GTX950の終焉 | 900番台グラフィックボードの再考察

geforcegtx950GTX950の生涯について解説している。

GTX950という一つのグラフィックボードの終焉が近づいている。各BTOショップが販売しているゲーミングPCからGTX950のラインナップが減っている。その代わりにGTX960が最低クラスとなった。

2015年8月20日NVIDIAよりGeForce GTX950が登場した。他のグラフィックボードとの比較を踏まえて考察していこう。

GTX900番台の性能比較

当該モデルの発売前、ウルトラハイエンドにGTX TITAN XGTX980Tiが存在していた。そしてハイエンド、ハイクラスにGTX980GTX970があった。その中にミドルエンドにはGTX960が君臨。そしてその下、ローエンドクラスにGTX750Tiが2014年2月から健在していた。

GTX960は、GTX760と比べてどこまで伸びるのかと期待されたが、長所と短所がそれぞれ目立つ形で収束した。価格もほとんど変わらず、登場時のインパクトのみを残したマイナーチェンジだった。

そもそも900シリーズはGTX980とGTX970が2014年9月に登場したのが始まりだった。その圧倒的なコストパフォーマンスと、性能の高さはナンバリングからは想像もできないほどだった。これまでミドルエンド帯を支えてきたGTX770と比べて、GTX970は当時シングルGPU最速だったGTX780Tiに大きく迫るものだった。GTX980はそのGTX780Tiを軽く越えていった。その衝撃はまさに革命的だった。ただ、900シリーズの快進撃はその最初の一歩だけだった。

GTX960は登場時は予想より1万円も高く、コストパフォーマンスは微妙でGTX760の良さが際立つ結果となった。その後、価格が落ち着いてきてようやくGTX760と同等程度という評価になり、GTX760が消えると共に後釜に収束した。このGTX960が登場したのが2015年1月下旬のことだ。

そしてそこから4ヶ月後の2015年6月頭にウルトラハイエンドとなるGTX980Tiが登場したが、まともな比較対象のない製品で評価は難しかった。そもそも、ウルトラハイエンドという言葉が定着し始めたのはこのグラフィックボードくらいからだろう。それまでは4K解像度に対応するのはTITAN Xくらいなもので、10万20万という価格だった為、10万円を切るこのGTX980Tiもなかなかに評判ではあった。ただ、多くのユーザーが求めるのはその地点ではなかったことから、GTX960の存在が最も注目を集めたと言える。

GTX950の登場

GTX960自体は不発に終わったものの、このGTX980Tiの登場辺りからGTX950の噂が広まった。ナンバリングで言えば、これまでローエンドであったGTX750Tiより上の性能を持つ製品ではないか。価格はGTX750Tiで性能はGTX960とGTX750Tiの中間に位置するのではないか。性能はGTX750Tiと同等、後にGTX960との中間にGTX950Tiが登場するのではないか。GTX950Tiは隙間が無くて厳しい、GTX950が予想であるGTX950Tiとなるのではないかなど、まずまず妥当な予想だ。

しかし、一方でGTX960のように期待を裏切る結果となるのではないだろうか。GTX750TiとGTX960の中間であれば、GTX960で十分なのではないだろうか。いや、仮に中間の性能だったとしたらGTX750Tiは更に安くなり、更に狙い目となるのではないか。結果的に中途半端な位置づけであるGTX950は販売戦略的に厳しい立場なのではないか。

GTX950の価格と性能

不穏な空気を帯びてきた。上にGTX960(22,000円)で下にGTX750Ti(12,000円)この中間となるならば、12,000円~15,000円程度であればまずまずだ。性能はGTX750Tiより少し上程度であれば、すぐにでもGTX750Tiの後継機として存在できるはず。発売1ヶ月前、更に不穏な発表があった。「GTX950はMOBA系ゲームに適したグラフィックボード」という公式の発表だ。この発表で、嫌な予感がしたユーザーも大勢いたはずだ。

MOBA系ゲームとは、Dota2やLoLなどで急激に成長したゲームジャンルのことだ。グラフィックよりもゲーム性に重きを置いたゲームで、世界で最も遊ばれているゲームジャンルとなっている。「グラフィックよりもゲーム性に重きを置いているゲームに最適なグラフィックボード」ということになる。

そこまで性能が必要でないゲームにピッタリのグラフィックボードということだ。ひょっとすると、GTX960に対して下克上を起こすのではないかと冗談交じりに笑っていた日が懐かしい。公式に、性能は低いがMOBA系メインで遊ぶ人にはもってこいなグラフィックボードである。と性能の低さを誤魔化す謳い文句が出たのだ。良い予想よりも悪い予想のほうに転んでしまったのだ。

