ゲーミングPCの排熱性能が高いのは各パーツが発する熱が天敵だからだ

ここではゲーミングPCとその排熱性能に関する考えをまとめている。パソコンと熱は切っても切れない関係となっている。特にノートパソコンになるとそれが顕著になる。言うまでもなくパソコンを起動中の発熱はすさまじく、様々な部品の寿命を縮めたり故障の原因となる。

ゲーミングPCと普通のパソコンとの大きな違いはこの排熱性能の差ということはすでに書いたと思う。とはいえ、最近はどれだけ安価なパソコンケースでも最低限の排熱性能を持っているのである程度は信用しても良いだろう。パソコンの各パーツと発熱及び排熱の関係をみていこう。これを知っているかどうかで他の人と差をつけることができると思う。


1. 各パーツとファンと熱の関係

ケース自体のファンはもちろん、CPU、グラフィックボード、電源、HDD、マザーボード等にも熱対策としてファンは搭載されている。

ここではそれぞれのパーツと熱の簡易についてまとめている。

1.1 CPUの排熱


cpu
CPU搭載のファンはオーバークロックをしない限りはデフォルトのものでも構わない。しかし、標準搭載のものはそこまで性能は高くない。

特に軽視されがちなCPUの放熱グリスだ。これはCPUにファンを取り付ける際に使用するもので、CPUの熱をファンに伝える重要な役目がある。これを塗らなければまともに動作しなくなるほどで、熱を伝える効果が大きく変わる。CPUの排熱を考えるとき、ファンばかり優先されがちだ。

しかし、グリスも良いものを選んでおいたほうがいいだろう。特にファンが故障しない限り、使い続けるものなのだからケチる必要はない。CPUはファンを取り付けなければすぐに100℃を超えてしまう。余談だが、よほどのことが無い限りCPUファンは取れることはない。

ただ、私は過去に2度外れたことがある。最初はまだブルースクリーンなどが表示される程度だったが、そのうち突然シャットダウンされるようになる。HDDやメモリを疑うばかりで、CPU周りは一切疑わなかった。気付きにくい部分であるため、十分気をつけておきたい部分だ。CPUは温度が高くなると稼働を緩やかにし、熱を抑えようとするものだ。ただ、これを行うことはCPU自体のパフォーマンスを下げる行為だ。

熱を感じてパフォーマンスを落とし、熱が抑えられてまたパフォーマンスを上げる・・・というのを繰り返すとどうなるか。答えは容易に想像がつくだろう。こうなると、動作が非常に不安定になる。

排熱効率が上がると、CPUはパフォーマンスを下げずに稼動し続ける為、安定して高い性能を維持することが出来るのだ。

1.2 グラフィックボードの排熱


gpu
グラフィックボードは、リファレンスモデルのままでも微妙なエアフローのことがある。しかし、OCモデルなど性能を上げたグラフィックボードになると更に問題となる。OCモデルのほとんどは高性能なファンが取り付けられ、それが2連・3連とあるのだから安心だと考えがちだ。ただ、絶対に過信してはいけない。なぜならグラフィックボードのファンは個人で取り外して付け替えるということがほぼ不可能だからだ。万が一性能に合わないファンが搭載されていたら十分な排熱効果を得ることができない。

と言っても、最近のグラフィックボード優秀で熱を感じない時はファンを止め、熱の高さによってファンの回転数が大きくなるという変動式が主流だ。全てが全てというわけではないが、これにより発熱と排熱のバランスがしっかり取れている。基本的リファレンスモデルが全ての基準となっている。しかしながら、価格も抑えられていてファンの性能などは標準となっている。粗悪品はほとんど存在していないだろう。中には使用中にファンの稼動が止まったりする不具合を起こすメーカーなどもある。

前述の通りファンの交換はほぼ不可能なので「地雷」扱いされてしまう。本題に戻るが、グラフィックボードの排熱処理で重要なのはグラフィックボードに搭載されているファンも当然だが、パソコンケースが重要な鍵を握っている。最新モデルとなってくると、吸気口から取り込んだ空気をグラフィックボードに当て、背面から排出するものも存在する。こうすることで、グラフィックボード本体の冷却も可能になり、グラフィックボードが持つ力を存分に発揮することが出来る。

1.3 電源の排熱


電源
最も熱を持つことになる部分である電源の排熱についてまとめている。電源本体に吸気口と排熱ファンが搭載されているのでどうしようもないようにも思える。ただ、最近はパソコンケース側でしっかり対応されている。

電源を底に付けることで冷たい空気を取り込み排熱していくことができるようにしているのだ。熱は上に逃げていく為、パソコンの上側に取り付けられていると熱を取り込み排熱してしまい、電源の冷却効果が薄くなってしまうからだ。

他にも底につけることで得られる恩恵がある。それはパソコンの重心を下げ、本体のバランスも取れるという仕組みだ。これは主にミドルタワー以上のものでしか実現が難しい。

なぜならミニタワーだとどうしてもスペースに余裕が無く、マザーボードの取り付け位置なども考慮しなくてはならないので仕方がない。それでも不可能ということはなく、最近ではごく稀に見かける程度だが存在している。

その他にも電源自体に余裕を持たせることも大きな要因となる。350Wしか使わないと言って500Wの電源で70%の力が必要とするのと、700Wにして50%の力が必要となるのとでは稼働率が大きく違う。

