「Thermal Velocity Boost Technology」が追加される。温度のコントロールができていればより高いクロック周波数を実現することが可能だ。Turbo Boost 2.0が働かない全コア稼働時でも有効なのが強みだと言える。
L3キャッシュ容量は1コア当たり2MBで合計16MBとなっている。そのため上位モデルとCore i9-11900とも共通だ。メモリはDDR4-2933からDDR-3200へとアップグレードされた。内蔵グラフィックスはUHD Graphics 630からUHD Graphics 750へと強化されている。おおよそ50%パフォーマンスが向上している。CPUクーラーはいずれも同梱だ。価格はCore i7-10700と同じ$323だ。Core i9-11900になると$116アップの$439となる。やはりCore i9シリーズとの価格差は大きい。
Cinebench R23スコア
シングルスレッド性能が重視される用途において有利になる。Core i7-10700Kと比べても16%も高い。現行の上位モデルであるCore i7-11700Kとの性能差は3%-10%だ。Core i9-11900になると最大19%もマルチスレッド性能が高い。Thermal Velocity Boostなどのブースト機能の強化がプラスに働いているということだ。
Core i7-11700の最新評価【2024年】
現時点ではローエンドクラス相当に留まる
Core i7-11700のゲーム性能スコアは24,828でローエンドクラス相当の性能を持つ。旧世代のCore i9-10900を上回る性能は圧巻と言える。発売当時こそ高いスペックと性能で非常に人気のあるCPUだったが、ただし、次世代のCore i5-12400よりもゲーミング性能は低くなっている。性能差は6%とやや大きい。
競合モデルのRyzen 7 5800X/Ryzen 7 5700Xと比べてもゲーム性能が7%-8%程度低い。Ryzen 7 5700Xについてはコストパフォーマンスも優秀だ。Intel製モデルでもエントリークラスであるCore i3-14100でさえも近づいてきていることを考えるとすぐに抜かれてしまいそうだ。Core i7-11700のゲーミング性能を考えると60番台以下のグラフィックボードと合わせるとよいだろう。Intel第12世代以降のモデルとは大きな差があると考えておこう。
中古価格は27,980円~とまだまだ高め
製品名 | コア/スレッド | ゲーム性能 | 価格 | コスパ |
---|---|---|---|---|
Core i7-12700K | 12/20 | 31,305 | 40,980 | 0.764 |
Core i7-12700 | 12/20 | 30,937 | 37,980 | 0.815 |
Core i5-13400 | 10/16 | 28,926 | 35,960 | 0.804 |
Core i5-13400F | 10/16 | 28,926 | 29,480 | 0.981 |
Core i9-11900K | 8/16 | 26,816 | 41,980 | 0.639 |
Core i5-12400 | 6/12 | 26,448 | 18,980 | 1.393 |
Core i5-12400F | 6/12 | 26,448 | 17,480 | 1.513 |
Core i9-10900K | 10/20 | 24,927 | - | - |
Core i7-11700K | 8/16 | 24,902 | 30,980 | 0.804 |
Core i7-11700 | 8/16 | 24,828 | 27,980 | 0.887 |
Core i5-11600K | 6/12 | 24,264 | 23,980 | 1.012 |
Core i7-10700K | 8/16 | 23,773 | 23,980 | 0.991 |
Core i7-11700の中古価格は27,980円~とまだまだ高めだ。8コア16スレッドとスペックが高いことも要因だろう。コストパフォーマンス重視で選ぶならCore i5-13400(F)やCore i5-12400(F)がずば抜けている。特にCore i5-12400はCore i7-11700よりもゲーム性能が高いにもかかわらず価格は9,000円も安い。Core i5-13400Fも狙い目だ。+1,500円(5%強)で15%高い性能を得られる。10コア16スレッドとスペックも不足なしだ。
ハイブリッドコアアーキテクチャ採用の次世代モデルであるCore i7-12700も価格こそ高いが、コストパフォーマンスの指標だけを見ればCore i7-11700と変わらない。ゲーム実況などの用途も考えているならCore i7-12700を候補に入れてもよいだろう。ただし、Intel第12世代CPUについてはまだまだ中古市場のタマが少ないので適宜判断する必要がありそうだ。