それでもGTX750Tiの後継機となるならば、性能の底上げになるだろうと思っていた。発売日を迎えて愕然とした。GTX960が既に価格に落ち着きを取り戻し22,000円程度になっていた。GTX950の初動の価格は21,000円と僅か1,000円の差。価格が落ち着けば付け入る隙はあるだろうか。しかし価格は一向に下がらない。2ヶ月経っても最安値19,800円程度だった。

性能差と価格は下記のとおりだ。

  • GTX960 スコア17000 価格22,000円
  • GTX950 スコア14000 価格19,800円
  • GTX750Ti スコア10000 価格12,000円

ややGTX960寄りではあるが、価格差を考えればGTX950を選択するメリットがかなり薄い。ただ、グラフィックボード単体での話でGTX950搭載モデルではどうだろう。確かにGTX950のほうが安かったが、ただでさえ細かく刻んで登場したGTX950は厳しいポジションだ。

下にGTX750Ti搭載モデルがある以上、価格はどのみちGTX960搭載モデルとの中間になる。GTX950搭載モデルを選択するならば、価格の安いGTX750Ti搭載モデルか、性能の良いGTX960搭載モデルかになる。MMORPGをプレイしているユーザーなら理解できると思うが、ハイブリッド型は得てして器用貧乏となる。良く言えば安くて性能の高いモデルだが、それは下と上の悪いところと比べての話となる。

GTX950の評価

GTX750Ti搭載モデルの良い所は価格が安いところ。悪い所は性能が低いところ。GTX960搭載モデルの良い所は性能が高いところ。悪い所は価格が高いところ。この悪いところと比較してGTX950搭載モデルに良いところは性能が高く、安いところ。という具合になる。そもそも、この比較に関しては比較対象の悪いところと比べてという前提がある。

GTX750Ti搭載モデルはGTX960搭載モデルと比べて価格が安いが、性能は低い。GTX960搭載モデルはGTX750Ti搭載モデルと比べて性能は高いが、価格も高い。この前提があっての話の中に、GTX950が無理やり割って入ったのだからおかしな話になってしまった。それはこういうことである。

GTX750Ti搭載モデルと比べて、GTX950搭載モデルは性能が高い。GTX960搭載モデルと比べて、GTX950搭載モデルは安い。相手の悪いところと、こちらの良いところを比較した結果でしかなく、正々堂々とした比較ではない。本来ならば、それぞれの製品と比較しなくてはならなかったが、こういう謳い文句で無ければ販売する側としてもメリットが無かったのだろう。地雷とまでは言わないが、GTX750Tiという製品に何よりも対抗して存在しなくてはならなかった。

結果的に「GTX960と同じ価格で性能が低いグラフィックボード」という最悪でしかない評価を下すことになった。そして、GTX750Ti登場から遅れること1年6ヶ月後に登場したGTX950は、まさかのGTX750Tiより先に姿を消そうとしている。ドスパラのGALLERIAシリーズでは忽然とGTX950搭載モデルが消えているが、G-tuneではそれよりももっと前、10シリーズ登場辺りから消えている。大きな期待と不安を背負って登場したグラフィックボードは、輝かしい栄光を手にすることなく消えていった。

これまでの50番台について

50番台のグラフィックボードは歴代微妙な位置に居続けている。200シリーズ、400シリーズではGTXではなくワンランク下のGTS250、GTS450となり、今で言うロークラス。ようやくGTXとなったGTX550Tiでは、GTS450のマイナーチェンジ止まりでGTX460にすら及ばない性能と高い消費電力から敬遠された。ゲーミングとして最低ラインとなったのはGTX650からだが、GTX650TiやGTX650Ti BOOSTと共に性能はローエンドに及ばない程度。

そしてGTX750Tiは多くのライトゲーマーに愛される高いコストパフォーマンスと低価格からローエンドとして定着。900シリーズが登場しても残り、10シリーズが登場した今尚現役で販売されている。秋になると、この10シリーズにも50番台が登場するとされている。果たして、GTX750Ti以来の名機が来るのか、GTX950に続く微妙なモデルが来るのか、今から楽しみで仕方がない。名機とは言えなかったが、後継機に低いハードルを残し、踏み台となり、引き立て役となったGTX950の存在は決して忘れないだろう。

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