rx470top画像引用元:https://www.kuroutoshikou.com/

AMD Radeon RX 470のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Radeon R9 380の後継モデルだ。NVIDIAがGTX 1060 6GBをリリースする前に少しでも市場シェアを獲得しようと2016年6月の終わりに先に上位モデルであるRadeon RX 480を発売した。Radeon RX 480の立場がやや悪い状況で2016年8月にこのRadeon RX 470が発売開始となったわけだ。

価格帯が$179とRX 480よりも$50安くゲーマーにとっては魅力的なグラフィックボードとなるだろう。競合モデルであるGTX 960と比べても$20安価なのは魅力的だ。中古での購入が難しくなっているので、購入検討中の方はGTX 1650/GTX 1060 6GBなどを候補に入れることを推奨する。2023年時点での評価も合わせて検証していく。後継モデルは、「Radeon RX 580」となる。

よくわかる!!Radeon RX 470の特徴まとめ
総合評価 :35/100
ゲーム評価:30/100

  • (+)フルHD環境でのゲーム適性が高い
  • (+)競合モデルよりも価格が安い
  • (-)GTX 960よりも10%以上ゲーミング性能が低い
  • (-)Pascal世代のGPUと比べると魅力に劣る
  • (-)搭載モデルがほとんどない
  • (-)2023年時点だと性能がやや物足りない

Radeon RX 470の概要、基本を押さえる!

基本スペック・仕様

RX 470 RX 480 R9 380
アーキテクチャ GCN 4.0 GCN 4.0 GCN 3.0
プロセス 14nm 14nm 28nm
GPU Polaris 10 PRO Polaris 10 XT Antigua PRO
トランジスタ数 57億個 57億個 50億個
ダイサイズ 232m㎡ 232m㎡ 366m㎡
CUDAコア 2048基 2304基 1792基
コアクロック 926 MHz 1120MHz 970 MHz
ブーストクロック 1206MHz 1266MHz
GPUメモリ 4GB GDDR5 8GB GDDR5 2GB GDDR5
メモリクロック 1650MHz
(6.6Gbps)
2000MHz
(8.0Gbps)
1375 MHz
(5.5Gbps)
メモリバス 256 bit 256 bit 256 bit
メモリバス帯域幅 211.2 GB/s 256.0 GB/s 176.0 GB/s
TDP 120W 150W 190W
MSRP $179 $229 $199
発売日 2016/08/04 2016/06/29 2015/06/18
Radeon RX 470はPolaris 10を採用したグラフィックボードだ。Radeon R9 380の28nmプロセスからSamsungとGlobal Foundryの14nmプロセスへ変更となった。この変更によって省電力性が高くなりNVIDIA製グラフィックボードと戦えるようになったと言える。長らく28nmプロセスが採用されていたが、大きな一歩を歩んだ。結果的にトランジスタ数が14%少なくなっているとは言え、ダイサイズが35%以上コンパクトになっている。これでもアーキテクチャが変わったことが判断できる。

メモリ周りも少しだけアップグレードされた。これまでの5.5Gbpsから6.6Gbpsに切り替えられている。メモリクロックも20%高く1650MHzとなった。メモリはGDDR5 4GBだ。メモリ容量が倍増となっているのはポイントだ。フレームレートの安定に繋がる。メモリバスは256 bitでバンド幅は211.2 GB/sだ。消費電力は190W→120Wへと37%程度低く抑えられている。プロセスの微細化による恩恵だ。

このRadeon RX 470には64基のストリームプロセッサーがあって、8基のコンピュータユニットと4つのシェダーエンジンがあるので、CUDAコア数は2048基(64×8×4)となる。Radeon RX 480だとコンピュータユニットが9基で、CUDAコア数は2304基というわけだ。Radeon RX 480になるとクロック周波数も引き上げられていてそれぞれ20%、5%高い。

メモリ速度も8Gbpsでメモリクロックも20%以上引き上げられていてバンド幅が256.0 GB/sとなっている。消費電力は25%高く150Wとなっている。価格差は$50で絶妙な価格設定だと言える。性能が大きく変わるということはなく、スペック差を考えるとRadeon RX 470の方がコスパが高いように思える。