Core i7-11700の特徴&注意点【2021年】
8コア16スレッドとパフォーマンスが高い
Core i7-11700は、8コア16スレッドとスペックの高いCPUだ。Rocket Lake世代におけるイチオシモデルだと言える。上位モデルのCore i7-11700Kよりも価格が抑えられていてゲームプレイをメインにするなら魅力的な選択肢だ。第9世代からCore i7シリーズは8コアになりハイクラスCPUの基準となっている。Core i7-11700を基準に性能が高いか低いかどうかを判断するとよいだろう。
ゲーム・ゲーム開発・動画編集・RAW現像など様々な用途で通用するモデルだと考えて間違いない。従来モデルのCore i7-10700よりも10%以上性能が向上していてCore i7-10700Kと同等の性能を発揮する。CPUコアの改良によってIPCが改善したことことによる恩恵だ。僅かなクロック周波数の引き上げでも性能に与える影響は大きくなる。Kシリーズを超えるとなると期待値も高いのではないだろうか。
従来モデルよりも消費電力が上がっている
Core i7-11700が従来モデルのCore i7-10700と比べて大きく変わったのは消費電力だ。Core i7-10700でも省電力性が高かったとは言えなかったが、Intel第11世代ではさらに悪化してしまった。14nmプロセスを維持していることの悪い側面だと言える。この点については理解しておく必要がある。現時点において次世代では10nmプロセスが採用されてる可能性が高い。
プロセスを変えずCPUコアの刷新のみでは省電力性は上がらない。クロック周波数を高くして性能を引き上げることの限界が来ている。パフォーマンスを引き上げるためにクロック周波数を上げているので消費電力が高くなってしまうのは当然だ。競合であるRyzen 5000シリーズが7nmプロセスを採用していることを考えると厳しい状況が続く。
消費電力が高いことによるデメリットは電源ユニットにお金が掛かってしまうことや排熱を意識したPCケースの選択が必要であることが挙げられる。それでもCore i7-10700搭載モデルと比べて電源ユニットの容量が増えているということもなく上位モデルのCore i9シリーズに比べると許容範囲と言えるかもしれない。
ゲーミングCPUとして高い支持を得られるはずだが…
Core i7-11700は、ゲーミングCPUとして売れ筋モデルになることは間違いないだろう。上位モデルのKシリーズやCore i5シリーズではなくこのCore i7-11700が一番人気になる可能性が高い。それはCore i7-9700やCore i7-10700の流れを見ればわかる。人気の秘密は性能と価格のバランスのよさが要因だ。各BTOメーカーからもすでにCore i7-11700搭載モデルが登場している。
一方で、気になるのは従来モデルのゲーミング性能を超えられていないことだ。次にベンチマークを紹介していくが、パフォーマンス的にやや苦戦している。Intel第10世代に及ばない結果となっていて積極的に買い換える理由を見出だせない。今なら価格が落ち着いているIntel第10世代のCore i7-10700の方が魅力的だろう。
事実当サイトとG-TuneのコラボレーションモデルもこのCore i7-11700の従来モデルであるCore i7-10700を搭載していて高い人気を誇る。Core i7-11700が登場した後も売れ筋モデルということは変わっていない。いつかはIntel第11世代CPUに切り替えられることは間違いないが、しばらくは併用販売される可能性が高い。
Core i7-11700のゲームベンチマーク一覧
ゲームプレイ時のフレームレートを計測している。WQHD環境及び4K環境が対象だ。Intel第10世代のCore i7-10700に及ばないタイトルも目立つ。特にWQHD環境では完敗だ。タイトルによってはCore i5-10600Kよりも低くなってしまうことがある。最適化が行われれば状況が変わる可能性が高い。おそらく今後フレームレートは改善されるだろう。
Cyberpunk 2077
Core i5-10600K | |
Core i7-10700 | |
Core i7-11700K | |
Core i7-11700 | |
Core i5-11600K | |
Ryzen 7 5800X |
Metro Exodus
Core i7-10700 | |
Core i5-10600K | |
Core i7-11700K | |
Core i7-11700 | |
Core i5-11600K | |
Ryzen 7 5800X |
Red Dead Redemption 2
Core i7-10700 | |
Core i5-10600K | |
Core i7-11700K | |
Core i7-11700 | |
Core i5-11600K | |
