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当ページでは、Ryzen 5 PRO 4650Gのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。CPU内蔵グラフィックスにRadeon Graphics 7を搭載したいわゆるAPUだ。このRenoirプロセッサーは、Zen 2アーキテクチャに基づいて設計されている。性能的にはRyzen 3000シリーズと同等だ。APU(Accelerated Processing Unit)として初めて6コア12スレッドを達成した記念すべきモデルだ。前世代のRyzen 5 3400Gが4コア8スレッドだったことを考えると大幅にスペックが引き上げられた。
グラフィックスにはRadeon Graphics 7を搭載している。CPU内蔵グラフィックスとしての性能は高いが、ゲームプレイには対応しづらい。Ryzen 5 3400Gと比較しながら中身をじっくり検証していこう。OEM供給のみとなっているため、一般ユーザーは搭載モデルを購入する必要がある。今後は中古での入手ができるようになるかもしれない。なお、すでに後継モデルである「Ryzen 5 5600G」がリリースされている。Zen 3アーキテクチャ採用でパフォーマンスが引き上げられている。ただし、同じZen 3アーキテクチャのRyzen 5 5600Xと比べてL3キャッシュ容量が小さくゲームプレイなどは苦手だ。
当ページの目次
よくわかる!!Ryzen 5 PRO 4650Gの特徴まとめ
コードネーム | Zen 2 |
---|---|
プロセス | 7nm |
コア/スレッド数 | 6コア/12スレッド |
定格/最大クロック | 3.7 GHz/ 4.2 Ghz |
L3キャッシュ | 8MB |
TDP | 65W |
発売日 | 2020年07月21日 |
価格 | $299 |
評価 | ・総合評価 4.0 ・ゲーム評価 1.5 |
Ryzen 5 PRO 4650Gの概要
スペック
5 PRO 4650G | 5 3600 | 5 3400G | |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | AMD | AMD |
プロセス | 7nm | 7nm | 12nm |
トランジスタ数 | 49億 | 38億 | 49.4億 |
ダイサイズ | 156 mm² | 74 mm² | 210 mm² |
コードネーム | Renoir (Zen 2) | Matisse (Zen 2) | Picasso (Zen +) |
CPUコア数 | 6コア | 6コア | 4コア |
スレッド数 | 12スレッド | 12スレッド | 8スレッド |
定格クロック | 3.7 GHz | 3.6 GHz | 3.7 GHz |
最大クロック | 4.2 Ghz | 4.2 Ghz | 4.2 Ghz |
L3キャッシュ | 8MB | 32MB | 4MB |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-2933 |
最大バンド幅 | 68.27 GiB/s | 47.68 GiB/s | 43.71 GiB/s |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics 7 | × | Radeon Graphics 11 |
グラフィックス周波数 | 1,900 MHz | × | 1,400 MHz |
CPUクーラー | × | Wraith Stealth | Wraith Spire |
TDP | 65W | 65W | 65W |
価格 | $299 | $199 | $149 |
発売日 | 2020年07月21日 | 2019年07月07日 | 2019年07月07日 |
コア/スレッドはいずれも6コア12スレッドだ。定格クロックについてはRyzen 5 PRO 4650Gの方が0.1 GHzだけ大きい。最大クロックは同じ4.2GHzだ。L3キャッシュ容量は大きく異なっている。Ryzen 5 PRO 4650Gは、Ryzen 5 3600の1/4である8MBだ。Ryzen 5 3600ではCCXごとに16MBのL3キャッシュがあるが、Ryzen 5 PRO 4650GではCCXごとに4MBのL3キャッシュがある。ただし、この点は新しいメモリコントロールを採用しているのでカバーできると考えてよい。