NVIDIA製GPUと比較

RX 470 GTX 960 GTX 1060
アーキテクチャ GCN 4.0 Maxwell 2.0 Pascal
プロセス 14nm 28nm 16nm
GPU Polaris 10 PRO GM206 GP106
トランジスタ数 57億個 29.4億個 44億個
ダイサイズ 232m㎡ 228mm² 200mm²
CUDAコア 2048基 1024基 1280基
コアクロック 926 MHz 1127 MHz 1506 MHz
ブーストクロック 1206MHz 1178MHz 1709 MHz
GPUメモリ 4GB GDDR5 4GB GDDR5 6GB GDDR5
メモリクロック 1650MHz
(6.6Gbps)
1753MHz
(7.0Gbps)
2002MHz
(8.0Gbps)
メモリバス 256 bit 128 bit 192 bit
メモリバス帯域幅 211.2 GB/s 112.2 GB/s 192.2 GB/s
TDP 120W 120W 120W
MSRP $179 $199 $299
発売日 2016/08/04 2015/01/22 2016/06/19
NVIDIA製のグラフィックボードと比較していく。Radeon RX 470の本来の競合はGTX 960だ。2015年1月に発売されたモデルでプロセスは28nmとなっている。Radeon R9 380と同じ大きさだ。この点14nmプロセスを採用しているRadeon RX 470が優勢だ。GTX 960の方がトランジスタ数が50%少ない。28nmプロセスであってもダイサイズが228m㎡とコンパクトなのはトランジスタ数が単純に少ないからだ。CUDAコアについてもちょうど半分に留まる。

コアクロックについては20%程度GTX 960の方が高いが、ブーストクロックは2%程度RX 470の方が高い。メモリタイプやGPUメモリ容量は共通だ。ただし、GTX 960ではメモリバスが128 bitと小さいため、バンド幅も112.2 GB/sと45%程度劣る。消費電力は同じ120Wで価格はGTX 960の方が$20高い。

2016年6月に発売されたGTX 1060になると大幅に進化している。プロセスが16nmになりトランジスタ数も44億個とGTX 960から50%近く増量した。CUDAコアは25%程度高くなっている。プロセスが改良されたことでクロック周波数をより引き上げることができ30%-45%程度高い。メモリ速度が8.0Gbpsになり、メモリクロックも2002MHzとかなり高い。

メモリ容量は6GBで余裕がある。メモリバスは192 bitでバンド幅は192.2 GB/sとなる。消費電力が120Wに抑えられているのは驚きだ。価格は$299と大幅アップとなっている。その後3GB搭載モデルが$219と安価で販売された。コストパフォーマンスの高さから人気を博したグラフィックボードだ。

Radeon RX 470の最新評価【2025年】

前世代のエントリークラスにも及ばない性能

rx470gamescore
発売当時はミドルクラスとして十分な性能を有するグラフィックボードだった。5年の歳月が経ち今はやや厳しい状況だ。Turing世代のエントリークラスであるGTX 1650と比べて3%程度パフォーマンスが高いだけに留まる。後発モデルのGTX 1650 SUPERと比べるとはっきりとした差が出ている。25%前後の差があるのだ。リリースされるかはわからないが、Ampere世代の50番台のグラフィックボードが登場すればその差は確実に広がるはずだ。

年々ゲームタイトル側での要求スペックが高くなっていることを考えると買い替えのタイミングが来たと言える。120Hz以上の高リフレッシュモニターを活かすこともできない。快適にゲームを楽しみたいと考えているならGTX 1660 SUPER以上の買い替えを推奨する。もちろんそれほど要求スペックの高いタイトルをプレイしないのであれば使い続けても問題はない。

中古での入手が難しくRX 480がおすすめ

市場に中古のタマがほとんどないので新しく購入することは難しい。じゃんぱら・Amazon・ドスパラ・パソコン工房・Ark・ソフマップなどは品切れ中だ。オークションなら手に入る可能性があるが、保証面などに不安が残る。相場的には7,000円前後といったところだ。Radeon RX 470よりも市場流通量の多いRaeon RX 480を選択肢に入れた方がよいかもしれない。7,480円~購入できる。