Ryzen 7 5800X |
その他アプリケーションのベンチマーク
通常のパソコン使用を想定したベンチマークをまとめている。具体的にはエンコード・動画編集・画像編集などだ。ゲームプレイに比べると従来モデルよりも明らかにパフォーマンスが向上していることがわかる。
Handbrake
PCMARK 10
Y-Cruncher
Core i7-11700搭載おすすめゲーミングPC
G-Tune TD-S(G-Tune)
CPU:Core i7-11700F
GPU:GeForce RTX 3060 Ti
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:700W BRONZE
Core i7-11700F×RTX 3060 Ti搭載で税込み19万円台は魅力的だろう。価格帯でも最強クラスのモデルだと言える。当サイトとG-Tuneのコラボレーションモデルの一つでまずまずのコストパフォーマンスを誇る。RTX 3060 Tiはハイクラスに属するグラフィックスでRTX 3070に匹敵する高い性能を持つ。メインターゲットはWQHDでフルHD環境なら高リフレッシュレートを実現することができる。Core i7-11700Fとの相性もばっちりだ。
LEVEL-M05M-117F-RBX(パソコン工房)
CPU:Core i7-11700F
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR4-2933 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
電源:700W BRONZE
RTX 3060×Core i7-11700F搭載のゲーミングPCだ。ミドルクラスのグラフィックボードにハイクラスのCPUを合わせている形だ。CPU性能が高いこと自体デメリットにはならない。高リフレッシュレートを実現したい際などには有利になる。フルHD環境が基本だが、GPUメモリ容量が多くWQHD環境にも対応できるポテンシャルを持つ。メモリ16GB、SSD 500GBと抜群の構成を誇る。カスタマイズをしなくても満足度の高いモデルに仕上がっている。電源ユニットは700W BRONZEを採用している。
Dell XPS プラチナプラス(Dell)
233,980円(税込) 172,784円(税込)
CPU:Core i7-11700
GPU:GeForce RTX 3060 Ti
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
電源:500W
隠れた名機の一つだ。RTX 3060 Ti×Core i7-11700搭載で税込み16万円台は驚くしかない。セール期間中なら57,000円も安く購入することが可能だ。圧倒的なコストパフォーマンスを誇る。RTX 3060 Tiはハイクラスに属するグラフィックスでRTX 3070に匹敵する高い性能を持つ。メインターゲットはWQHDでフルHD環境なら高リフレッシュレートを実現することができる。Core i7-11700との相性もばっちりだ。デメリットは納期が長いということだ。場合によっては一ヶ月以上待つことを覚悟しなければいけない。
GALLERIA XA7C-R37第11世代(ドスパラ)
CPU:Core i7-11700
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
電源:650W BRONZE
ドスパラからもRTX 3070搭載モデルが登場している。RTX 3060 Ti搭載モデルの価格が上昇傾向にある中で改めてRTX 3070搭載モデルに注目が集まっている。CPUにはゲーミングPCの定番であるCore i7-11700を搭載している。SSD 1TBと十分な容量を持つ。これだけあればカスタマイズをしなくてもよいかもしれない。電源ユニットは650W BRONZEと最低限必要なラインはクリアできている。
管理人による総評(Core i7-11700)
Core i7-11700は、8コア16スレッドと高いスペックを誇るCPUだ。従来モデルのCore i7-10700が高い人気を得ていただけに期待値も高い。上位モデルのCore i9-11900は従来モデルとは異なり8コア16スレッドへとダウングレードされたため、このCore i7-11700と同じスペックだということになる。
価格が安いCore i7-11700は魅力的な選択肢だと言える。CPUコアのリニューアルでIPCが改善してCPU性能が向上している。動画編集や画像編集でもパフォーマンスを発揮しやすい。競合モデルであるRyzen 7 5800Xよりもゲーム適性が高く非常に人気の高いCPUだ。迷ったらまずこのCore i7-11700搭載モデルから選ぶとよいだろう。
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