100%に近づけば近づくほど稼働率が上がり、熱を発する上に電源は限界を迎える前に電源を落とす・・・ブレーカーのようなものが搭載されている。

また、他の部分に与える電力を抑えようとしてしまったりもするようだ。電源に余裕を持つことで排熱効率の向上と同時に、パフォーマンスの向上も見込めるということだ。ただ大きければいいというわけでもなく、無意味に1200Wを積んでも宝の持ち腐れとなるのでほどほどに。

1.4 HDDの排熱


hdd
最近ではそこそこSSDも普及し始めている。それでも500GB以上の容量を持つ記憶装置となるとHDDがストレージの主流と考えて良いだろう。HDDは円盤を高速回転させ、磁気ヘッドを移動させることで情報を読み出す。

つまり物理的な動作がある為、熱を発する。
HDDの寿命は短くて数ヶ月、長くて5年程度と言われているが、熱で寿命は短くなる。HDDは主に前面にあるシャドウベイやハードディスクケージに搭載する為、前面から吸気された空気で冷却することが出来る。

しかし、HDD自体には排熱する為の機構は無く、吸気が弱いとそれだけ熱を持ち続けることになってしまう。HDDに限らず全ての部品は熱による劣化や故障があるので、エアフローだけはしっかりしておきたい。

シャドウベイやハードディスクケージなどに搭載する際は、しっかり固定することが大切だ。中には横着してHDDの上にHDDを置くというような人がいるのは驚きだ。しかし、当然故障の原因になるので避けたほうが良い。

もちろん、故障の原因は熱だけではないが、出来ることはやっておきたいところ。HDDの冷却はパソコンケースのエアフローにかかっていると言える。

1.5 その他の排熱


motherboard
その他のパーツとしてはマザーボードが挙げられる。マザーボードにも電気は流れているのでもちろん熱を発するパーツだ。しかし、CPUなどと違い発熱自体は大したことはない。

基本的にマザーボードは側面の中央から上に取り付けることが多い為、空気の流れに乗りやすくエアフローが多少悪くとも何とかなる。サウンドカードはグラフィックボードと違い、マザーボードに近い構造をしているので熱の発生は少ない。

その他の増設は一概に言えないが、ある程度取り付け場所が決まっている部品がほとんどで、エアフロー次第というところ。

2. パソコンケースによる排熱の差


ケースエアフロー
パソコンケースの排熱機構について解説しておこう。パソコンケースには様々な大きさがある。例えば、フルタワー、ミドルタワー、ミニタワー、コンパクト、スリムなどがある。2000円程度ものから数万円のものまで価格差が激しく、当初は私も見た目とI/Oなどの機能の差程度だろうと思っていた。

実際は、価格が高くなるとよりエアフローと排熱効率もより計算されたものになる。吸気口は基本的に前面にあり、背面から排出するという構造になっている為、前面パネルに埃が吸着しやすい。

更に前面パネルに防塵フィルターなどが搭載され、天敵である埃に対しても対策が取られているものもある。自分のパソコンのスペックや環境に合わせてパソコンケースを選ばなくてはならない。

3. BTOの落とし穴

最後にBTOショップで購入するとき排熱を考えることが重要だ。ショップなどで購入する場合は深く考えなくても良かったのだが、最近はBTOが主流となり、自作する人も増えている。

初期構成をもとにケースは選択されていることが多く、ロー、ミドル、ハイ、とスペックごとにケースが固定されていることも珍しくない。しかし、構成を変更することで許容範囲を超えてしまうと不具合の原因となってしまう。

これは自作パソコンにも言えることで、ハイスペックなパソコンを組み立て、パソコンケースを安く済ませようとするのはNGとなる。BTOではロースペックの安いパソコンをカスタマイズしてミドルスペック程度にすると、普通のミドルスペックよりも高価になってしまう。

そのため、無理なカスタマイズをする人はほとんどおらず、ケースもしっかり合ったものを選択していることになる。しかし、ほぼ全てのBTOショップはロースペックのパソコンをハイエンドにしても特に何の警告も無く構成し、販売している。

そんな奇特な人は少ないとは思うが、そもそも注文できることがおかしくも感じる。ドスパラやパソコン工房、G-tuneはカスタマイズの幅を狭めている為対策していると言える。

グラフィックボードやCPUなどは決められたものの中から選択、あるいは固定なので熱に関しても十分考えているのかもしれない。

最後に考察まとめ

ゲーミングPCと排熱の関係は非常に軽視されがちでその重要性を知らない人も多い。特に、目に見えないものであるからこそ気付きにくく、知らない人が多い原因だと思う。パソコンも精密機械の集合体である為、熱に関してはしっかり対応していかなくてはならない。

ファンを一つ交換しただけで効果が圧倒的に変わることもあれば、ケース自体の構造が悪いこともある。ゲーミングPCは一般的なパソコンと違い、グラフィックボードが搭載されている分だけ熱は発生しやすい。

また、ゲームをプレイするとなるとどうしても負荷は高くなり、仕事で使用するのとは稼動率も大きく変わる。それ故に、エアフローを考慮したゲーミングPCは一般的なパソコンと比べてデザインが独特になる。

ゲーミングPCはグラフィックボードを搭載しただけのパソコンとはケースからして違うのだ。性能はもちろん、安定性や排熱効率を考えられているのだ。

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