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当記事では、Radeon RX 5500 XT 4GBのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。ついに、AMDが競合ひしめく$200(2万円弱)の価格帯に新しいグラフィックボードを投入した。フルHD環境でのゲームプレイに最適だ。GTX 1650 SUPERに近いゲーミング性能を持っている。
性能的には長らくAMDファンに愛されてきたRX 580やRX 570の後継モデルということになる。Polaris 20からNavi 14へとアーキテクチャが変わったことがどのようにパフォーマンスに影響を与えるのかを見ていこう。なお、Radeon RX 5500 XTにはGPUメモリ4GBと8GBのモデルがある。ここでは4GBバージョンを中心に見ていく。
後継モデルは「Radeon RX 6500 XT」だ。実はRadeon RX 6500 XTになってもそれほど性能は変わらない。新しいRDNA 2.0アーキテクチャを採用していてこれは期待はずれだ。現在Radeon RX 5500 XTを所有している方であれば買い替える必要はない。
- (+)フルHD環境に適したゲーミング性能を持つ
- (+)7nmプロセス化によって省電力性が高い
- (-)競合のGeForce GTX 1650 SUPERより性能は劣る
- (-)GPUメモリ8GB搭載モデルよりも性能が低い
当ページの目次
Radeon RX 5500 XTの概要
基本スペック
RX 5500 XT | RX 5700 | RX 570 | |
---|---|---|---|
コードネーム | Navi 14 | Navi 10 | Polaris 20 |
プロセス | 7nm | 7nm | 14nm |
ダイサイズ | 158n㎡ | 251n㎡ | 232n㎡ |
トランジスタ数 | 6.4億 | 10.3億 | 5.7億 |
GPUコア数 | 1408 | 2304 | 2048 |
ベースクロック | 1670 MHz | 1465 MHz | 1168 MHz |
ゲームクロック | 1717 MHz | 1628 MHz | N/A |
ブーストクロック | 1845 MHz | 1725 MHz | 1244 MHz |
GPUメモリ | 4GB | 8GB | 4GB |
メモリバス帯域幅 | 224 GB/s | 448 GB/s | 224 GB/s |
消費電力 | 130W | 180W | 150W |
価格 | $169 | $349 | $169 |
発売日 | 2019年12月18日 | 2019年7月7日 | 2017年4月18日 |
AMD Radeon RX 5500 XTは、最新のNavi 14を搭載したグラフィックボードだ。Radeon RX 5500 XTには4GBモデルと8GBモデルがある。ただ、競合のGTX 1650 SUPERとの価格を比べると4GBモデルの方が比較対象として妥当なためここでは4GBモデルに焦点を当てている。AMD製のローエンドクラスのグラフィックボードの場合2種類のVRAMを搭載していることが多い。クロック周波数は同じだが、パフォーマンス面において8GBが有利であることは言うまでもないだろう。RX 570も4GBと8GB搭載モデルが存在した。
Radeon RX 570で採用されていたPolarisから大きく進化している部分となっている。ただし、24つのコンピューターユニットの内2つを無効化しているのは性能面での調整やメモリ帯域幅とのバランスを考えたものだろう。あるいは今後上位モデルが登場する可能性も否定できない。
また、製造プロセスが14nm→7nmへと縮小されパワー効率向上及び省電力性の向上が図られている。トランジスタ量が増えてクロック周波数も35%-50%向上。それでいて消費電力は150W→130Wへと引き下げられているのだから文句なしだ。なお、上位のRX 5700ではより高性能なNavi 10が採用されていて差別化が図られている。ただ、コンピューターユニット自体は39%少なくなっているもののクロック周波数は6%程度引き上げられている。
2つのグラフィックボードを比較するとメモリについても違いがある。RX 5700シリーズでは256-bitだが、RX 5500XTは128-bitとより狭いバス帯域幅となっている。これがメモリに関しての唯一の違いだ。AMDはRX 5500 XTでもGDDR6メモリを搭載し$200という価格帯で初めての試みとなっている。メモリ帯域幅は448 GB/s→224 GB/sへと大幅ダウンだ。
Radeon RX 5500 XTの最新評価【2024年】
ローエンドクラス相当のゲーミング性能を持つ
Radeon RX 5500 XT 4GBは、フルHD環境向けのグラフィックボードだ。Cyberpunk 2077など比較的新しいタイトルでは設定調整が必要になってくることは理解しておこう。GPUメモリ8GB搭載モデルとの性能差は5%-6%だ。前世代のRadeon RX 570と比較して15%以上パフォーマンスが向上している。当初の競合だったGeForce GTX 1650よりも24%パフォーマンスが高いモデルだ。