もう一つ異なるのはCPUクーラーの有無だ。Ryzen 5 PRO 4650GはOEM向けのCPUということもあって一般的なモデルとは異なる。Ryzen 5 3600ではWraith Stealthが搭載されているのでコスパで見劣りしてしまう。消費電力は同じ65Wに留まる。価格差は$100で、Radeon Graphics代と考えると妥当だと言えるだろう。
前世代のRyzen 5 3400Gと比較していく。まず価格差が$150あることは押さえておこう。これだけ価格差があると純粋な後継モデルとは言えないかもしれない。スペック的にも全く異なるCPUだ。Ryzen 5 3400Gでは12nmプロセスが採用されているためダイサイズも210m㎡と大きい。Zen +アーキテクチャを踏襲している。トランジスタ数はおおよそ同じ49.4億だ。
Ryzen 5 PRO 4650Gの6コア12スレッドに対して4コア8スレッドとそれぞれ50%ダウンだ。定格クロック及び最大クロックは同じだ。L3キャッシュについては半分の4MBに留まる。最大バンド幅でも35%程度劣る。Radeon Graphicsは実行ユニットが11から7へとダウンしている。一方で、グラフィックス周波数が1,400MHzから1,900MHzへと36%引き上げられた。Ryzen 5 3400Gは一般消費者に販売されているということもあってCPUクーラーが同梱となっている。消費電力は同じ65Wだ。
モバイル向けモデルと比較
5 PRO 4650G | 5 4600U | |
---|---|---|
メーカー | AMD | AMD |
プロセス | 7nm | 7nm |
トランジスタ数 | 49億 | 49.4億 |
ダイサイズ | 156 mm² | 156 mm² |
コードネーム | Renoir (Zen 2) | Renoir (Zen 2) |
CPUコア数 | 6コア | 6コア |
スレッド数 | 12スレッド | 12スレッド |
定格クロック | 3.7 GHz | 2.1 GHz |
最大クロック | 4.2 Ghz | 4.0 Ghz |
L3キャッシュ | 8MB | 8MB |
グラフィックス | Radeon Graphics 7 | Radeon Graphics 6 |
グラフィックス周波数 | 1900 MHz | 1500 MHz |
TDP | 65W | 15W |
価格 | $299 | - |
発売日 | 2020年07月21日 | 2020年01月06日 |
当然CPU性能についてもRyzen 5 PRO 4650Gの方が高くなっている。CPU内蔵グラフィックスにも差がある。Ryzen 5 4600Uでは実行ユニットは6で、グラフィックス周波数も1500MHzと抑えられている。コードネームでも同じでもプラットフォームが違うため性能差があるのだ。
Ryzen 5 PRO 4650Gの最新評価【2024年】
ゲーミング性能が低くおすすめできない
Ryzen 5 PRO 4650Gは、ゲームが苦手なモデルだと考えて間違いない。マルチコア性能自体はまずまずだが、一転ゲーミング性能になると歯が立たない。第1世代RyzenシリーズのRyzen 5 1600と同等だ。同じ世代のCPUであるRyzen 5 3600と比べると18%程度もパフォーマンスが落ちる。L3キャッシュ容量が小さいのがネックとなる。
AMDはゲームプレイ時におけるL3キャッシュ容量の重要性を認識していて、3D V-Cache搭載モデルを販売しているぐらいだ。立ち位置的にRyzen 5 PRO 4650Gははっきりとゲーム向けではないと言える。旧世代のRyzen 5 3400Gと比べても微増に留まる。ゲーム目的なら通常のCPUの中から選ぶ方が満足度が高いはずだ。上位モデルのRyzen 7 PRO 4750Gでも飛躍的に性能が高くなるわけではない。
APUとして見れば価格設定は妥当
製品名 | コア/スレッド | ゲーム性能 | 価格 | コスパ | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|
Ryzen 5 3600 | 6/12 | 21,467 | 9,480 | 2.264 | 2019/07/07 |
Ryzen 5 3500 | 6/6 | 19,848 | 5,980 | 3.319 | 2020/02/27 |