次世代モデルのRadeon RX 570Radeon RX 580も候補に入れよう。性能的にもRaeon RX 580の方が好ましいと言える。もう少し予算を出せばGeForce GTX 1650が購入できるのでそちらの方がおすすめだ。新しいモデルということもあって省電力性などに優れているのでおすすめしやすい。ショップで購入すれば当然保証も手厚い。

もうすこし高い性能が必要ならGeForce GTX 1060 6GBGeForce GTX 1650 SUPERを候補に入れよう。+数千円でより高いパフォーマンスを得られる。ゲームプレイ時の安定性でもRadeonシリーズを上回る。

Radeon RX 470のベンチマーク一覧

各タイトルについてフルHD及びWQHD環境でのフレームレートを計測。これでどのぐらいゲームプレイが快適化を把握できる。GTX 1060 6GBやRadeon RX 480とのスコア差に注目して欲しい。

Rise Of The Tomb Raider

Rise Of The Tomb Raiderrx470-riseofthetombraider

フルHD環境において最高設定でも57.3fpsとそこそこの数値が出ている。R9 380よりも30%近く高い。GTX 970よりも8%程度低いが十分健闘していると言える。性能的にWQHD環境では通用しない。あくまでもフルHD環境がターゲットのグラフィックボードであることを理解しておこう。GTX 1060 6GBはRadeon RX 400シリーズを圧倒する形だ。

Battlefield 4

battlefield4rx470-battlefield4

Battlefield 4ではフルHD環境でも63.9fpsと余裕のフレームレートとなっている。WQHD環境では52.0fpsとまずまずの結果だ。GTX 960よりも17%程度高くしっかりと性能を上げてきたことがわかる。R9 380との差も歴然だ。上位のRX 480との差は17%とスペック以上に開いているように思える。VRAMの差が出ているのかもしれない。

Grand Theft Auto V

gta5rx470-Grand Theft Auto V

フルHD環境なら64.7fpsと高いフレームレートを出している。WQHD環境だと43.4fpsと設定を下げないと快適にゲームをプレイすることはできない。RX 480との差は10%程度となっている。GTX 960との差は25%とそこそこ大きい。前世代のグラフィックボードからはしっかりとパフォーマンスを引き上げている。

Hitman

hitmanrx470-hitman

HItmanではかなり高い数値を出している。GTX 1060 6GBを超えたのは相性が良いということだろう。フルHD環境では同等でWQHD環境では10%弱の差をつけた。RX 480との差は10%程度と他のタイトルと同様だ。NVIDIA製グラフィックボードが頑張っている。

Radeon RX 470の発売当時の評価【2016年】

GTX 960よりも高い性能を持つが…

Radeon RX 470は、GeForce GTX 960よりも30%以上高いゲーミング性能を持つグラフィックボードだ。フルHD環境において最適なゲーム環境を提供してくれる。VRなどにもある程度対応できるはずだ。GTX 960よりも安価で購入できるのは嬉しい。ただし、RX 470の直前に販売されたGTX 960の後継モデルであるGTX 1060 6GBには太刀打ちできない。

価格も高くなっているがゲーミング性能はワンランク以上の差がある。このGTX 1060は、今後の標準となるグラフィックボードとなるだろう。その後VRAMを3GBに落とした廉価モデルも発売された。価格的な優位性も消失してしまった。時代が悪かったと言わざるを得ない状況だ。Pascal世代のグラフィックボード登場がなければAMDがシェアを奪えたと思うのだが…

Polaris採用で省電力性が高くなった

RX 470では新しいPolarisアーキテクチャ採用となっている。プロセスの縮小もあって消費電力が大幅に引き下げられている。同じ性能では消費電力は低いという理想的な形だと言える。クロック周波数を引き上げるだけでは消費電力が高くなってしまい機能しなくなってしまう。グラフィックボードの課題はこの消費電力だったのだ。

今回のアーキテクチャでNVIDIAが優位になっていた分野でなんとか面目を保てた形だ。NVIDIAがPascal世代のグラフィックボードをリリースしたことでまた少し差を開けられたがなんとかくらいついている。今後の改良に注目が集まる。

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