RX 5500 XTに合わせて登場したGTX 1650 SUPERと比較すると6%程度劣っている。AMDからするとNVIDIAの新モデル投入は予想していただろうがやや劣勢となってしまっている。AMDが後手後手に回ってしまっている印象が否めない。後継モデルであるRadeon RX 6500 XTになると10%程度性能が高いが、GPUメモリ容量4GBと小さく大きく変わったわけではない。その点RX 5500 XT 8GBの方が有利に働くこともある。
中古価格9,980円~でコストパフォーマンス良好
製品名 | ゲーム性能 | VRAM | 価格 | コスパ | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|
RX 5600 XT | 16,777 | 6GB | 14,480 | 1.120 | 2020/01/21 |
GTX 1660 SUPER | 13,913 | 6GB | 12,980 | 1.072 | 2019/10/29 |
RX 6500 XT | 12,316 | 4GB | 14,480 | 0.851 | 2022/01/19 |
GTX 1650 SUPER | 12,238 | 4GB | 13,980 | 0.875 | 2019/11/22 |
GTX 1060 6GB | 12,009 | 6GB | 8,980 | 1.254 | 2016/07/19 |
RX 5500 XT 8GB | 11,816 | 8GB | 11,980 | 0.986 | 2019/12/18 |
RX 5500 XT 4GB | 11,220 | 4GB | 9,980 | 1.124 | 2019/12/18 |
GTX 1060 3GB | 11,144 | 3GB | 7,980 | 1.396 | 2016/07/19 |
GTX 1650 | 9,506 | 4GB | 14,480 | 0.656 | 2019/04/23 |
Radeon RX 5500 XTの特徴&注意点など
フルHD環境で高いゲーミング性能を発揮する
AMDのRX 5500 XT 4GBは、おおよそ期待通りのパフォーマンスを発揮するグラフィックボードだ。当初はGTX 1650が競合だったが、その後NVIDAからGTX 1650 SUPERが登場したことで競合はGTX 1650 SUPERに変わった。RX 5500 XT 4GBは、GTX 1650 SUPERと同様にフルHD環境に最適なパフォーマンスを持っている。
基本的にRX 5500 XT 4GBとGTX 1650 SUPERはいずれも優れたグラフィックボードだ。もし、あなたが価格重視でゲームをより快適にプレイしたくてRX 570/RX 580あるいはそれ以上のグラフィックボードを所有していないのであればRX 5500 XTは理にかなう選択となる。
RX 570 4GBとRX 5500 XTをそれぞれ見ると、アーキテクチャの進歩及び7nmプロセスがどれほどAMDを助けたかがわかる。RX 5500 XTのGPUコアはわずか1408だ。一方、RX 570では2048コアと45%ほど多くなっている。理論的な計算性能は、新しいGPUでは高いクロック周波数のおかげで2%高性能になる。
しかしながら、実際はフルHDのゲーミングパフォーマンスは25-30%高くなっている。これはほとんどNavi及び7nmプロセスによるものだということだ。
初心者向けというよりは自作ユーザー向けのモデル
AMD Radeon RX 5500 XTは、初心者向けとは言えない現状がある。もっともこれはAMD製のグラフィックボード全般に言えることだが…その要因としてゲーミングPCを販売しているBTOメーカーで取り扱いモデルがほとんどなく選択肢がないことが挙げられる。おそらくRX 5500 XT搭載のBTOパソコンは数えられるほどで将来的にも数は増えないだろう。
ぴったり用途に合致するユーザーであれば問題ないのだが、どうしても選択肢が豊富なNVIDIA製のグラフィックボード搭載モデルを選ぶことになってしまう。各ベンダーから単体グラフィックボードが販売されるため自作ユーザーなら問題はない。これらのことからやはりRadeon RX 5500 XTは自作ユーザー向けとなる。
GTX 1650 SUPERと同様に、数年先まで見据えているのであればVRAMが4GBのモデルの購入は控えた方が賢明かもしれない。
最近の多くのタイトルでは60fpsを実現するには中設定あるいは高設定を要求される。今後も状況は改善することはないはずだ。AMDにしてもNVIDIAにしても最新世代になると価格の底上げが行われてきている。ゲーム側の要求スペックも上がることでハード側の性能も上がり、必然的に最低価格も高くなってしまうのだ。
2022年時点ではローエンドクラスのグラフィックボードでも十分ゲームプレイが可能だ。それでも、もう少し予算を出してGTX 1660 SUPERやRTX 2060などを選択すればさらに30%以上のパフォーマンス向上が見込める。Radeon RX 6500 XT 8GBモデルならこのGTX 1660 SUPERが競合となるのだ。フルHD環境で最高設定でのゲームプレイもこなせるし、数年先まで対応することができる。これらの点は理解しておいて欲しい。