Ryzen 7 PRO 4750G | 8/16 | 19,603 | 16,980 | 1.030 | 2020/07/21 |
Ryzen 3 4100 | 4/8 | 19,087 | 7,980 | 2.392 | 2022/06/03 |
Ryzen 3 3100 | 4/8 | 18,302 | 5,480 | 3.340 | 2020/05/23 |
Ryzen 5 2600 | 6/12 | 18,229 | 6,480 | 2.813 | 2018/04/19 |
Ryzen 5 PRO 4650G | 6/12 | 17,566 | 13,980 | 1.257 | 2020/07/21 |
Ryzen 5 1600X | 6/12 | 17,493 | 3,980 | 4.395 | 2017/04/11 |
Ryzen 5 3400G | 4/8 | 17,395 | 11,980 | 1.452 | 2019/07/07 |
Ryzen 5 PRO 4650Gの特徴詳細【発売時点】
Ryzen 5 3600に匹敵するCPU性能を持っている
Ryzen 5 PRO 4650Gは、Ryzen 5 3600と同等のスペックを持つCPUだ。前世代のRyzen 5 3400Gと比べると80%程度パフォーマンスが向上している。同じ6コア12スレッドでクロック周波数もほとんどRyzen 5 3600と同じだから当然だろう。APUとして初めての6コア12スレッド採用は伊達ではない。Ryzen 5 3600から買い替えるほどではないが、CPU内蔵グラフィックスが必要なら選択するのも悪くない。
スペック的にはRyzen 5 PRO 4650GではL3キャッシュは少なくなっているものの最新のメモリコントローラー採用でカバーできている。APUでもここまでパフォーマンスを引き上げられたのはZen 2アーキテクチャーを採用したことによる恩恵だ。Radeon Graphics搭載でこれだけのCPU性能を持っていることは評価できる。
Intel製CPUと比べるとCore i5-10400のパフォーマンスが高い。消費電力は高いが、クロック周波数を極限まで高めているから仕方がないと言える。7nmプロセスを採用しているメリットが消費電力の低さだ。性能を取るか省電力性を取るかといったところだ。
注意点としてグラフィックボードと合わせたモデルでのゲーム適性はRyzen 5 3600に劣ってしまう。外付けのグラフィックボードを搭載して本格的なゲーミングPCを構築したいならRyzen 5 3600を選択する方が無難だ。おそらくL3キャッシュ容量が少ないことが要因だろう。あくまでも高性能内蔵グラフィックス搭載のAPUとして評価をするべきだ。
CPU性能に比べてグラフィックス性能の伸びはいまいち
グラフィックス性能については大幅なパフォーマンスアップは見込めない。最大10%程度の性能アップに留まる。それはグラフィックスの実行ユニットが11から7へとダウンしていることが要因だ。そのダウン分はグラフィックス周波数の引き上げとメモリ周りの強化でカバーしている形だ。
APUとしての限界が見えている。外付けのグラフィックボードに追いつくことは厳しく、ゲームプレイはあくまでもサブ的な要素だ。メインでゲームを楽しみたいと考えているならRyzen 5 3500×GeForce GTX 1650の方が満足できるはずだ。価格的にもそれほど変わらない。
BTOメーカーだけではなくパーツショップからも購入可能
このPROシリーズはOEMが中心で一般ユーザーの入手がやや難しいCPUだ。基本的にはドスパラやTSUKUMOなどのBTOメーカーからBTOパソコンを購入する必要がある。AMDからすると大量のCPUを一度に購入してもらえるBTOメーカーなどはコントロールがしやすい。モバイル向けRyzen 4000シリーズと共通の個体を使用しているためRyzen 5 PRO 4650Gを一般消費者に開放して在庫切れを起こしたくないという考えがあるのだろう。
なお、日本国内ではパソコン工房やワンズなどのパーツショップからも購入することができる。自作ユーザーの方で興味がある方はチェックしてみよう。ただし、CPU単体での購入はできずマザーボードとのセット販売が一般的だ。また、CPUクーラーは同梱されておらず別途購入する必要がある。プラスチックのケースでのバルク品での販売となる。そこはB2B向けのCPUということを考えると納得できるだろう。
Ryzen 5 PRO 4650Gのゲームベンチマーク一覧