OEM向け製品とスペックが異なる
Radeon RX 5500 XTはいわゆる小売店向けのグラフィックボードとなっている。BTOパソコンなどに搭載されるOEM向け製品(Radeon RX 5500)とはスペックが異なる。そういう意味ではRX 5500 XTのリリースは、AMDにとってやや特殊な道を通っている。
AMDが10月の初めに包括的にRadeon RX 5500シリーズについて発表を行った。ただ、その発表自体実はOEM向け製品についてのものとなっていて小売店向けのモデルとは異なっている。つまり、10月の発表時のスペックはOEM向けかつ最大スペックのものということだ。
Radeon RX 5500 XTのベンチマーク一覧
当該グラフィックボードのゲーミングパフォーマンスを見ていく。ゲーミング性能は各タイトルにおけるフレームレートを計測することで把握可能だ。今回は特に前モデルであるRX 570及び競合であるGTX 1650 SUPERとの性能差に焦点を当てて見ていって欲しい。参考程度にWQHD環境におけるフレームレートも掲載しているが基本的にはフルHD環境だけを見れば十分だ。
Far Cry 5
GTX 1660 SUPER | |
RX 5500 XT 8GB | |
GTX 1660 | |
RX 5500 XT 4GB | |
GTX 1650 SUPER | |
RX 580 | |
GTX 1650 | |
RX 570 |
GPUメモリ8GB搭載モデルと比べると最大20%程度の差がある。高解像度になるとGPUメモリ容量が大きいことで有利になる。もっともWQHD環境をメインターゲットとしているわけではなく、基本的には4GB搭載モデルでもよいかもしれない。価格帯的にもGTX 1660 SUPERが競合モデルとなるため選びづらさがある。
Hitman 2
GTX 1660 SUPER | |
GTX 1660 | |
GTX 1650 SUPER | |
RX 5500 XT 4GB | |
RX 5500 XT 8GB | |
GTX 1650 | |
RX 580 | |
RX 570 |
Hitman 2ではなぜかフルHD環境で8GB搭載モデルを上回っている。さらに、WQHD環境でも2%程度と差が小さい。グラフィックボード自体の処理性能がそれほど高いわけではないので、GPUメモリ容量が増えたからといって純粋な処理性能が延びるわけではないことの証明だ。
Shadow of the Tomb Raider
GTX 1660 SUPER | |
GTX 1660 | |
RX 5500 XT 8GB | |
RX 5500 XT 4GB | |
GTX 1650 Super | |
RX 580 | |
RX 570 | |
GTX 1650 |
Boarderland 3
GTX 1660 SUPER | |
RX 5500 XT 8GB | |
GTX 1660 | |
GTX 1650 Super | |
RX 5500 XT | |
RX 580 | |
RX 570 | |
GTX 1650 |
Radeon RX 5500 XT搭載のゲーミングPC一覧
GALLERIA ART(ドスパラ)
CPU:Ryzen 5 3500
GPU:Radeon RX 5500 XT
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:2TB
電源:500W BRONZE
Radeon RX 5500 XT×Ryzen 5 3500を搭載したゲーミングPCだ。いずれも低価格帯のAMD製パーツとなっている。フルHD環境における適正がある。設定調整をすれば最新のタイトルにも対応することができる。メモリ16GB、SSD 512GB、HDD 2TBとCPUとグラフィックボードの性能を考えるとやや充実し過ぎていると言えるかもしれない。それでもコストパフォーマンスは高く10万円以下のモデルの中でもおすすめしたい一台だ。
GALLERIA AXRT(ドスパラ)
CPU:Ryzen 7 3700X
GPU:Radeon RX 5500 XT
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:2TB
電源:750W GOLD
RX 5500 XT搭載のミドルクラスゲーミングPCだ。Ryzen 7 3700Xとの組み合わせはややバランスが悪い。GTX 1650 SUPERに匹敵するゲーミング性能を持ちフルHD環境に最適だ。メモリ16GB、SSD 512GB、HDD 2TBと構成も充実している。ただし、このクラスのモデルとして考えると価格は高めだ。
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ゲーム推奨 | BTOショップ比較 | グラボ比較表 |
ベンチマークテスト環境
CPU | Intel Core i7-8700K |
---|---|
メモリ | 2x8GB G.Skill TridentZ RGB DDR4-3200 |
ストレージ | Samsung 970 Evo 1TB Samsung 860 Evo 4TB |
電源ユニット | EVGA SuperNova P2 1000W |
マザーボード | Gigabyte Z370 Aorus Gaming 7 |