1024×768でのフレームレートを計測している。設定は低設定だ。フルHD環境でのゲームプレイは厳しく、ゲームメインで考えている方にはおすすめしにくい。あくまでもゲームプレイはおまけ程度に考えておく必要がある。
Civization Ⅵ
Far Cry 5
Dota 2
その他アプリケーションのベンチマーク
Cinebench R20
7 Zip
Handbrake
Ryzen 5 PRO 4650G搭載おすすめBTOパソコン
ゲーミングPCとして販売されているモデルもあるが、すでに見てきたとおりゲームプレイをするにはグラフィックス処理性能が不十分なのでBTOパソコンとして紹介している。ゲームプレイをメインに考えている方はグラフィックボード搭載モデルを選択するべきだろう。
HP ProDesk 405 G6 SFF(HP)
CPU:Ryzen 5 PRO 4650G
GPU:Radeon Graphics
メモリ:DDR4 8GB
SSD:256GB NVMe
HDD:非搭載
電源:210W 80PLUS Platinum
省スペースが魅力のBTOパソコンとなっている。机の上にパソコンを置いてその上にモニターを設置すればスペースを有効的に使用できる。メモリ8GB、SSD 256GBと構成は控え目だ。電源ユニットは210W PLATINUMを採用している。この構成や電源ユニットならやはりゲームをメインに考えることは難しい。公式サイトを見てもゲームに関しては触れられておらずビジネス向けモデルとして考える方がよい。
AeroSlim RS5A-C204/T(TSUKUMO)
CPU:Ryzen 5 PRO 4650G
GPU:Radeon Graphics
メモリ:DDR4 8GB
SSD:240GB
HDD:非搭載
電源:300W 80PLUS BRONZE
TSUKUMOスリムタワーモデルだ。スリムタワーなら排熱の問題はなくパフォーマンスを引き出しやすい。HD環境でのゲームプレイなら対応できないことはないが、ビジネス向けであることは変わりない。メモリ8GB、SSD 240GBと構成は最低限に留められている。
Regulus AR5(ドスパラ)
CPU:Ryzen 5 PRO 4650G
GPU:Radeon Graphics
メモリ:DDR4 8GB
SSD:250GB NVMe
HDD:非搭載
電源:450W 80PLUS BRONZE
ドスパラの売れ筋モデルの一つだ。メモリ8GB、SSD 250GB NVMe対応とやや構成が充実している。電源ユニットは450W BRONZEと最も容量が多く安心感がある。普段はビジネス用として使用して、お子さんがゲームをたまにプレイするといった環境なら選択肢として悪くないかもしれない。ただし、性能不足でもっとよいパソコンをねだられてしまう可能性もある。
LEVEL-M0B5-RP54-EZX(パソコン工房)
CPU:Ryzen 5 PRO 4650G
GPU:Radeon Graphics
メモリ:DDR4 8GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
電源:350W 80PLUS BRONZE
パソコン工房でゲーミングPCとして販売されているモデルだ。他のBTOメーカーのモデルと比べて性能が異なるわけではなくゲームプレイをメインに考えるには心許ない。構成はかなり充実してメモリ8GB、SSD 500GB NVMeとなっている。電源ユニットは350W BRONZEとこの性能帯なら標準的だ。
SR-ar5-5560L/S7/W10(セブン)
CPU:Ryzen 5 PRO 4650G
GPU:Radeon Graphics
メモリ:DDR4 8GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
電源:150W 80PLUS BRONZE
INWIN Chopinはとにかくコンパクトなタワーケースだ。机の上に設置しても違和感はない。メモリ8GB、SSD 500GBという構成だ。電源ユニットは150W BRONZE電源が付属となっている。税抜9万円台という価格を考えるとやや手を出しにくい。この価格ならCore i5-10400×GTX 1660 SUPER搭載モデルが十分選択肢に入るからだ。ケースが魅力的であることは間違いない。
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